yonige、約1年半ぶりとなるフルアルバム『健全な社会』

yonige | 2020.05.20

 yonigeが2ndフルアルバム『健全な社会』をリリース。
「みたいなこと」(映画『おいしい家族』主題歌)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、福岡晃子(チャットモンチー済)のプロデュース楽曲を含む本作は、「好きなことだけをやろうと決めて、突き詰めました」という牛丸ありさ(Vo/Gt)のコメント通り、現在のyonigeの表現欲求がストレートに反映された作品となった。本作について、牛丸、ごっきん(Ba/Cho)に語ってもらった。

――2ndフルアルバム『健全な社会』が完成しました。明らかにこれまでのyonigeと違うし、楽曲、アレンジ、サウンドメイクを含めて、次のフェーズに進んだ素晴らしい作品だと思います。
牛丸ありさ:ありがとうございます。今回のアルバムは、自分たちの好きなことだけをやろうと思って、それを突き詰めましたね。「人に聴かれてどう思われるか?」を考えることが多かったんだけど、それはナシにして、本当にいいと思うことだけをやりました。
――前作のミニアルバム『HOUSE』のときも、「リスナーの反応を気にせず、好きなことをやりたい」と言ってましたよね。
牛丸:『HOUSE』のときは、まだ振り切れてなくて、「最初の一歩」みたいな感じだったんです。今回は「次のアルバムを聴いて、“ピンとこない”という人は、yonigeから離れてもらってかまわない」くらいの気持ちでしたね。「このままだと消費される音楽になる」という感じもあったし、だったら思い切り好きなことをやろうと。
ごっきん:いままででいちばん自信があるし、いままででいちばん渋い作品になったと思っていて。(1stフルアルバム)『girls like girls』には派手でわかりやすいリード曲があったんですけど、今回はそうじゃなくて、グッと内側に入ったアルバムだなと。私自身も、すごく好きですね。
――確かにアッパーな曲は1曲もないですね。全体的なトーン、コード感も憂いがあって。
牛丸:そうですね。前は、ライブ映えするようなアッパーな曲を作らなきゃと思ってたんだけど、そういうこともまったく考えなかったので。自分が気持ちいいと感じる曲を作ったら、こうなったというか。歌詞もそうですね。最初に「アボカド」みたいな恋愛の曲に注目が集まったことで、「恋愛の赤裸々なことを歌わないといけないのかな」と思ってた時期もあったんです。一発芸が当たった芸人が、ずっとその芸をやらなくちゃいけないような。
ごっきん:ハハハハ(笑)。
牛丸;『健全な社会』の曲を作ってるときは、そのことも意識してなくて。聴き手が恋愛に当てはめられる曲もあると思うけど、私のなかでは、恋愛の曲は一つもないんです。恋愛というより、人と人との関わり方というか…。

――わかりやすく前向きな曲はないですが、行き場のない感情みたいなものが伝わってきて、めちゃくちゃ共感しました。
牛丸:特別悲しい曲を作るつもりもなかったんですよね。悲しいのかどうかわからないし、喪失感があるような気がするけど、何をなくしたかわからない。感情がグレーの状態を書きたかったので。
ごっきん:以前の歌詞は牛丸の恋愛日記を読んでるような感じだったんですよね。そのなかに余白があって、(リスナーが)思考する余地があるところが好きだったんですけど、『健全な社会』の歌詞は、その余白がさらに深くなって。聴いた人がそれぞれ、いろんな感情を込められると思いますね。
牛丸:あと、季節感は意識してました。「メリークリスマスイヴ」「春一番」もそうだし、「往生際」は夏の歌で。「11月24日」という曲もあるし、かろうじて四季があるなって(笑)。
――アジカンの後藤正文さん、福岡晃子さん(チャットモンチー済)がプロデューサーとして参加した曲も、このアルバムのポイントだと思います。
牛丸:(プロデューサーを入れるのは)レコード会社から提案されて。チャットモンチーもアジカンもめっちゃ好きなんですけど、だからと言って、いい曲ができるとは限らないし、最初は「どうなるんだろう?」という不安もあったんです。まず、アッコさんと私、ごっきんでゴハンに行って、その日のうちにめっちゃ仲良くなって。ゴッチさんとは私とマネージャーでお会いしたんですけど、音作りのことをいろいろ教えてくれて、すごく安心感があって。その時点で既にレコーディングが楽しみになってましたね。
――福岡さんがプロデュースしたのは「往生際」「あかるいみらい」。牛丸さん、ごっきんさんは以前、チャットモンチーのコピーをやってたことがあるんですよね?
ごっきん:そうですね。初めてのライブのときは、まだyonigeという名前じゃなかったんですけど――チャットのコピバンだったので。あっこさん、すごくホメてくれるんですよ。ウチらから「こういうことをやりたいんですけど」と提案したら、「めっちゃいい! やろう!」って。あっこさんとレコーディングしてる間、めっちゃ自己肯定力が上がってました(笑)。
牛丸:「何でもやってええんやな」という気持ちになりましたね。「往生際」は1番をあっこさんと一緒にやって、2番を自分たちだけでアレンジをしたんですけど、1番が出来た時点ですでにヘンな曲だったから(笑)、2番もテンポを変えたり戻したりしながら、自由にやれて。5拍子とか3拍子が入った曲も初めてですね。

――後藤さんがプロデュースした「11月24日」「健全な朝」に関しては?
牛丸:ゴッチさんは理系の先生みたいな感じで、曲のことよりも、音の差し引きだったり、「低音をどう出すか?」みたいな話をずっとしてました。私はメロディと歌詞に重点を置いていて、音のことがそれほどわかってなかったので、すごく良かったですね。
ごっきん:「11月24日」と「健全な朝」は、初めてドロップD(通常のよりも1音低いチューニング)で弾いていて。ずっと「3ピースバンドだから、ベース(のフレーズ)は動いたほうがいい」と思ってたんですけど、ゴッチさんに「低いところをしっかり出してほしい」と言われて、低音を堅実に鳴らすことに集中していて。ドラム、ギターの音もすごく良くて、音を重ねるたびに感動がありました。
牛丸:アルバムのマスタリングは海外の人なんですけど、それもゴッチさんの提案で。ヴァンパイア・ウィークエンドなどをやっているエミリー・ラザールさんという方で、めっちゃいい音にしてくれて。仕事も早いし、またお願いしてみたいですね。

――『健全な社会』というタイトルも秀逸ですね。
牛丸:まず、歌詞カードをテスト用紙の裏に落書きしているみたいなデザインにしたくて。そこから逆算して、ジャケットを学校の風景にしようと思って、いろいろアイデアを出すなかで、「そういえば、習字の授業で書かされていた言葉って、胡散臭いよな」と思い出して。「希望」とか「青い空」とか。
――確かに胡散臭い(笑)。
牛丸:検索してみたら「健全な社会」という言葉が出てきて、「これをそのまま使おう」と。当時はただ何も考えず書いてただけですけど、けっこう強めのワードじゃないですか。
ごっきん:アルバムのレコーディングの合間に、メンバーと政治の話とか、今の社会のことをずっと話してたんですよ。なので『健全な社会』というタイトルが出てきたときは、「牛丸、意図して付けた?」「チャレンジ?それとも皮肉?」とか思ってたんですけど、ぜんぜんそうじゃなかったですね(笑)。
牛丸:たまたまです(笑)。
――アルバムと同時に、昨年8月に行われた日本武道館公演を収めたライブ映像作品『日本武道館「一本」』もリリース。武道館を経験したことで、ライブへの向き合い方も変わってきたのでは?
牛丸:そうですね…。武道館を経て、以前よりもドシッと構えてやれるようになった気はしますね。
ごっきん:あくせくしなくなりましたね、確かに。武道館のタイミングでサポートギターの人に入ってもらって、ライブのクオリティも上がってきて。
牛丸:武道館のライブは、みんなに「めっちゃ良かった」って言ってもらったんですよ。そのときは「武道館という場所のおかげかな」と思ったし、同じように良いライブを続けるためには、人一倍がんばらないとって思ってたんですけど、そういうプレッシャーも少なくなってきて。今回のアルバムが出来たことも大きいですね。

――牛丸さんは以前から、「自分を誇れるようになりたい」と言っていて。アルバム『健全な社会』を作ったことで、そこに近づいた感覚もある?
牛丸:今回はだいぶあるかも。今後はどうなるかわからないけど、とりあえず今は「誰に何を言われても、これはいいな」と思えるアルバムが出来たので。まあ、自信はないですけどね、相変わらず。「無敵!」なんて思ってるときのほうが落とし穴があるだろうし、常に怯えながら(笑)、やっていきたいなと。
ごっきん:そうやな(笑)。
――いまはライブができない状態ですが、アルバムの曲を生で聴ける日を楽しみにしています。
ごっきん:私たちも早く、アルバムの曲をみんなに聴いてほしいです。こんなにライブしたいと思うのは、めちゃくちゃ久しぶりですね。
牛丸:うん。私は基本的に、「ライブしたい」って思わないんですけど、今回はさすがにしたいですね。自分らもライブで新曲がどうなるか楽しみだし、ワクワクしてるので。

【取材・文:森朋之】

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リリース情報

健全な社会

健全な社会

2020年05月20日

ワーナーミュージック・ジャパン

01.11月24日
02.ここじゃない場所
03.Intro
04.往生際
05.あかるいみらい
06.健全な朝
07.メリークリスマスイヴ
08.春一番
09.みたいなこと
10.ピオニー

リリース情報

日本武道館 「一本」

日本武道館 「一本」

2020年05月20日

ワーナーミュージック・ジャパン

01.リボルバー
02.our time city
03.最終回
04.顔で虫が死ぬ
05.2月の水槽
06.バッドエンド週末
07.アボカド
08.センチメンタルシスター
09.悲しみはいつもの中
10.ワンルーム
11.往生際
12.どうでもよくなる
13.沙希
14.サイケデリックイエスタデイ
15.ベランダ
16.しがないふたり
17.最愛の恋人たち
18.トラック
19.さよならアイデンティティー
20.春の嵐
(アンコール)
EN01.さよならプリズナー
EN02.さよならバイバイ

[特典映像]
武道館ドキュメンタリー映像

お知らせ

■配信リンク

「健全な朝」
https://yonige.lnk.to/kenzennaasa

「あかるいみらい」
https://yonige.lnk.to/akaruimirai

「ここじゃない場所」
https://yonige.lnk.to/0513



■マイ検索ワード

牛丸ありさ(Vo/Gt)
夢占い うんこ
「うんこで出来た日焼け止めが発売されて、試供品を使ってみる」という夢を見て。「けっこう肌なじみいいなあ」なんて言ってたんですけど、起きてから「これ、どういう心理状態?」と思って。調べてみたら、「金運が上がる」と「捨てたい感情がある」の2つの意味があったんです。別に捨てたい感情はないから、金運が上がるのかも。

ごっきん(Ba/Cho)
舌の正しい位置
ツイッターで、「半年間、舌を正しい位置に置いて生活したら、顔がシュッとしました」という投稿を見て。ビフォーアフターの写真を見たら、ホントにめっちゃ細くなってたんですよ。で、「舌の正しい位置って何?」って検索したら、舌を上あごに付けると書いてあって。昨日からやってるんですけど、けっこうしんどいんですよ(笑)。



■ライブ情報

yonige pre 山手線ツアー
08/24(月)高田馬場 CLUB PHASE
08/30(日)大塚 Deepa
09/04(金)鶯谷 東京キネマ倶楽部
09/06(日)新宿 ACB HALL
09/07(月)池袋 Livegarage ADM
09/09(水)渋谷 eggman
09/13(日)代々木 Zher the Zoo
09/17(木)原宿 クロコダイル
09/22(火祝)上野 音横丁
09/24(木)秋葉原 CLUB GOODMAN
09/26(土)品川 HUMVEE HALL

健全な社会ツアー 爽秋編
10/03(土)大分clubSPOT
10/04(日)宮崎SR-BOX
10/06(火)鹿児島SR-HALL
10/08(木)熊本Django
10/10(土)ホンダ楽器アストロスペース
10/11(日)佐賀GEILS

「正しい言葉」ツアー
11/01(日)オリックス劇場
11/13(金)中野サンプラザ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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