ひたむきに良質な楽曲を紡ぐmabutaの過去と現在を結ぶ初インタビュー!

mabuta | 2020.06.25

 埼玉県秩父市出身の4ピースバンド・mabutaが、6月24日に2ndミニアルバム『A SUDDEN IMPACT』をリリースする。昨年メンバーが脱退したために現在の正式メンバーは3人ではあるが、サポートメンバーを加え、変わらずに4ピースバンドとして活動している彼ら。バンドにとって様々な出来事が折り重なった1年のなかで、絶えず吸収し続けたものたちが音楽として結晶化して生まれた今作は、どういった経緯で生まれたのか? また、mabutaというバンドはどういうバンドなのか?――mabutaにとって初めてのインタビュー取材ということで、今作についてはもちろん、これまでの経緯やバンドの魅力を紐解くべく、メンバー全員に話を訊いた。

――mabutaを結成する前はどういうバンドをしていたんですか?
柏木裕人(Vo/Gt):俺と松本がもともと3ピースバンドを組んでて、それも高校の文化祭に出る目的だったので、特に音楽が好きだからというよりは、思い出作りの一環という感じでした。その延長でバンドをやってて、その頃はRADWIMPSとかELLEGARDENとかをコピーしてました。
松本舜平(Ba):そうそう。始めたときはオリジナルをやるつもりもなかったですね。
中井勇介(Dr):僕は4ピースバンドで、最初からオリジナルの曲を持ってるシンガーソングライターを目指す男の子の後ろでドラムを叩いてました。もともとはギターをやってたんですけど、『太鼓の達人』が得意だったという理由で、高校生のときにドラムに転身しました(笑)。
――3人がmabutaとしてバンドをやることになったきっかけは?
松本:俺らがやってたバンドに中井が入ったから、名前をmabutaに変えてやるか!って。
柏木:それで、この3人でやってたところにギターが入って、4ピースバンドとしてライブハウスで本格的に活動し始めたのが3年くらい前ですね。
――当時はどういう音楽を聴いてたんですか?
柏木:先輩から教えてもらったり、地元のライブハウスに置いてあるCDやバンドTシャツを見たりしながら知っていって、その頃はSigur RosやRadiohead、Oasisとかを聴いてましたね。
中井:僕は日本のバンドだったらtoeやthe band apartやmouse on the keys、海外だったらAmerican Footballを聴いてました。
松本:僕は高校のときにGreen Dayやblink-182を聴いていて、mabutaを始めてからLOSTAGEにハマりましたね。
中井:LOSTAGEは全員共通で好きだよね。
――mabutaの共通項がLOSTAGEっていうのはとてもわかります。全員ジャンルの違う音楽を聴いていたなかで、「mabutaではこういう音楽をやりたい!」っていう意志疎通はあったんですか?
松本:いや、しなかったです。でも、きっかけはpaioniaですね。みんなでハマって、「速い曲はいらないから、ひたすらいい曲だけ詰めていこう!」ってなったんです。
柏木:あとは明日、照らす。とかplentyもそうだったね。その頃から日本のバンドを聴くようになったんですよね。
松本:それらの出会いを自分たちのバンド性として落とし込んだっていうのも、単純にそういう曲たちがかっこいいからこれやりたい!と思って、そのうえで自分たちなりの感性を混ぜたらこうなったっていう感じですね。
柏木:うん。だから、「こういう音楽を作っていこう!」みたいな話し合いはしたことがないです。全員で合わせながら作っていく感じなので。
――じゃあ、言葉ではなく音で会話しながら、自分たちの求める「かっこよさ」を作り出していくという曲の作り方なんですね。
松本:今も昔もそうですね。全員が納得するところを探していくのは時間がかかるんですけどね。でも、そうじゃなきゃ作っていけないのかもしれないです。
――なるほど。もともとは4ピースバンドだったという話もありましたが、昨年メンバーが3人になったタイミングで編成を戻すということは考えなかったんですか?
柏木:考えなかったですね。自分自身、ギターのフレーズから曲が出来てたりしてたので。
中井:メロディも歌詞も、全部オケが入ってからじゃなきゃ作ってこないんですよ。
柏木:そうなんですよね。3人でスタジオに入っても、歌もメロディも全然思いつかなくて。だから、当時は今サポートをしてくれてる伊東くん(伊東潤/Gt)に速攻連絡して、ツアーが始まる直前だったけど入ってもらいました。
――じゃあ本当にバタバタだったんですね。初の全国流通盤となる1stミニアルバム『THREE』を昨年6月にリリースしていますけど、それとほぼ同タイミングでメンバーが脱退するという事態は相当キツかったでしょうね……。
松本:最初は空っぽでしたけど、そんなことを考えてる余裕もないくらい忙しかったですね。
柏木:そうだね。キツかったんですけど、とにかく必死でした。
――ツアー直前ですもんね。その『THREE』は、ジャパンミュージックシステム・ライブハウス下北沢DaisyBar・音楽事務所プリミティブのタッグで設立されたレーベル「NEVER ENOUGH」からリリースされました。レーベルから声を掛けてもらったときや、自分たちのCDがCDショップに並んだのを見たときはどう思いました?

中井:声を掛けられたときは、怪しいとしか思わなかったですね(笑)。
松本:ライブイベントだと思って出演したら、それがレーベルのオーディションだったんですよ。それを知ったのも当日だったし、ライブ前の顔合わせのときにレーベルの人が「これから優秀バンドを選んでいくわけですが……」って言ったのを聞いたときに、俺らだけ「え?」ってなってました(笑)。資料をよく読んだら書いてあったんですけどね(笑)。でもスタッフさんがその後のライブにも来てくれたし、僕らの地元の秩父にも来てもらって、「信頼できる人だ」って思いました。これは斜に構えてるわけじゃなく、自分たちのCDが全国流通することには興味がなかったんです。でも、いざCDが店頭に並んでる様子や周りの人の反応を見たら、やっぱりうれしくなりましたね。
――じゃあ「有名になりたい!」とか「自分たちの音楽を多くの人に知ってほしい!」といった願望はまったくなかったんですか?
柏木:なかったっすね……。ひたすらライブが楽しかったし、『THREE』をリリースする前に出したデモを引っ提げて回ったときのツアーで知らない場所に行ったり、好きな人が増えたりすることの楽しさを覚えて、それをし続けていきたいっていうのが原動力でした。だから全国流通するからって変な気負いもしなかったですし、今も信頼できる人が身近に増えただけだなと思ってます。
中井:自分たちが好き放題やってきてる中に、信頼できる人たちが加わったっていう感覚ですね。
松本:そうだね。
――いいモチベーションですね。リリースをきっかけにいろいろなライブイベントやサーキットにも出るようになったと思いますが、ライブでのテンション感も変わらず?
中井:ライブにおけるプレッシャーは変わってきたなと思いますね。やっぱり見てくれる人が増える分、ライブ1本に対する気の持ち方も感覚的に変わってきたというか、ライブに対する想いの強さが増したように思います。
松本:裕人はそこの意識は変わってないと思うんですけど、サウンドを作る俺らは結構そこを考えるよね。単純にライブを見てくれる人や聴いてくれる人を増やしたいですし、もっと頑張らなきゃって感じです。
――その想いの変化や「聴かせたい」という気持ちは、今作にも込められてます?
松本:いや、それはないかもしれないっす(笑)。
中井:俺もないですね、自分たちが楽しいほうに振り切っちゃうので(笑)。
松本:レコーディングに関しては、ライブ感を考えるというよりは「いいものを作りたい」っていう意識が強くて、単純に楽しんじゃうんですよね。
柏木:誰かに聴かせたいっていうより、自分たちが楽しみながら作っていって、出来上がってからやっと「これめっちゃいいから聴いてほしい!」って思う、という順番ですかね。
中井:うんうん、その感覚に近いね。
――この流れで今作のお話を訊いていきたいんですけど、今作はどういう流れの中で完成していったんですか?
柏木:ギターが抜けちゃったこともあって、地元で3人集まっても歌のイメージがまったく浮かんでこなかったんですよ。
松本:最初に3人でやり始めた曲作りの方法は、本当にやっつけでしたね。最終的にレコーディングの日までできなかったです。
柏木:ツアー中は次の音源のことを考えてる余裕もないので、レコーディングで音を重ねていって、やっと歌が思いつくっていう感じでした。かなり切羽詰まってましたね。
松本:去年の10月にツアーが終わって、そこから12月のレコーディングの間に新曲を5曲作っていきました。だから実質は1ヵ月で3曲、レコーディング中に2曲っていうペースでした。でも、俺らは追い込まれなきゃできないので、レコーディングはいつもそんな感じです。
柏木:下北沢に1週間くらい泊まり込んでレコーディングをやってたんですけど、歌詞は夜中にひとりで散歩しながら作ってました。ひとりにならないと歌詞が浮かんでこないんですよね。
――それはかなりスリリングな制作でしたね。アルバムタイトルの『A SUDDEN IMPACT』(=突然の衝撃)というフレーズは、リード楽曲の「THAT MEANS A LOT」に出てくる一節ですが、それをタイトルにした理由は?

柏木:ギターがやめたり全国流通が決まったり、ツアー中もその日その日で衝撃を受けてたので、このタイトルにしました。
――前作『THREE』は、「DOPE」や「アンバランス」がまさにそうなんですけど、楽曲ごとのカラーが多彩なアルバムだったと思うんです。でも今作は、例えるなら同一カラーの中で色味のトーンだけが変わっていくような統一性を感じました。そこに対して何か意識したことはありました?
柏木:ああ、たしかにそうですね……今言われて、初めて気がつきました。
松本:これって奇跡的なことだと思うんですけど、たまたまそのときメンバーが感じてたことが同じだったからなのかもしれないですね。俺も今「統一感がある」って言ってもらって納得しました。
柏木:でもたしかに、アルバムの中で色を付ける必要はないなと思ってました。奇をてらわないようにはしましたね。それは単純にいい曲が書けないなと思ったからなんですけど。
中井:さっき挙げてもらった2曲は、前のギターが主導で作った曲だったんですよ。
松本:ライブで爆音を鳴らして気持ち良くなりたい!という一心で「DOPE」が生まれて、「アンバランス」はちょっとバンアパっぽい感じだったしね(笑)。
中井:あの頃の楽曲は、柏木が作ってきたイメージに前のギターのイメージが乗っかってたんだと思うんです。でも今作はそれが無かったから、柏木らしさが全面的に出てるんだと思います。
――なるほど。やっぱり変化は伴いますよね。
柏木:俺の中では結構デカかったっすね。前のギターからインスピレーションを受けることがたくさんあったんだなと改めて思いました。でも、そこまで変わったとは思わなかったかな。
中井:そうですね。制作に関して言えば、アルバム2作目だったから落ち着きがあったんだとは思います。
松本:今回は、前作と同じエンジニアさんにお願いしたんですけど、2作目だからこそグルーヴも上がったし、お互い知ってきた者同士のレコーディングということで、キツいながらも楽しかったです。
――歌詞に関しての変化で言えば、前作で多く出てくる言葉のイメージが「前進」だったのに対し、今作は「探し求めている」や「これからはここにいる」、「僕たちは変わらない」といった、「現状に向き合って、内情的に考える」という心情が読み取れたのですが、思い当たることはありますか?
柏木:ああ、そうですね。前作は「どんどんやっちゃおう!」っていうテンション感だったんですけど、今回はいい意味で気負いがなくなって、地元で普段から考えてるようなことがそのまま歌詞になってるように思います。だからかな……聴いてくれるお客さんに向けてというよりは、自分の考え事っぽくなってるのかもしれないです。あれ、でも内を向いてるのって悪いことなのかな……(笑)。
――いや、悪いなんてことはまったくないと思います! 歌詞を書くときには何を考えていたんですか?
柏木:やめちゃったやつのこととか、地元で一緒にバンドやってる先輩のこととか、ツアー行く先々で感じたこととか、バンドに関係したことばっかりですね。
――じゃあ歌詞に関しては、シーンごとに生まれた感情を1曲に収めるというよりは、この1年で起こったすべてを総括して浮かんできた心情を書き綴った感じですか?
柏木:そうですね。歌詞を作るのは苦手というか、大変だなと思います。言葉が降ってくることはほとんどないので、考えて考えて出さないと出てこないんですよ。
松本:素直じゃないんですよ。ストレートに言い表さないで、回り込んで落とし込む書き方をしてるし、そういうのが上手いなと思いますね。オリジナルを出し始めたときからそうですけど。
――3人でメロディを作るうえでは、何か挑戦したことなどはあります?
中井:「Pale Blue」は、自分の中で新しい部分が出せたと思う曲ですね。
柏木:前作みたいにライブでドカン!と鳴らすということを想定しないで、純粋に良さを追求できた感触はあります。
――今作、聴き心地がめちゃくちゃいいですよね。私は「REPEAT」と「Either way」が大好きです。
柏木:俺もその2曲が大好きです! 「REPEAT」も自分たちの中では新しいっちゃ新しいですね。
――「REPEAT」ではボーカルのハモるところがありますよね。あれはやってみたかったんですか?
松本:あれは「ダブリングかっこいいんじゃない?」って話しててトライしてみたんですけど、実際にやってみたらピンとこなくて、オクターブ下を重ねてみたらハマったんですよね。それはエンジニアさんのアイデアでした。
柏木:その部分も含めて、今回は全体的に試行錯誤しながらやりたいことができましたね。「Either way」もライブではできないけど、アコースティックな感じでやってみましたし。
――大きな別れもありつつ、mabutaに関わる人たちとの信頼を厚くしたうえで、自分たちがやってみたいことを考え、トライして生まれたのが今作だと思います。これからに向けて考えていることはありますか?
柏木:現状、ライブができないことが結構デカいですね。だから今の段階ではなんとも言えないですけど。
松本:次作でも変わらずに、レコーディング直前で焦ってると思います。だから「いいことがあった! 曲を作ろう!」ではなくて、いいことも悪いこともあった期間をひっくるめて作っていくんじゃないかな。
――じゃあmabutaの楽曲の基本は、徒然なる想いを詳細に綴る日記というよりは、一度にすべてを振り返る卒論に近いイメージなんですね。
柏木:ああ、たしかにそうかもしれないですね。
松本:だからこそ、俺ら自身も面白いんだと思うんですよね。出来た曲を聴いて、「これってあのときの感覚に似てるな」って全員が全員違う想像ができるじゃないですか。そういう作り方は面白いなと思いますね。一瞬で崩れるかもしれないし、ずっと続けられるかもしれないし。そういう危ういバランスがいいなと思います。意識はしてないんですけど。
――でもたしかに諸刃の剣というか、夏休み毎日遊べるけど、8月31日にすべてが懸かってるっていうような緊張感がありますよね。
柏木:でも8月1日から30日までがめちゃくちゃ楽しくないと、曲が出来ないんですよね(笑)。楽しいことというよりは、何かしらの出来事がないとダメなんですよね。
――じゃあ、今のこの期間は結構危ないですね。
柏木:そうなんですよ。結構怖いっす(笑)。仕事もなくなっちゃったし。
松本:それはかなりマズい(笑)。
中井:でも、ツアー始まるからさ!
――5月24日に柏DOMEでの無観客生配信ライブ、やってみてどうでした?
柏木:原点に立ち返れたっていうのがいちばんでしたね。4人でデカい音を出して、めちゃくちゃ楽しかったですし。
中井:スタジオとライブの間って感じだったね。
松本:お客さんがいないからメンバー同士でアイコンタクトを取ったりもして、お客さんが全然入らなかった頃のライブを思い出しました。
柏木:いいのか悪いのかはわからないですけど、やってみて良かったし、楽しかったですね。
――何事もトライアンドエラーですもんね。ひとまず、また次の作品がどうなるかに懸かっているので、ツアーができることを願っています!
柏木:まあ、できなかったらできなかったで何かしらあるのできっと大丈夫です。
松本:めちゃくちゃ暗い曲しか出来なかったりしてね(笑)。
柏木:それか振り切って、めちゃくちゃ明るい曲とかね(笑)。
松本:でも、そうやって次がどんな感じになるかを想像しながらこれからの日々を送っていくのも楽しみですね。

【取材・文:峯岸利恵】

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リリース情報

A SUDDEN IMPACT

A SUDDEN IMPACT

2020年05月13日

NEVER ENOUGH

01.THAT MEANS A LOT
02.REPEAT
03.Pale Blue
04.陽の当たる場所
05.Journey
06.Either way

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

mabuta pre.
「A SUDDEN IMPACT RELEASE TOUR 2020」

07/20(月)東京・下北沢SHELTER(ツアー初日)
07/27(月)石川・金沢vanvanV4
08/04(火)静岡・UMBER
08/16(日)栃木・足利SOUND HOUSE PICO
08/20(木)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
08/21(金)山梨・甲府KAZOO HALL
08/23(日)長野・伊那GRAMHOUSE
08/29(土)千葉・柏DOMe
09/07(月)愛知・今池HUCK FINN
09/09(水)大阪・寺田町Fireloop
09/10(木)奈良・NEVERLAND
09/12(土)兵庫・神戸KINGSX BASE
09/13(日)三重・伊勢BARRET
09/23(水)福岡・Early Believers
09/24(木)福岡・Queblick
09/25(金)岡山・CRAZYMAMA2ndRoom
09/28(月)京都・GROWLY
10/06(火)東京・新代田FEVER(ツアーファイナル)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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