名古屋の4ピースバンドpostman、待望の1stフルアルバム『HOPEFUL APPLE』リリース!
postman | 2020.07.01
名古屋を拠点に活動を重ねているpostmanが、1stフルアルバム『HOPEFUL APPLE』を完成させた。過去にリリースした2枚のミニアルバムと、会場限定シングル『迷信.ep』に収録された代表曲の数々、新曲によって構成されている本作は、多彩な演奏で裏打ちされた豊かなメロディを体感させてくれる。全曲が有機的に結びつきながら、「旅」というテーマを浮き彫りにしていくこのアルバムに込められた想いとは? 寺本颯輝(Vo/G)、いわたんばりん(Dr)に語ってもらった。
- ――少年野球のチームメイト同士で結成したバンドですよね?
- 寺本:はい。僕とベースとギターは、少年野球で一緒でした。小学校5、6年の頃に「バンドやろうぜ」って集まって、最初のドラムも同じ少年野球のチームだったんです。その4人は、練習後もよく集まってて、バンドに限らず、いろいろなことに関して、「一緒にやろうぜ」っていうのがあったんですよね。バンドに関しては、まず僕が細々とギターをやり始めてから、みんなでやることになりました。僕が勝手に、「お前、ベース。お前はギターね」って決めたんですけど(笑)。
- ――(笑)。いわたんばりんさんは、どういう縁で加入したんですか?
- 寺本:いわたんばりんは小中学校が一緒で、1個上なんです。僕らが中2で文化祭に出た時に、別のバンドで出てたんですよね。オリジナル曲をやるようになった高1の頃に最初のドラムがやめたので、彼に声をかけました。
- いわたんばりん:僕がサポートメンバーとしてpostmanで叩くようになった最初のライブは、当時、僕がやってた別のバンドとの2マンだったんですよ。そのライブでは、僕だけがずっとステージに残って、ドラムを叩き続けました。
- 寺本:地元の春日井市でドラムをやってるのが、多分、いわたんばりんしかいなかったんでしょうね(笑)。
- ――(笑)。メンバーが固まって、オリジナル曲を演奏するようになってからは、どういう方向性の音楽をやりたいとイメージしていました?
- 寺本:具体的なものはなかったです。今と共通してるのは、「ジャンルとかにこだわるのはやめよう」ってことですね。スケールが大きいバンドになりたかったし、僕は小6の頃から「ミュージシャンになりたい」って思ってたので。僕らが作ったCDとかを昔の自分に聴かせたらワクワクすると思うので、なりたかったバンドになれてます。
- ――今回の作品は、初めてのフルアルバムですね?
- 寺本:はい。最初は「良い曲を集めたアルバムにしよう」ということだけを考えてたので、コンセプトとかはなかったんです。でも、「六芒星」という曲ができて、ライブで披露した時に、“旅”というイメージが出てきたんですよね。それが浮かんだ瞬間、いろんな曲が繋がるような感覚がありました。
- ――最初からアルバム全体のコンセプトが固まっていたわけではないんですね。
- 寺本:はい。結果的にコンセプトが出てきたということですね。なんとなくやりたいものとして頭の中にあったものが、今回、作品として形になったということだと思います。
- いわたんばりん:アルバムのタイトルについて話し合った時に、“旅”っていうのが浮かんだって僕は聞いたんですけど、違和感はなかったです。「そうなんだ? そうだよね」って、すごく自然に受け入れることができたので。
- ――いろんな経験や出会いを重ねる人生という“旅”のイメージはpostmanが一貫して描いてきたことだから、メンバーのみなさんも、コンセプトを自然に受け入れられたんじゃないでしょうか?
- 寺本:そうなんだと思います。去年、「揺らめきと閃き」が入ってる『迷信.ep』を出して、その時は“迷い”がテーマだったんですけど、今回のアルバムによって、“迷い”の先にある“旅”というキーワードと出会えたんだと思います。無意識下で、こういうものを表現したいというのは、僕の中にもずっとあったんでしょうね。
- ――例えば、「探海灯」も“旅”の曲と言っていいですが、物語としても「揺らめきと閃き」とかと繋がっている印象がありますね。どちらの曲も光のイメージが描かれていますし。
- 寺本:そうですね。キーワードや表現の仕方が繋がっているところは、他の曲にもあると思います。狙ってそうなったわけでもなくて、無意識だったんですけど。
- ――このアルバムは、全曲が繋がり合っている印象がします。ブックレットに歌詞と一緒に掲載されている物語も、繋ぎ合わせると、ひとつの大きな物語になりますし。
- 寺本:セルフライナーノートを書いてた時に、「ひとつの物語にしたら面白いな」って思いついたんです。例えば、「光を探している」と「夢と夢」は、昔からある曲ですけど、このアルバムの曲順で聴くと繋がっているんですよ。ストーリーとしての波みたいなものが、アルバム全体の曲順で出せたと思います。
- ――生々しい感情も、すごく描かれているアルバムですよね。
- 寺本:苦しいとか、悔しいとか、ネガティブな感情も、歌詞でかなり踏み込んで描きましたからね。21、22歳って、大人でも子供でもないモヤモヤした期間なので、自分が立ってる場所がわからなくなることも多々あるんです。今みたいにライブができない状況になると、さらにいろんなことがわからなくもなりますし……。でも、こうして素直に感情を曲にしてみると、「不安も期待も同じくらいあるなあ」って感じます。このアルバムを聴くと、自分でも救われる時があるんですよね。
- いわたんばりん:アルバムが完成して、この曲順で聴いてみて、僕もいろんなことを感じました。昔の曲の印象が変わって感じられるのも面白いですね。
- ――様々なことが描かれている中で、「転げ回れ」は、アルバム全体が集約されている曲だと感じました。作品全体を象徴するモチーフである林檎も、歌詞の中で出てきますし。
- 寺本:“林檎”は“旅”というものが浮かぶ前から、漠然と僕の中にあったんです。林檎って、アダムとイブの禁断の果実としてのイメージもあるし、愛の象徴みたいなイメージとか、「1」という数字と結びつく感覚も、僕の中にあるんですよ。
- ――なぜ、林檎が「1」と結びつくんですか?
- 寺本:赤い色のものって、様々な色の中で先頭に存在するイメージが、僕の中にあるんですよね。そんなことを考えていた時期に「六芒星」の歌詞を書いていて、“愛”という言葉が浮かんで、「林檎について描きたい」ということにも結びついたんです。「希望に満ちた林檎=HOPEFUL APPLE」っていうタイトルも、そこから思いつきました。
- ――人生の中で様々な経験を重ねて、少しずつ形作られていくものの象徴が、この作品で描かれている“林檎”ということですよね?
- 寺本:はい。僕たちは、そういう“林檎”を一生背負っていくんだと思います。アルバムのテーマとかは、枚数を重ねる中で、いろいろ変わっていくんでしょうけど、背負ってる“林檎”はそのまま存在し続けて、その時の色や形が反映されるのかなと。そういうことを思ったりもしますね。
- ――今回、サウンド面で多彩なアプローチをしているのも、聴いていて楽しかったです。例えば、「蒼」は、ドラムとギターの絡み方が、すごく独特ですし。
- 寺本:「蒼」は、いろんなリズムを試した曲ですね。
- いわたんばりん:この曲は一旦、形にならなくてお蔵入りになったんですけど、メロディが良いから練り直すことになったんです。
- 寺本:テンポもいろいろ変えたよね?
- いわたんばりん:うん。いろいろ試して形になったのが、今回のアレンジです。
- 寺本:どの曲もそうなんですけど、アレンジはじっくり考えました。今までは「歌詞で言いたいことを言えたら、音はそれに対する表現をすればいい」っていうような感じだったんです。でも、「音楽として楽しむためには、身体で感じて、乗れる部分がないといけないな」と、この1、2年で考えるようになったんですよね。
- いわたんばりん:それは、大きな変化だよね?
- 寺本:そうだね。あと、選曲に関して僕以外の3人が結構中心になってくれたことで、幅広く喜怒哀楽が表現できたアルバムにもなったと思います。
- ――ギターサウンドも、いろいろ工夫しているのを感じます。
- 寺本:リズムギターも、いろいろこだわってますからね。今回、使うコードや音数も格段に増えました。そろそろ演奏で魅せないといけない年頃なので(笑)。ジャンルで言うと、何と表現したらいいのかわからない曲も多くなったんですけど、一貫性はあると思います。僕はひねくれ者なので、「postmanっぽい」って言われるのがずっと嫌で、ボーダーレスにやってきたんですけど、「なんでもありなのがpostmanっぽい」っていうものになってきているのかなと思います。
- ――「浮蜘蛛」や「OLD TALE」に代表されるような、音数が少なめのシンプルな演奏で、グルーヴィーなニュアンスを出す曲も増えてきていますよね?
- 寺本:そうですね。「OLD TALE」は、『迷信.ep』の曲ですけど、その辺りから音の引き算をするようになったんです。
- いわたんばりん:メンバーそれぞれが、いろんな音楽から吸収をするようにもなっているので、そういうのも反映されるようになってきたと思います。「音楽としてもっと広げていきたい」という感覚は、僕の中でもどんどん大きくなってきていますね。
- ――バンド活動という“旅”を続ける中で、メンバー各々が吸収してきたものも、今回のアルバムに反映されたということですね。
- 寺本:そうですね。僕らにとって音楽は、人生の旅の舞台なので。それを表現できたこのアルバムは、バンドにとって、すごく大切なものになりました。人生に於いて必要な1枚を作れた気がしてます。この先、postmanがどうなっていくのかわからないですけど、「六芒星」で歌ってるように、長い旅になるんじゃないかなと。これからも『HOPEFUL APPLE』っていう船で、旅をし続けたいですね。
【取材・文:田中 大】
リリース情報
HOPEFUL APPLE
2020年07月01日
RX-RECORDS/UK.PROJECT
01.探海灯
02.揺らめきと閃き
03.蒼
04.浮蜘蛛
05.セレクティブサンクション
06.Hot Apple Tea
07.君影草
08.OLD TALE
09.光を探している
10.夢と夢
11.愁吟
12.転げ回れ
13.六芒星
02.揺らめきと閃き
03.蒼
04.浮蜘蛛
05.セレクティブサンクション
06.Hot Apple Tea
07.君影草
08.OLD TALE
09.光を探している
10.夢と夢
11.愁吟
12.転げ回れ
13.六芒星
お知らせ
■コメント動画
■ライブ情報
HOPEFUL APPLE Release tour 2020
「万有引力」
※一部公演開催見合わせ
09/12(土)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
09/26(土)渋谷 TSUTAYA O-Crest
10/03(土)名古屋 APOLLO BASE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
■ライブ情報
HOPEFUL APPLE Release tour 2020
「万有引力」
※一部公演開催見合わせ
09/12(土)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
09/26(土)渋谷 TSUTAYA O-Crest
10/03(土)名古屋 APOLLO BASE
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。