フレデリックらしく「遊び」を通して伝えるメッセージ――「ASOVIVA」からわかること

フレデリック | 2020.09.19

 今年2月に横浜アリーナワンマンを成功させ、新章に突入したフレデリック。まさかその後コロナウイルスの影響でこんな世界になるとは想像もしていなかっただろうが、その予測不能な状況下でも、彼らは彼ららしく、自分たちの音楽で遊び続けてきた。SNSやYouTubeでの活動、そして7月に開催したアコースティック編成でのオンラインライブ「FREDERHYTHM ONLINE「FABO!!~Frederic Acoustic Band Online~」」と、この期間中、フレデリックは自分たちが何を届けたいのかという本質を見つめ続けてきたように思う。そして、そんな中で完成したEP「ASOVIVA」。先行して配信された「されどBGM」が物語るように、ここにはフレデリックが貫いてきた音楽観が最新のサウンドにアップデートされて詰め込まれている。来年2月にスケジュールされた初の日本武道館ワンマンに向けて、こんな世の中だからこそ音楽の楽しみを体現したいと燃える4人に、今の思いを語ってもらった。

――今年2月の横浜アリーナから話を始めたいんですが、あのライブ、改めて振り返るとどうでしたか?
三原健司(Vo/Gt):あの横アリが、実際お客さんの前でやったライブとしては一番最後になってしまってるというのもあるし、そこにたどり着くまでの過程とかも含めて、今までのバンド人生で一番の思い出になってますね。そこに行く前にシーズン1~4という形で1年間丸々ツアーをやっていく中で、自分たちとしてもちゃんと成長している実感があってたどり着いたみたいなところがあったし、だからこそまだまだやれるなっていうことを感じた公演でもありましたし。
赤頭隆児(Gt):もう半年ぐらい前だと思うと、またライブしたいなってすごく思いますけどね。2回目のアリーナワンマンでもあったから、次はこうしようって思ってたことが全部できたし、次の武道館に向かっての目標もできたライブでもあったと思います。
高橋武(Dr):今までフレデリックはライブ1本1本重ねていく中での小さい進歩をすごく大事にしてきたので。だからこそ次にみんなが生で見る機会が来た時には、より大きな一歩、より進歩、進化したバンドの姿を見せることが大事だなと思ってます。この自粛期間も今できることを全力でやってきているし、それをみんなに示せたらいいなって思います。
三原康司(Ba):ライブってやっぱりバンドのストーリーを肌で感じられる場所だし、そういう凄い大事な場っていうのが一瞬にして変わってしまって、今ライブをやれない状態になった時に、やっぱり恋しいなってめっちゃ思いましたね。だからこそ自分たちが次に向かっていく時に、この大事な気持ちを音楽っていう形にして届けたかったし、これが今回の「ASOVIVA」にも表れてるんで。自分なりにその恋しさみたいなものを感じた上でどう行動できるか。それを今改めて強く思いますね。
健司:うん。1年ツアーをやってきたことによって、どういう状況であってもいろんな選択肢があるんだなと思えたんです。1年通して一番感じたことはその、選択肢が増えたっていうことだったんですよね。フレデリックのやりやすいやり方で、選べる方法がいっぱい見つかったのはよかったなって。
――なるほどね。
健司:その選択肢も、全然違う方面からボールを投げるんじゃなくて、ちゃんとストレートがある上で、「こういうのもあるんだよ」っていうのを見せられたのがよかったなって。お客さんの中でもイメージがすごく広がったと思うし、「こういうこともできるんだ」って思ってもらえるようになったのかなって。
――すごくしなやかなバンドになったなって思いますよね。だからこそ、この自粛期間もいろいろなチャレンジができたんだと思うし。
健司:前からそうですけど、フレデリックが大事にしているのは自分たちの音楽でどう表現するかで。それはこういう状況になっても変わらない。だから、ライブができないってなったときに、どうやったらSNSで自分たちの音楽をもっとおもしろくすることができるだろうっていうところに頭をシフトできたんです。それで、YouTubeに『ASOVISION』っていう場所を作って、自分たちの音楽を使っておもしろいことをしようみたいな企画をやったりして。
――やり方は違うけど、音楽のおもしろさを伝えたいっていう部分は変わらないと。
健司:うん。自分たちは何を一番先に伝えたいのかっていうのはすごく大事にしましたね。自分たちがやりたいのは音楽やし、その音楽を通して人間性が伝わるべきだと思うし。他の人の動きとかも見て、その中で自分たちはこうなんだっていうことを客観的に確認することができた。その思いは全員一致してたので、そんなに悩むことはなかったですね。
――だから、その『ASOVISION』もそうだし、アコースティックでのオンラインライブもそうだけど、新鮮なのにめっちゃフレデリックっていうものがどんどん生み出せたんでしょうね。
健司:思えば昔からそうやったなと思うことなんですけど、何か1つのルールやフォーマットがあったら、その中でどう遊ぶかってことをフレデリックはすごくやってきたんですよ。音楽に対しても活動に関しても。ひとクセあるよねって言っていただけるところってそういう部分なのかなって思うんですけど、そういう自分たちの長所を考えた時に、オンラインライブだからって普通にやっちゃうのはらしくないというか、それに対してあんまり魅力を感じない。だったら別の方法でやったほうがおもしろくない?っていうのでアコースティックセットという形にしたりして。そうやって何かひと手間加えたいみたいなのが多分フレデリックの個性だと思います。
――あのオンラインライブ「FABO!!」、すばらしかったですね。アコースティックセットっていう範疇を超えて、まさに音楽的に自分たちをリニューアルしていく感覚があって。
康司:そうですね。健司も言ったフレデリックの軸っていうのがあったから、状況が変わった中でもやらないっていう選択肢はなかったし、いろいろ選べたなと思って。そうやっていろんなところに飛び込んで挑戦できるし、意欲的になれるし、探究心は尽きないし。おもしろいバンドだなってすごい思いました(笑)。知らないことに対しては怯えて攻撃しちゃうものらしいんですけど、人って。でも僕らは攻撃するんじゃなくて、それに対しておもしろいと思って、「1回やってみようよ」って言えるのは強さだなってすごく思う。
赤頭:アコースティックバージョンっていうより“アコースティックバンド”っていう名前がしっくりくる感じにできたのが自分としても楽しかったし、バンドが好きな人にも飽きさせへんようにできたんじゃないかなと思って。準備も含めて充実した時間でした。
――うん。ただ楽器をアコースティックに変えましたっていうものじゃなくて、もうリメイクというか、そういうものでしたしね。
健司:たぶんみんな思ってるんですけど、バンドがやるアコースティックっていうものにあんまり魅力を感じないというか。本当に別バンドとしてやってるような感覚でやれているからこそ、自分たちもおもしろくできるんやろうなっていうのもありますし、どういうアレンジにしても曲の良さって変わんないなっていうことも改めて知ることができたし。それこそ音楽を楽しむ、音楽で遊ぶっていうことをちゃんとできるっていうのはすごいことだなって思いましたね。
高橋:セットリストを組んでみんなで合わせてる時も、いろんな選択肢が出てきて。今回をきっかけにアコースティックでもできる幅が広がったなって実感もすごくあるし。意外と、アコースティックで決めたアレンジがエレキ楽器に戻った時に生かされる場面もあったりするんですよ。ライブ自体もすごく楽しかったんですけど、たぶん観てくれた方が想像してる以上に、普段の編成に戻った時にプラスになるものもきっとあるだろうなって思います。そういうものを含めて、フレデリックの姿勢が見えるライブだったなって、満足してますね。
――そんななかでリリースされる今回の「ASOVIVA」ですが。これはどういうところから作り始めたんですか?
康司:状況がいろいろ変わっていく中でライブができなくなった、その中で自分たちが今一番やるべきことは曲を届けることだっていうのはまず見えていて。それで「されどBGM」を先にデジタル配信で出したんですけど、始まりはそこからでしたね。健司が「武道館を遊び場にしたい」っていうことを言って。今自分たちがこういう状況で感じるものだったり、いろんなことに対してのメッセージを「遊び」を通して伝えたいっていうところから始まった感じですね。それで1曲目にできたのが「されどBGM」って感じです。
――今この状況下で言えることっていろいろあると思うんですよね。それこそ「がんばろう」でも「負けるな」でも。その中でフレデリックが選んだメッセージが<たかがBGM されどBGM>だったっていうのがいいなと思って。ずっと音楽を真ん中においてやってきたフレデリックだからこそ発信できる言葉だなと思います。
康司:今までやってきた当たり前が本当に一気に全部変わってしまって。それを感じた時に、自分たちの向き合ってたその音楽っていうものが、衣食住の中で必要なのかっていうことに対して――結構世の中でもあったじゃないですか、なんか「音楽ってどうなの?」みたいな。それって音楽だけじゃなくて他のことにも言えることだなってすごく感じて。「たかが」「されど」ってものって世の中にたくさんあって、その中で自分たちが選択していきたいのは「されど」のほうだなと思ったんですよね。衣食住に較べたら小さなものでも、そのひとつの歯車で大きなものが動いてたり、その人の生活にとってのそのひとつが元気づけてくれるものだったりするじゃないですか。人間として生きていくために、やっぱりそういうものをもっと身近に感じてほしい。“衣食住音”ぐらいにミュージシャンとしては感じてるので、それを伝えたくて作りました。
――制作環境もこれまでどおりとはいかなかったですよね。
康司:制作もリモートってことで、自宅で録ったり、録り方も変わりました。その中でできる幅だったりおもしろいことっていうのを考える中で、自分もベースラインとかをシンベでやったりとか。それはそれでめっちゃおもしろかったですけどね。リモートはリモートで自分に向き合える時間は無限大な部分もあったりしたし、「遊び場」っていうテーマを自分はどう音で表現しよう、みたいなことは結構考えましたね。あとは……やっぱり直接会わずとも、分かってるんだなっていうのもありました。言わなくてもそれぞれがイメージしてることって分かるんだなみたいな。
健司:うん。一緒にレコーディングスタジオで鳴らしてたら、何となく一緒に作ってる感っていうか、迷ってる時に「このテイクいいじゃん」とか言って意見をすり合わせて作っていったりとかっていうこともあるんですけど、リモートになるともう100パーセント自分じゃないですか。だから、「これがこの人の答えなんだ」みたいなことも感じることができたんです。上がってくるもんを聴いて、めっちゃおもろいなって感じでしたね。どのくらいの背景があるのか分からないから、さらっと出てきたように見えるけど、いやでもそうでもないかもしれんし、みたいな。一緒にいると感じ取ることができないものも、リモートだとより感じることができたなって。
赤頭:タイミングもよかったと思うんですよね。バンド始めて10年、武くんが入ってからも時間がちゃんと経って、どう考えてるかとか、「ここは合わせてほしいんやろな」とか、なんとなく分かる関係もできて。ここまで積み重ねてきたものがあったからできたんだろうなって。
高橋:うん、音で会話してる感じは普段よりもあったかもしれない。みんなでいっせーのせで合わせる魅力って、瞬発力による言語化しないコミュニケーションみたいなところだなと思うんですけど、ひとりひとりでやるとその人がどういう思いでそれを弾いたのかっていうのをやっぱり考えるんですよ。隆児くんが言ったみたいに、知らない人同士でやってるわけじゃないじゃないですか。長いこと一緒にやってる仲間だから、これはこういう意図なんだろうな、みたいなところもお互いに汲み取れて。それがすごく楽しかったですね。なんかこのバンドの強さみたいなものを、制作しながらより感じられる感じがしたし、自分たちの音楽力みたいなものを改めて信じるきっかけになったなと思います。
――だから、結果的にすごくちょうどいいところに着地しているなと思うんです。フレデリックらしさと新鮮な部分と。ずっと一緒にやってきて、その中で新しいやり方に挑戦して。そのなかで自然にこの音が生まれてきたんでしょうね。
康司:そうですね。今回基軸としているのはやっぱりダンスミュージックなんですけど、それがフレデリックの中で更新されてきてる感じはすごく感じたし、僕も結構新鮮な感じがあって。これまでのフレデリックを知っている人にとっても新しく、今フレデリックを知った人にとってもおもしろいなって思えるようなサウンドづくりみたいなところは、デモ作りの時から考えてたんですよね。それが実際にちゃんと形になったなって。そこを感じ取ってもらえたらいいなと思ってます。
――そういう、らしくて新しい楽曲をまとめたときに「遊び場」っていうフレデリックにとって本質的なテーマが軸になっているのもすごく重要ですよね。
健司:2020年、2021年は「遊ぶ年にしたい」っていう形で提示したんですけど、そのワードも元々ないところから持ってきたわけでもなくて、フレデリックはライブの中で遊ぶっていうことをすごく大事にしてきて。バンドとして10年ぐらいやってきて、年齢的にも、今年31の年なんですけど、自分たちはどうありたいかみたいなことを考える歳でもあるなと思って。その時に、30代こそ攻めて遊んでるほうがおもしろいだろうなって思って。そういうバンドでありたいし、そういう人でありたい。それをやっぱバンドに共有したいなと思って話し出したら、やっぱおもしろいってなってくれたし、それに対して康司が「ASOVIVA』っていうタイトルを出してくれて。芯がぶれない状態で制作もライブも、自分たちの活動が繋がっていく感じがしましたね。
――ツアー、そして武道館に向けて、フレデリックにしか表現できない「遊び場」を見せてくれることを期待してます。
健司:もちろん今の状況を想定してツアーを組んでたわけじゃないですけど、これからちゃんとルールを守った上でライブしていく中で、この半年間何をやってたかが今後のライブでは絶対求められるなと思っていて。そこをちゃんと提示できる公演にしたい。改めて、フレデリックの音楽を通して音楽自体に楽しみや喜びを見つけていってもらえるライブにしたいなと思いますね。そういう思い自体は、横アリでも『終わらないミュージック』ってタイトルを付けてたし、もともとあったものだけど、そこをもっと突き詰めていきたいなと思います。状況が変わってるから、その中でお客さんがどのくらいのテンションで来るんやろうっていうのは思いますけどね。
康司:お客さんも絶対緊張すると思うし(笑)。
健司:でも来てくれたから楽しませるのが俺らやしね。
康司:うん、楽しむことは悪じゃないっていうことは伝えていきたいですね。それが活力になって俺も生きてるなって思うし。そういうことを伝えていけたらいいなって思ってます。

【取材・文:小川智宏】





フレデリック「Wake Me Up」Music Video / frederic “Wake Me Up”


フレデリック「されどBGM」Official Lyric Video from New EP「ASOVIVA」(2020.9.22 Release)

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リリース情報

ASOVIVA

ASOVIVA

2020年09月22日

A-Sketch

01.Wake Me Up
02.されどBGM
03.正偽
04.SENTIMENTAL SUMMER
05.リリリピート (FAB!!) Live at FABO!! 2020
06.ふしだらフラミンゴ (FAB!!) Live at FABO!! 2020

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

FREDERHYTHM ONLINE
「ASOVISION~FRDC × INT~」

09/27(日) OPEN 18:30 / START 19:00

FREDERHYTHM TOUR 2020
~たかがMUSIC されどMUSIC~

10/10(土)北海道 Zepp Sapporo
10/18(日)宮城 SENDAI GIGS
10/30(金)神奈川 KT Zepp Yokohama
10/31(土)神奈川 KT Zepp Yokohama
11/05(木)大阪 Zepp Osaka Bayside
11/06(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
11/21(土)福岡 Zepp Fukuoka
11/25(水)愛知 Zepp Nagoya
11/26(木)愛知 Zepp Nagoya

FREDERHYTHM ARENA 2021
02/23(火・祝)東京 日本武道館


UNISON SQUARE GARDEN
「fun time HOLIDAY ONLINE」

09/19(土)OPEN 14:00 / START 15:00

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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