大阪発の実力派4ピースバンド・um-humにとっての「自由」とは
um-hum | 2021.03.02
4ピースバンド・um-humの1stミニアルバム『[2O2O]』が、2月26日にリリースされた。結成約2年ほどの新しいバンドではあるが、2020年2月に行われた関西最大級の音楽コンテスト「eo Music Try 19/20」にて優勝を勝ち取り、メンバーに関しては、ギタリスト・ドラマー・ベーシストとして個々人が過去に賞を獲得しているという実力派バンドだ。そんなum-humは、ヒップホップ、ジャズ、ソウルなど、様々な音楽性が混在した楽曲を作り出しており、音楽性としての「彼ららしさ」を一括りにまとめようとするのは難しい。それくらいに自由で可能性に満ちているum-humについて、最新作の話はもちろん、バンドのスタンスについても紐解くべく、メンバー全員にインタビューを行った。
- ――um-hum結成のきっかけはどういうものだったのでしょう?
- ろん れのん(Gt/Key):他大学の音楽サークルのイベントにバンド出演する為に、高校のジャズ研の後輩だったNishiken!!(Dr/Samp)と、ジャズセッションで一緒になったことのあるたけひろ(Ba)を誘いました。プレイヤーとしても信頼のおけるふたりと、ボーカルとしての活動をしていない、友達である小田(Vo)を引き合わせたら面白いかなと思ったんです。当時はバンド名も“チャーハン達人”という名前でしたし、完全に遊び感覚で組みました。
- Nishiken!!:um-humをやる前に、ろんから別のバンドに誘われたことがあって、その時は自分たちの好きなアーティストのカバーをやっていたんです。だから、今回もそんな感じで軽めに音楽を楽しもうや!っていうノリだと思っていたので、抵抗なくさらっと入りましたね。
- 小田 乃愛:ボーカル経験はなかったんですけど、面白いことは何でもやってみたいタイプなので、やるならやるぜ!という感じで話を受けました。
- たけひろ:僕は、当時大学4回生で、就職活動の最中だったんです。そういう時期ではあったんですけど、ろんから「一回やってみない?」と誘われたので乗っかりました。そしたら意外にも良い感じになって、今に至ってます。
- ――でも、初対面の3人がバンドを組むっていうのは、なかなかハードルが高いですよね。
- 小田:やっぱり最初は馴染めませんでしたね(笑)。スタジオのドアを開けた瞬間にシーンとしちゃって、音楽作る人ってこんな感じなんやって、ギャップを感じました(笑)
- Nishiken!!:僕は元々たけひろのことは知っていて、プレイヤーとしてめちゃくちゃ憧れていたんですよ。たけひろと一緒にやりたいという理由で、彼が入っているビックバンドに入ろうと思ったこともあるくらいだったので、スタジオで合わせた時はガクブル状態でしたね。ベースの音しか聴いてなかったな(笑)
- ――各々の所感の違いが面白い(笑)。当初はイベント出演が目的で結成したバンドだったけども、今後も継続していこうと思えた理由はなんだったんでしょう?たけひろさんに至っては、就職活動というひとつのターニングポイントだということでしたが。
- Nishiken!!:1stシングルに入っている「Gum」という曲をスタジオで初めて合わせた時に、この曲めっちゃ面白いな!と思えたんです。展開も多くて楽しい曲だったし、そこから本腰入りましたね。
- たけひろ:きっかけとしては、「eo Music Try 19/20」ですね。実は、その時には就職予定先から内定を頂いていたんですよ。だから正直、コンテストでグランプリを獲った時は素直に喜べなかったんです。けど、そこで物凄く考えて、申し訳ないけれど内定をお断りして、バンドをやっていくことに決めました。
- 小田:ライブを観てくれた共演者の方やお客さんからもらう反応がすごく良かったですし、自分自身も、ライブ後の疲労感は間違いなくあるのに、それでもまたやりたいと思えたんです。そこに面白さややりがいを見出せたというのが、一番の理由ですね。
- ――ろんさんとNishiken!!さんとたけひろさんは、ジャズという共通のルーツがありますが、その3人でどういう音楽をやっていこうと思っていたんですか?
- ろん:全く決めていなかったです。Nishiken!!とたけひろと同じく、僕もジャズ界隈にいた身ではあるんですけど、その当時の音楽は今のビジョンとは全く違うもので、歌モノのポップやロックをやっていました。音楽性が変わっても、ふたりともプレイヤー気質のある人なので、ジャンルを隔てても問題なくやれてましたし、どんな曲を鳴らすにしても良いものになるだろうという確信はありました。
- ――まさに今作『[2O2O]』は、ジャンルで括り切れないほどの要素が詰め込まれた8曲になっているように思いますし、聴いていて意表を突かれっぱなしでした。タイトルにも含まれていますが、2020年という時代の変わり目が作品に影響したという実感はありますか?
- ろん:時代の変わり目が影響したというよりは、2020年は自分たちがこれからどうしていきたいかを考える年ではあったので、それで良い意味で偏ったというか、いろんな色の楽曲を詰め込めたんだと思います。その上で、自分たちがジャンルレスだということは意識せずに、「Ungra」がまさにそうですけど、自分たちはアンダーグラウンドだというイメージは持ってます。あとは、例えば「Yawning」だったら、曲のデモも作らず抽象的なまま渡して、解釈は3人に委ねてみたんです。その方が色んな意見が生まれていったし、楽曲もどんどん広がっていったというのも良い発見でしたね。そうした抽象性の高い曲と、小田が歌詞を書いた曲との二面性があったら面白いなという考えが、今作の中で固まりました。
- Nishiken!!:だからこそマンネリ化せず、ずっとおもろいんですよね。僕自身、ルーツにブラックミュージックがあるんですけど、アレンジに関しては、そこから由来するずらしビートも入れ込めたので、集中してやり切れました。
- たけひろ:僕もブラックミュージックが根幹にあるんですけど、これまでビックバンドに所属していたので、演奏を歌に合わせるというのはum-humが初めてだったんです。だから、歌を一番に聴かせるというところの意識をしつつ、引き算的なアレンジの仕方をしていったので、かなり難しいなという感覚でした。
- ――楽曲の原案はろんさんが持ってくるとのことですが、歌詞に関しては乃愛さんも書かれていますね。作詞経験はなくてもスムーズに書くことはできたんですか?
- 小田:実は、昔から趣味で歌詞を書き溜めていたんです。ピアノを弾けたということもあって、自分で作った曲に詞を乗せたりもしていたので、抵抗感はなかったです。
- ――ボーカルとして、自分で書いた歌詞を歌うということと、ろんさんが書いた歌詞を歌うことはやっぱり違いますか?特にろんさんが書く歌詞って、例えば「芥」や「JoJo」など、文学的な要素が強いから感情移入が難しそうですけど。
- 小田:そうなんですよ!それが本当に難しいです。自分は歌詞の意味や曲の性格をしっかりと考えながら歌っているんですけど、特に「芥」は読み取れなさすぎて、マジでどうしたらいいんやろ?って思いました(笑)。でも、自分で「芥」の性格を考えて、没入しつつ、自分なりの解釈をしていきました。
- ろん:僕が書く歌詞って、思わせぶりというか、色んな人がそれぞれの考え方ができる歌詞だと思うんです。逆に小田の歌詞は、文学的なものもありつつも、提示するテーマがはっきりしている上でストレートに伝えているものもあるので、自分の歌詞の抽象性との対比も面白いなと思ってます。
- ――なるほど。また、um-humはMVも素晴らしいなと思うと同時に、um-humの音楽×映像の親和性の高さに驚きます。
- ろん:um-humを始めた当初から、普通のことをしたくないという意識はあったんです。良い意味でメンバーのキャラクターも立っているバンドなので、音楽を映像に昇華させるところにも凝りたいなとは思ってました。だから、最新の「Ungra」と「JoJo」は、um-humの第一層の部分としては、かなり良いものが作れたと思ってます。
- Nishiken!!:自分も総合芸術が好きだし、そうありたいなと思っているんですよ。音楽、ライブ、映像という色んな方向性から、自分たちを表現していくのは楽しいです。
- ――今作を作り上げた上で、今後の活動への展望などは見えてきました?
- ろん:ヒップホップやジャズ、ストリートといった、ムーヴの第一線にいるめちゃくちゃカッコいいバンドってたくさんいるんですよね。それを知った上で、僕らは敢えてその線には乗らずに、um-humの線の上を進んでいるんです。その進み方は、人から見たら「自由にしてる」と捉えられるかもしれないんですけど、自分たちからすれば、そもそも自由なんですよ。だから、そういうスタンスをこれからも続けていきたいと思ってます。
【取材・文:峯岸利恵】
リリース情報
[2O2O]
2021年02月26日
TBD/A
01.Ungra(2O2Over.)
02.芥
03.Yawning
04.JoJo(2O2Over.)
05.続予報
06.20??
07.space interval
08.secret track
02.芥
03.Yawning
04.JoJo(2O2Over.)
05.続予報
06.20??
07.space interval
08.secret track
お知らせ
■マイ検索ワード
小田 乃愛(Vo)
進化
生き物の進化について調べてました。恐竜の進化系が鳥だっていう記事を見て、進化ってなんやねん?と思って調べました。
Nishiken!!(Dr/Samp)
プリモ保育園 ジンギスカン
園児がパンツ一丁でゴーグルを付けて、よくわからないダンスを延々と踊ってるだけの動画なんですけど、めっちゃ面白くて(笑)カオスなんですけど、そういうの好きなんですよ。観ないとわからないと思うので、とりあえず観てみてください。
ろん れのん(Gt/Key)
クロちゃん ドキドキ生配信
寝る前によく観てます。こっちは質の悪いカオスなので、おすすめはしないです(笑)
たけひろ(Ba)
ロバート 雰囲気ステラおばさん
どツボです。
■ライブ情報
um-hum"[2O2O] Release Event"
03/12(金)大阪 Music Club JANUS
w) PULPS/Bye-Bye-Handの方程式
um-hum&vijon pre.
[2O2O] リリースパーティー堀江編
04/02(金)大阪 北堀江club vijon
w) ステエションズ/Rainscope/トライコット/Shotgun Marriage/夕方の豊野
NOZFEST2021
03/20(土)大阪 アメリカ村6会場サーキット
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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NOZFEST2021
03/20(土)大阪 アメリカ村6会場サーキット
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