yukaDD(;´∀`)、21年間の集大成『21×21』

yukaDD(;´∀`) | 2021.03.16

 力強い歌声と堂々たる立居振舞で圧巻のステージを見せるシンガー、yukaDD(;´∀`)(ユカディーディー)。昨年1月のメジャーデビュー以来、5曲のシングルでさまざまな相貌を見せてきた彼女が、待望のアルバム『21×21』でついにその全貌を現す。どんなパワフルガールが現れるかと思ったら、小さな声で訥々と話すシャイな姿に驚き、むしろ大いに惹かれてしまった。パフォーマンスになるとスイッチが切り替わるというギャップが魅力のyukaDD(;´∀`)、世界にも羽ばたける可能性に満ちた新人である。なお顔文字は汗を流しながら一所懸命に歌う彼女の姿を表しているそうだ。

――幼少時に演歌に触れたのが音楽に開眼したきっかけだそうですね。
yukaDD(;´∀`):3歳のときですね。おじいちゃんの影響で好きになったんですけど、幼稚園のときに大病をして入院してしまいまして。それでおじいちゃんを喜ばせたくて演歌をうたってあげたらすごい喜んでくれて、小さいなりに「歌っていいものやな」って思って、歌手になりたいって思うようになりました。
――そのとき好きだった歌は覚えていますか?
yukaDD(;´∀`):はい。おじいちゃんが島津亜矢さんが好きだったので、その影響で自分も好きになって、「帰らんちゃよか」って歌がすごい好きで歌ってました。
――演歌歌手になる可能性もあったわけですね。
yukaDD(;´∀`):最初は演歌歌手になりたかったんですよ。歌謡学校にも通って、8歳ぐらいまではずっと演歌をうたってました。
――そして8歳のときクリスティーナ・アギレラに出会ったと。
yukaDD(;´∀`):好きな番組のエンディングテーマで流れてきた曲に衝撃を受けたんです。すごくパワフルでソウルフルな歌声で、「こんな声、聴いたことないな。誰やろ?」と思って調べたら、クリスティーナ・アギレラの「Ain’t No Other Man」という曲やったんです。「わたしもこんなふうに歌いたい!」って思って、演歌から洋楽にシフトチェンジして、海外のアーティストの曲を聴き漁るようになりました。
――8歳で洋楽に夢中になるって早いですよね。学校の友達とは?
yukaDD(;´∀`):全然話が合わなかったです。「誰が好きなん?」って聞かれて「クリスティーナ・アギレラ」って言ったら「ん? わからへん」みたいな感じでした(笑)。
――yukaさんのもう一本の柱であるダンスとの出会いは?
yukaDD(;´∀`):ダンスは3歳ごろから習ってたんです。自分がすごいやりたいってわけじゃなかったんですけど、体が弱かったんですよ、小さいとき。月に2~3回、40度ぐらいの熱を出すような感じで。それを心配したおばあちゃんが「何か運動をして、体を強くしたほうがええんちゃう?」って言ってくれて、スクールに通い始めました。やってるうちにだんだん真剣にやりたいなって思うようになって取り組み始めました。
――8歳まではダンスと演歌、8歳からはダンスと洋楽と。
yukaDD(;´∀`):8歳のときに固まったものが今に続いてる感じですね。8歳ぐらいのときに安室奈美恵さんも好きになって、ダンスの見せ方は安室さんに学びました。コンサートとかも観に行って、ああいうふうになりたいなと思って勉強してました。
――資料に《デジタルネイティブ世代を象徴するようにひたすら耳コピ→体現、を繰り返しオリジナリティ溢れる現在のスタイルが形成されていく》とありますね。
yukaDD(;´∀`):最初は英語も聞きなれてなかったので、耳を頼りにするしかなかったんですよ。曲を聴いて発音を練習して、本当に独学でした。演歌をやってたせいでコブシを回すクセがついちゃってたので、それを直したいな、洋楽に合った歌い方をマスターしたいな、って思って、けっこう苦労しました。
――人前で歌やダンスを披露し始めたのは?
yukaDD(;´∀`):最初はスクールの発表会に出てたんですけど、それは5歳からですね。
――目立ちたがり屋でしたか?
yukaDD(;´∀`):目立ちたがり屋やったと思います。発表会とかで人前に立って歌うと、必ず拍手が返ってくるじゃないですか。それを聞くのがうれしくて歌ってました。「頑張ってよかった~」みたいな気持ちでしたね。
――でもお調子者では決してなかったように見えますが……。
yukaDD(;´∀`):ではなかったですね。どっちかというと人見知りで、話すのも苦手な子だったらしくて、おばあちゃんが言ってたのが、「ダンスレッスンでも絶対にyukaは他の子に混じりにいかへんくて、ひとりで練習しとったよ」って。
――現在のライブの映像やMVを見ると度胸満点、威風堂々という感じなので、ふだんの性格とはかなりギャップがあるんですね。
yukaDD(;´∀`):ふだんはおとなしいですね。今でも、小さいころからしたらマシにはなりましたけど、けっこう人見知りな部分があるので。話したりしてコミュニケーションするのが苦手なんですよ。自分にとってのコミュニケーションはやっぱり歌なんです。歌で伝えたいなって思いが強いので、人前に立つとスイッチが入るんです。
――じゃあインタビューも苦手ですか?
yukaDD(;´∀`):(食い気味に)苦手です。めっちゃドキドキします。
――大丈夫ですよ(笑)。ゆっくり話してください。デビューする前は「大阪にすごい子がいる」みたいな感じだったんですか?
yukaDD(;´∀`):全然そんなんはなかったです。ダンススクールでも学校でも自分だけ進路が決まらなかったんですよ。それが中学から高校のとき、まわりがどんどんデビューが決まったりするなかで、自分は何も歌でつながっていないっていう焦りや不安がすごい強かったです。
――Jin Nakamuraさんのオーディションに参加したのは高校生のとき?
yukaDD(;´∀`):高校のとき大阪スクールオブミュージック専門学校に入学して、2年生のときにそこの先生が「オーディションがあるから受けてみたら?」って勧めてくださって、受けたらまさかの合格して、2週間後にロサンゼルスでレコーディングをしました。それがデビューのきっかけですね。
――右も左もわからない状態でいきなりLAですか!
yukaDD(;´∀`):初めての海外に初めての飛行機、初めてばっかりでめっちゃドキドキしたんですけど、「これは試練やな」って思って、「絶対乗り越えるぞ」って気持ちでレコーディングしたのを覚えてます。
――試練には強そうですね。
yukaDD(;´∀`):スイッチが入っちゃうんですよね(笑)。そのときにレコーディングしたのが「HIGH SCHOOL FUNK!!! (English Ver.)」です。
――アルバムに入っているのは録り直し?
yukaDD(;´∀`):当時歌ったそのままです。4年前なので、今聴くと声が幼いですけど(笑)、最初に作ってくださった楽曲っていうこともあって、yukaDD(;´∀`)としていちばん歌ってる曲なんですよ。なので思い入れが強いです。
――そして去年の1月にシングル「Carry On」でデビューして、1年ちょっと経つわけですが、どうですか? 振り返ってみて。
yukaDD(;´∀`):本当あっという間でした。毎日が初めてのことばっかりだったので、いい緊張感を持って毎日過ごしてたなぁって思います。ただ、デビューしてすぐ緊急事態宣言が出ちゃって、なかなかライブができなかったんですよ。11月にコンベンション(26日、Billboard Live TOKYO)で歌ったのが初めてのライブだったので、今年はもっといっぱいできたらいいなぁって思ってます。
――どういう編成で?
yukaDD(;´∀`):ドラム、マニピュレーター、キーボードの方とダンサーさんです。
――あ、じゃあYouTubeに上がっている「HIGH SCHOOL FUNK!!!」の動画がそのときの模様ですね。デビューしての初ライブはどうでしたか?
yukaDD(;´∀`):めっちゃ楽しかったです。久々のライブやったんで、臨場感もあるし、やっぱ生やなぁって思いました。


――やっぱり、たくさんの人に見られていると……。
yukaDD(;´∀`):興奮しちゃいます。いつも出ないような力が湧き出てきますね。でもあのときはすごくドキドキしました。あんまり緊張はしないタイプなんですけど、久々すぎて。ライブはもっともっとやりたいので、早くコロナが収まってほしいです。
――アルバム『21×21』の話に移りたいんですが、僕が聴いてとりわけ気に入ったのが表題曲と「blackboard」なんです。わりと理念的というか抽象的なことを歌っている中にポッと日常的なフレーズが挟まって、yukaさんの存在がぐっと身近になるというか、人間性の解像度が一気に上がると思いました。


yukaDD(;´∀`):ありがとうございます。特に「blackboard」はありのままの自分を表現したいなって思った曲なので、特にラップの部分の<ごはんと一緒に ヒジキを食べたら>っていうところとか(笑)、こういう感じが同世代の方に共感してもらえるかなって思ったので、わかりやすく作詞してみました。
――「blackboard」の人生を黒板に喩えて<塗り替えられてく>と歌うのはうまいなと思いましたが、どなたのアイデアですか?
yukaDD(;´∀`):わたしです。黒板って授業が終わるたびに文字を消してまっさらになりますけど、それと一緒で、人生も毎日違うじゃないですか。そうして日々塗り替えられていくから一瞬一瞬が美しいんだ、っていうメッセージがある楽曲にしたかったんです。あと「21×21」は自分の21年間を振り返って、愛情をテーマにした曲なので、同世代の人に共感してもらったり歌ってもらったりしやすいかなって思います。


――これも<大阪の友達も>の一節がいいですね。「blackboard」や「21×21」が等身大だとすると、ちょっと背伸びしている曲もあったりしますか?
yukaDD(;´∀`):他の曲も自分自身を表してはいるんですけど、「Jealousy」は嫉妬心を描いた恋愛ソングで、自分はまだそこまで強い恋愛はしたことがないんです。でも歌ってて自分でせつなくなっちゃうので、聴いてくれる方にも共感してもらえるんじゃないかと思いますね。
――「Superhero (Special Version)」のMVにはTWICEのMOMOさんが出演していますが、YouTubeの英語のコメントにあれでyukaさんを知ったというのがすごく多くて、さすがの影響力ですね。
yukaDD(;´∀`):ありがたいです。MOMOさんとは同じダンススクールに通ってたんですけど、自分はヘタだったので、いつも後ろから見て「あんなふうに踊れるようになりたいな」って思ってた、4歳くらいからの憧れの先輩やったんです。この曲ができたとき、自分にとってのスーパーヒーローって誰やろって考えたらMOMOさんやなって思ったので、たまたまレーベルが同じやったのもあって、スタッフさんにお願いしてもらったら叶って「えっ!?」ってびっくりしちゃいました。またつながることができてうれしかったし、もっと頑張らな、とも思いましたし……すっごくいろんな気持ちがあります。


――作曲はすべてJin Nakamuraさんで、作詞にはyukaさんも関わっていますけどいろんな方との共作になっていますよね。
yukaDD(;´∀`):Jinさんに曲を作っていただく段階から自分の思いを伝えて一緒に作っていきます。最初に英語詞でレコーディングするんですけど、それを訳して、「この楽曲はこういうふうに表現したい」って伝えながら。
――アッシャーやソランジュなど錚々たるシンガーたちに曲を提供しているトーラ・スティンソンさんとの共作が多いですね。
yukaDD(;´∀`):17歳のときから毎年夏にロサンゼルスに行ってるんですけど、トーラさんは向こうでボイストレーナーをしてくださる方なんですよ。Jinさんと前からお付き合いがあって、ずっと面倒を見てくださってます。
――トーラさんはyukaさんにとってはどんな方ですか?
yukaDD(;´∀`):声も歌い方もすごくかっこよくて、憧れの人のひとりです。自分にもとても丁寧に教えてくださるんですよ。
――yukaさんの歌い方は、R&Bシンガーっぽいパワフルな部分と、日本的な線の細い表現をうまく使い分けている感触があります。
yukaDD(;´∀`):トレーニングしてていつも思うんですけど、声の出し方からもう明らかに違うんですよね。だから真似しようと思ってもなかなか習得できないんですよ。日本人とアメリカ人の違いっていうのはすごくあるなと思います。「あぁ、そういう歌い方もあるんや」とか「そこは柔らかく歌ったほうがいい感じに聞こえるんやな」とか、いろんなことを感じて、いい刺激をもらえますね。
――その違いをどう消化していくんですか?
yukaDD(;´∀`):教えてもらった後は一回必ずホテルに持ち帰るんですよ。同じようにはできないし、オリジナリティを出したいので、自分なりに「どういうふうに表現しようかな」って一日考えて消化して、それからすごく練習します。
――例えば「21×21」の歌い出しの唸るようなゴスペルっぽい歌い方は?
yukaDD(;´∀`):アギレラの影響が大きいかもしれないですね。力強い声に惹かれて、自分もあんな声になりたいな、アドリブとかも入れてかっこよく歌えるようになりたいな、って思って練習してたので。
――あと、声が全体に低めですよね。日本の若い女性歌手には高い声でかわいらしく歌う人が多いですが、わりと珍しいタイプだなと思いました。
yukaDD(;´∀`):もともと低めですし、自分の声質的にかわいくは歌えないんですよ(笑)。あと、アギレラを知ってからは日本より海外のアーティストの、それもブラックミュージックを中心に聴いてきて、本格的な歌をうたいたいなって思って勉強してきたので、自然にそうなったのかもしれないです。
――曲調によってはちょっと宇多田ヒカルさんを思い出させるときがありますね。
yukaDD(;´∀`):たまに言われます。日本の方だと宇多田さんとか安室さんの歌い方に惹かれますね。あとやっぱり低めの声が好きなんですよ。島津亜矢さんも太くて力強いじゃないですか。迫力があるっていうのがやっぱり前提やなって思いますね。
――yukaさんが目標としているのも、迫力のあるかっこいい女性ですか?
yukaDD(;´∀`):かっこいい女性ですね。日本だとダンス&ボーカルでは安室奈美恵さん。海外だとクリスティーナ・アギレラ、みたいな。
――これまでのシングルには必ず英語バージョンと中国語バージョンが入っていますが、やっぱり海外での活躍を視野に入れているということですよね。
yukaDD(;´∀`):これからもっとグローバルな時代になるかなと思ってて、世界に発信していけたらいいなっていう思いで3ヵ国語でやらせていただいてます。中国語はまったく初めてだったんですけど、一個一個の音を丁寧に歌わないと、例えば「あ」の母音でもいろんな「あ」があって、それぞれ意味が違ってきちゃうんですよね。すごく難しくて、「全然意味が違う!」って先生にいつも怒られながらレコーディングしてます(笑)。
――今後はどんな活動をしていきたいと思っていますか?
yukaDD(;´∀`):去年は自粛期間が長くておとなしめの活動になっちゃったので、アルバム発売もあるし、インストアライブだったりとか、歌える場をどんどん増やしていきたいです。いつも進化、成長し続けるシンガーでいたいと思ってるんですけど、わたしの曲を聴いて「あのときこうだったな」って思い出すみたいに、思い出の1ページに残るような歌を届けていけたらいいなって。歌を聴いて思い出が甦ることってあるじゃないですか。
――むかし好きだった曲を聴くとその部屋の空気までいっぺんに思い出しますね。
yukaDD(;´∀`):そうですよね。匂いとかも。そういう楽曲を届けていきたいです。
――最後にアルバムについてぜひ言っておきたいことがありましたら。
yukaDD(;´∀`):『21×21』はわたしの21年間の集大成です。今コロナで世界的に大変な中で、ストレスとか悩みを抱えてる方が多いと思います。癒しって言ったらおこがましいですけど、学生さんから年配の方まで、前向きな気持ちを共有していただけるアルバムになってると思います。ぜひ聴いてください!

【取材・文:高岡洋詞】

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リリース情報

21×21

21×21

2021年03月17日

Warner Music Japan

01.21×21
02.Diamonds
03.#goals
04.Jealousy
05.Changes
06.blackboard
07.Bubble Up
08.Carry On
09.Only Have Love For You
10.Superhero
11.FIGHT FOR YOU
12.HIGH SCHOOL FUNK!!!(English Ver.)

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「鹿の寝方」
こないだテレビで野生の鹿が増えてきたってやってて、「鹿ってどうやって寝んねやろ?」と気になって調べました(笑)。丸まって寝るみたいです(と、検索して出てきた写真を見せてくれました)。

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