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小室哲哉も参加 満足充実のKREVAの武道館ライヴ

KREVA | 2010.12.10

『意味深3』 2010.10.13(WED) @日本武道館

KREVA の過去・現在・未来を堪能できた、二夜限りのライブ
おそらく今、最も充実したライブを行なっているアーティストのひとりが、KREVAだ。KREVAは一回一回のライブに新鮮な気持ちを持って臨む。同じセットリストであっても、毎回異なるオーディエンスであることがしっかり 意識されていて、だからこそその日のライブの中で、その日だけの到達点を見い出してオーディエンスと一緒に突き進む。新鮮な気持ちは、やがて新鮮な感動を生んでいく。中でも「意味深」シリーズは、特別だ。KREVAはいい意味でのアーティスト・エゴを全開にして、スペシャルなプログラムを組む。自らの音楽制作の秘密を公開してリスナーとの距離を縮めたり、普段のツアーではあまり演奏しないナンバーを取り上 げたり。オーディエンスも適度な緊張感を抱えてやって来て、KREVAとフレッシュな気持ちで音楽を分け合うのだ。

武道館のステージには、白い布が幾何学的に吊られていた。爆音とともにそれが切って落とされると、そこにはオブジェのように静止した KREVAがいた。拍手と歓声が起こる。だが、KREVAは微動だにしない。拍手と歓声の波が何度か繰り返された後、満を持して「希望の炎」を歌いだした。
そのボーカルのリズムの重さにびっくり。バックにはおなじみのDJ SHUHOとMPCプレイヤー熊井吾郎の二人。このところKREVAはライブでヒップホップに生演奏のニュアンスを取り入れた独自のグルーヴを追求してい るが、その成果が如実に感じられてスリリングだ。一方でレーザーが会場中を駆け巡り、テープが発射され、炎が噴き上がる演出がオープニングから立て続けに飛び出して、まるでアンコール寸前のような盛り上がりに驚かされる。それはこれから始まる尖鋭的な “意味深”の前に、「お互いにリラックスしようぜ」という、KREVAからオーディエンスに向けた 挨拶にも感じられる。
「こ こからは“意味深”らしく、歌ったことのない曲、出てない曲をやったことのないスタイルで」と言って、KREVA x Perfumeの 勝手にリミックスシリーズ「575Remix」などをメドレー・スタイルで演奏。さらにはライトショーのような演出で「音色」をプレイす る。ハイライトは、ステージ上の3人がガチンコでバトルする「J-POP HIP HOP section」だった。これまで競演してき たスピッツなどの曲をサンプリングしながら、オリジナリティの高いKREVAワールドを現出させる。久保田利伸の名曲「Missing」 を使った曲は、ネタ元がまったく分からず、最後にKREVAがタネ明かしをすると客席からどよめきが起こったものだ。

「2回だからこそちゃんとやるのが大事。今日見にきてくれた人が周りに伝えてくれて、広がっていく」
そして最終盤に小室哲哉を含むバンドが登場。KREVAのリスペクトを 正面から受け止めて、サポートとしては28年ぶりにステージに立つ小室のプレイが冴える。音色と いい、フレージングといい、KREVAの要望に応えつつ、“最新型の小室”が披露されていたのが、意味深ならではの醍醐味だった。
KREVAがLED付サングラスをかけて歌った「エレクトロ・アース・トラックス」やラストの「Changing Same」は、最新アルバム『OASYS』の手応え を生々しく伝えてくれて、嬉しかった。そしてアンコールでは早くも新曲「EGAO」を歌う。KREVAの過去・現在・未来のすべてを堪能できたライブだった。
「こんなに濃い内容なのに、2回だけは残念だけど、2回だからこそちゃんとやるのが大事。今日見にきてくれた人が周りに伝えてくれて、広がっていく」というKREVAの言葉がリアルに響く。
打ち上げで小室が興奮気味に「一緒にやってみて、KREVAのやりたいことがスケルトンのように見えた」と語っていたのも印象的だった。

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル KREVA 小室哲哉 意味深

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リリース情報

OASYS

OASYS

2010年07月14日

ポニーキャニオン

1.道なき道
2.かも
3.たられば feat SONOMI
4.最終回
5.エレクトロ・アース・トラックス
6.Oasys
7.Changing Same
8.Reprise~道なき道~

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