2日で3万人を魅了!『EMTG MUSIC Fes.』初日レポ
EMTG MUSIC Fes.2010 | 2010.12.17
★LIVE直後のキマグレン、一青窈、平原綾香、ゴスペラーズの動画コメント配信中!!
♪左上:キマグレン / ♪右上:一青 窈
♪左下:平原綾香 / ♪右下:ゴスペラーズ
EMTG MUSIC Fes. 2010 ~Heart Music・Heart Live~2010.12.11(Sat)@さいたまスーパーアリーナW / コブクロ、ゴスペラーズ、平原綾香、一青 窈、キマグレン
“心に響く・いい歌” をテーマに開催された、新しいタイプのミュージック・フェスティバル『EMTG MUSIC Fes.』。その記念すべき第一回目が12/11、12にさいたまスーパーアリーナにて行われた。同フェスティバルは“Heart Music・Heart Live”のサブテーマの下、それに賛同した9アーティスト/グループが参加。両日で述べ約3万人を動員し、連日大盛況を見せた。12月11日には、キマグレン、一青 窈、平原綾香、ゴスペラーズ、コブクロ(出演順)が出演。オリジナリティ溢れるアーティストたちが、<それぞれの歌>を大会場に響かせ合った。
まずは波の音とコンガのビートに乗り、キマグレンの二人が登場。バックバンドのメンバーも含め、半袖、短パンの衣装で、いきなり会場を夏へと誘う。「今日は最後まで楽しんでいきましょう」とボーカルのKUREI。1曲目の「海岸中央通り」が始まると、アフリカのソカのビートが会場を一体感で包み、そのダンサブルなビートにオーディエンスが胸を高鳴らせる。続いてISEKIのアコギがクリスピーに鳴り響く中、「SMILE」に突入。レゲエの裏打ちのビートが、会場に心地よさと笑顔を広げていく。 曲の合間に、波の音をバックにして2人がMCをする。「若干緊張しています」とKUREIが言えば、「初めてこの会場で演ってます」とISEKI。KUREIの「温かい音楽がみんなに届けばいいなと思います」の言葉に続く「サヨナラの朝」、そしてISEKIがメインボーカルを取るミディアムナンバーの「あえないウタ」が、切ないメロディで会場中の胸を締めつける。
それが、アッパーなヒット曲「LIFE」で一転。会場の雰囲気がガラリと変わる。合わせて2人もステージ狭しと走り回りながら歌い、応えて観客も曲に合わせてタオルを回す。ラストナンバーは"精一杯今を生きていこう!"というメッセージが会場を鼓舞する「リメンバー」だ。最後には会場全員でジャンプをキメ、キマグレンは一番手ながら会場を温めるどころか、一気に熱くさせたのだった。2010年、最も成長株の2人組らしい、爽やかで力強いパフォーマンスだった。
2番手の一青 窈は、本人いわく「レディ・ガガのような高いヒールを履き、ティーカップの代わりに友人からもらったヤギの人形」を持って登場。会場の手拍子に乗って、スタートのポップナンバー「冬めく」を、まるでオーディエンスのひとりひとりに直に会いに行くように、ステージの端から端まで歩きながら歌う。「何かを初めて体験した時の感動と嬉しさを、この曲を通して思い返してください」との言葉のあと、一青はステージ前方の縁に座り、まるで観客の傍らにいるかのようにあえて会場に近い目線で「はじめて」を歌ったのだった。
躍動的なビートと妖艶な歌世界が魅惑的な「ユア メディスン」から、メドレーでスリリングなナンバー「ウラハラ」へ。さらには、しっとりと女心を歌った「Final Call」。このシークエンスは、彼女が最新アルバム『花蓮街』で描いた“昭和歌謡”の世界の優れたダイジェストになっていた。
"今日、ここにいるみなさんが愛しい人と100年続きますように…"との気持ちを込めて歌われた「ハナミズキ」は、会場中を愛でいっぱいにする。ラストは「みなさんの毎日がうんと幸せであるように」というMCの後、クヨクヨとしていた昨日までの自分に別れを告げたくなる、希望と力強さに溢れた「うんと幸せ」を歌う。そんな一青のステージが終わった後は、とてつもない多幸感が会場を包んでいた。
続いての平原綾香は、クラシック・ミュージックの持つ世界観を、日本語による独特の感性を交えた歌詞と、J-POP的なサウンドの融合によって、唯一無二の音楽として再構築する。そこに彼女の圧倒的な声量と歌の表現力が加わって、この日は終始会場を魅了した。
まず1曲目は、"振り返らずに、そのまま次の舞台へと歩き出そう"と「誓い」が歌われる。そしてMCでは、歌の迫力とは反対に、はんなりとした可愛らしさと、少々オチャメなナキャラが感じられて、会場に好感が広がる。続いて、「今好きな人がいる方や、想ってる人がいる方に向けて…」と、ヨーロッパの古い民謡「Greensleeves」が歌われる。途中、バイオリンのピチカートのようなアクセントの効いたトリッキーな歌声を織り交ぜて、彼女の世界を会場中に提示してゆく。
そして、彼女のデビューのキッカケともなったゴスペルクワイア「Joyful Joyful」が、パワフルに生命力たっぷりに歌われたのが圧巻だった。曲の合間には、メンバー紹介と各ミュージシャンのソロ回し、そして、平原のラップも登場。盛り上がりにさらに火を点ける。続く「星つむぎの歌」ではビジョンに歌詞が映し出され、オーディエンスのひとりひとりが1行1行を心の中で平原と一緒に歌っているように感じさせる演出が印象深かった。
ラストナンバーは、彼女のデビュー曲の「Jupiter」。ロートーンからハイトーンへとスムーズに移行する声域や、驚異的な声量が神秘的ですらあり、悠久の世界へと会場を誘う。まさに歌が会場全体を、神々しい光で包みこむようだった。
4番手には、5人の肉声による温もりのあるハーモニーとコンビネーションが魅力のゴスペラーズが登場。彼らは意外にも、さいたまスーパーアリーナでのライヴは今回が初めてだという。
まずはノリの良いファンキーなサウンドに、5人の特長や個性を盛り込んだアクションつきで歌う「1,2,3for5」で会場の心をツカむ。次のミディアム・バラード「冬響」で一転して、温かく包みこむ。さらに自己紹介を挟んで、肉声のみで表現されるアカペラの世界へと突入。各人それぞれの声が物語を広げていく「星屑の街」を歌う。再びバンド・サウンドに戻って、"最後の恋にするよ"との決意も頼もしい「ミモザ」で、会場をファンタスティックな世界へと導いた。
ここまで来ると、次はダンスブルなセットが欲しくなる。と、5人はガラリと雰囲気を変えて、フィリー・ディスコ風の「愛のシューティングスター」で、ゴージャスなエンタテインメント性を発揮。「永遠に」では、幾重にも重なるハーモニーがエターナル=永遠の幸せを感じさせてくれた。
最後はメンバー5人のみでステージ中央に集まって、円形のアカペラ・スタイルで「ひとり」を披露。これぞ、キラーチューン! まるでプロミスリングをもらった時のような、一体感とスィートネスが、ゆっくりと会場を満たしていった。
そして、この日のトリを務めたのはコブクロ。今年は前半がレコーディング三昧。後半はスタジアムから学園祭、はたまた1家族のためだけの特別ライヴと、大小関わらずライヴを中心に活動を行ってきた彼らも、このイベントが今年最後のライヴになるという。そんなこともあって、この日は通例のライヴとは違う<コブクロが今、みんなに聴かせたい歌>というコンセプトのセットリストで挑む。
"これから行くゼ!!"とばかりに力強い「月光」で会場を一気にトップギアまで引き上げると、続いてはノンストップで今秋リリースされたカバーアルバムから、UNICORNの「Pink Prisoner」を披露。疾走感溢れるナンバーの連発に、会場の温度がグッと上がる。
メンバー紹介を挟み、幸せの象徴である青い鳥に想いを馳せて作ったという次のシングル「Blue Bird」を歌う。この歌は既に彼らのライヴでは何度か歌われていて、人気の高いナンバーだ。その「Blue Bird」のカップリングとして収録が予定されている「君への主題歌」が、雄大に鳴り響くストリングスと力強いバンド・サウンドで歌われる。また、最新シングル「流星」は、"あの満天の星空まで届け!!"とばかりに、2人の声がアリーナいっぱいに響き渡った。
12年前に作ったという、この時期にぴったりのクリスマスナンバー「光の粒」では、<このままこのひと時がずっと続いてくれたらよいのに>との切ない気持ちと、<外は寒いけど、心は何故かほのかに温かい>2人でいることのできる幸せが会場いっぱいに広がっていく。
そしてアンコールは、"みんなの心の曇りが晴れるように"との願いを込めて、これも懐かしいナンバー「どんな空でも」。♪いつしか晴れるよ どんな空でも 僕等はおんなじ光を分け合ってる♪というフレーズが、会場に温かな一体感を与えてくれる一方で、なんとサプライズが!! シンプルなコードに載せて、この日出演した全アーティストの代表曲の1フレーズを盛り込んで歌うという大サービス。セッション代わりの粋な計らいが、最後はコブクロ・ファンのみならず、会場に詰めかけた多くの観客の気持ちを一つにさせてくれたのだった。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【Photo by 土居政則】
セットリスト
キマグレン
- 海岸中央通り
- SMILE
- サヨナラの朝
- あえないウタ
- LIFE
- リメンバー
一青 窈
- 冬めく
- はじめて
- ユア メディスン?ウラハラ
- Final Call
- ハナミズキ
- うんと幸せ
平原綾香
- 誓い
- Greensleeves
- Joyful Joyful
- 星つむぎの歌
- Jupiter
THE GOSPELLERS
- 1,2,3for5
- 冬響
- 星屑の街
- ミモザ
- 愛のシューティングスター
- 永遠に
- ひとり
コブクロ
- 月光
- Pink Prisoner
- Blue Bird
- 君への主題歌
- 流星
- 光の粒
- En-1.どんな空でも