己の想いを歌で伝えあった『EMTG MUSIC Fes.』2日目レポ
EMTG MUSIC Fes.2010 | 2010.12.21
★LIVE直後のCHEMISTRY、JUJU、NOKKO、阿部真央、秦基博、コブクロの動画コメント配信中!!
♪左上:CHEMISTRY / ♪右上:JUJU
♪左:NOKKO / ♪右:阿部真央
♪左下:秦基博 / ♪右上:コブクロ
EMTG MUSIC Fes. 2010 ~Heart Music・Heart Live~2010.12.12(Sun)@さいたまスーパーアリーナW / コブクロ、秦基博、阿部真央、NOKKO、JUJU、CHEMISTRY
初日に続き、入場者数1万5千人を記録した『EMTG MUSIC Fes.2010』の2日目。この日は、阿部真央・CHEMISTRY・コブクロ・JUJU・NOKKO・秦基博が出演し、各々が歌を通じて<己の想い>を会場に響かせ合った。
トップバッターにはCHEMISTRYが登場。まずはしっとりしたバラード「My Gift to You」を歌い、会場へ真心のプレゼントを贈る。続いて、別れの時をなす術もなく受け止める切ない男心を歌った「You Go Your Way」。ダンサブルなビートに乗って、"今は違った景色を眺めていても、きっといつか同じ景色を見れるから、今はそれを信じていて"と歌われる「It takes two」と、CHEMISTRY の2人とDJだけの編成で3曲を披露した。
「最近、ずっとSynergyと一緒にやってきたんで、彼らがいないとちょっとステージが寂しいですね」と、ダンサーチーム“Synergy”の4人を呼び込む。後半はCHEMISTRY+Synergyとしてのパフォーマンスだ。フロントに6人が並ぶ豪華なラインナップに、会場は熱い期待を寄せる。そしてCHEMISTRY+Synergyは、その期待に見事に応えたのだった。
一糸乱れぬダンス・コンビネーションがスリリングな「Sharty」。スパニッシュ・タッチの情熱的なギターが印象的な「Keep Your Love」と、最新2大ヒットを立て続けに歌い、踊る。ダンスしながら歌うCHEMISTRYを初めて観たオーディエンスも多かっただろうが、二人の新鮮な魅力と、来年の10周年に賭ける意気込みを正面から受け止めて、大きな拍手を返していた。
ラストはエキセントリックなビートで押しまくる「夜明け~DAWN~」。しっかりと会場をあたためてくれたのは、さすがだった。
続いてのJUJUは、終始会場を彼女の歌世界に惹き込むステージを展開。まずは「PRESENT」で、会場を希望に満ちた光で包みこむ。続く「素直になれたら」は、"君の全てになりたかった"と相手を想う気持ちが会場に確かに伝わって、オーディエンスの胸を締めつける。
「みなさんと心を通わせられる時間を持てたら嬉しい」と語った後、それこそみんなが待ち望んでいたMy Little Loverの「Hello ,Again~昔からある場所~」を歌って、MCの意図どおり会場と一体になる。直後の小田和正の「言葉にできない」が凄かった。一語一語を噛みしめるようなボーカルが冴え渡る。引き込まれた観客は、あの“ラ・ラ・ラ”の部分を自然に口づさんでいた。
2曲続けてカバーを歌ってシンガーとしての存在感を示した後、JUJUは最新オリジナル・ヒット「この夜を止めてよ」をすっと歌い出す。わずか3曲でJUJUというアーティストの全貌を表現し切る、心憎いセットリストだ。「『愛してる』っていうあなたの言葉は、『さよなら』よりも哀しい」というフレーズに、客席がハートをシンクロさせる。
ラストの「やさしさで溢れるように」は、会場中が歌に浸る光景が印象深かった。きっとオーディエンスがこの歌を聴きながら、自分自身の大切な人を想い浮かべていたのだろう。
そして注目のNOKKOは、アコースティックギター、ウッドベース、パーカッションに鍵盤というアコースティック編成で、この日のステージに臨む。
まずはレベッカ時代の「LONERY BUTTERFRY」や、ソロ時代の「わすれな草」を披露。この楽器編成なら単にしっとり仕上げそうなところを、音楽のスリルをしっかり混ぜ込んだアレンジで会場の耳をつかむ。加えてNOKKOも以前の伸びやかさそのままに、ビッグスケールの歌を伝える。会場は“伝説のボーカリスト”の登場に、やや緊張気味だ。
するとNOKKOは「お友達を紹介します」の言葉とともに、先ほど出演したJUJUをステージに呼び込んだ。まずNOKKOが「私の歌を好きだって聞きました。ありがとう」と言うと、JUJUが「本当にずっとファンでした。小学生のときに初めてNOKKOさんを聴いて」。NOKKOはJUJUの言葉に、すぐさま「年齢のことは聞いてません!(笑)」とピシっと反応したから、客席は大笑い。一気に会場の緊張がほぐれたところで、レベッカ時代の大ヒット曲「フレンズ」をデュエットする。オリジナル・バージョンを活かした上で、アコースティックにリアレンジされた、この世代を越えたコラボレーションに、世代を超えた幅広いファンも驚喜。この日のハイライトとなった。
そして、「フレンズ」の後、NOKKOはアーティストとして覚醒する。レペッカ時代のアクションがよみがえり、「Cotton Time」。最後はムードたっぷりに、ソロ時代のヒット曲「人魚」を歌い上げてくれた。アリーナの観客を前にしての完全復活。“重大事件”と呼びたくなる、快心のライブとなった。
4番手の阿部真央は、ツアーでのバンド・スタイルとはあえて趣きを変えて、たったひとりで登場。だだっ広いステージの上に、アコースティック・ギター1本を抱えてポツンと立つ彼女。しかし、力強いギターのストロークと、その歌声が発せられると、会場はたちまち彼女の歌世界に圧倒された。
"好きな人の全てを知りたい!""恋人になりたい!"と、ストレートに心の内を歌に乗せて吐露した「貴方の恋人になりたいのです」で、会場がシーンと静まりかえる。さらに、高校の頃に書いて、まだCD化されていない「側にいて」。"側にいて!""行かないで!"というストレートな恋心をシンプルな3コードに乗せたこの歌は、聴く者に痛烈に刺さっていく。会場が彼女の”裸の歌“に支配されているのが手に取るように分る。固唾を飲んで、一語一句聴き漏らすまいと、全身で彼女の歌に聴き入っている。
「言葉はすぐに空気に交じって消えるけど、歌は残る。そんな素敵なパワーの交換が出来たら嬉しいです。いつまでも音楽を愛し続けて下さい」との言葉の後、デビューのキッカケとなった「母の唄」を歌う。これも未CD化ながら、これまでライヴで大切に歌われてきたナンバーだ。人間味溢れる母の人となりへのリスペクトが、ダイレクトにガツンと会場に響く。
阿部はまだキャリアは浅いが、すでに一個のアーティストとしての気迫を備えている。全3曲のうち、CDになっていない曲を2曲歌うという大胆不敵さが、かえって彼女の本質を伝えて、会場の心を打った。初めて見るの人を含め、多くの観客が彼女のパフォーマンスと歌に魅了されたにちがいない。
続いて登場した秦基博は、阿部とは対照的に、敢行中のツアーと同じ彼のアコースティック・ギターを中心としたバンド・スタイル。まずは「振り向かずに僕は行くよ 現在(いま)のその先に旅立とう」と歌われる「朝がくる前に」が会場に放たれる。続いて、会場を眺めの良い場所へと誘う、ファンキーでグル?ヴィーな「SEA」。徐々に陽が射していくような「アゼリアと放課後」と、リリースしたばかりの3rdアルバムからの曲を中心にプレイしていく。
「みなさん、今日はさぞかしゆっくりと音楽を楽しんでいることでしょう」と秦。とは言え、そのMCはかなり行き当たりばったりだ(笑)。会場を和ませつつも、「スーパーアリーナに負けない演奏をして帰りたい」と締め、再びライヴに入る。
中盤以降は、お馴染みのギターの爪弾きから始まり、愛をじんわりと会場いっぱいに溢れさせた名曲「アイ」、君に会いに行くよとの力強い思いがヒシヒシと伝わってくる「鱗」。ツアーの絶好調ぶりが伝わってくる、充実したパフォーマンスだ。そしてラストの、市井の人々のドラマがダイナミックに聴く者の心に描かれていった「ドキュメンタリー」が素晴らしかった。ミュージシャンたちの呼吸が伝わってくるバンド・サウンドが、時に力強く伸びやかに、時に繊細に紡ぐ秦の歌声をしっかりとサポートして、完成度の高いステージとなった。
そして、2日間に渡るフェスを締める大トリは、昨日に続きコブクロが担当。数曲を除き、昨日とはセットリストをガラリと変えて挑む。
まずは、小鳥のさえずりのSEの中、ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」を黒田を中心にカバー。抒情的かつ朗々と歌われるこの曲は、勢いとノリの良い曲から始まった前日とは好対照だった。続いて、次のシングル曲に決定している「Blue Bird」で、人々を青い空へと想いを馳せさせる。そして「Blue Bird」のカップリング曲「君への主題歌」。人生という名の映画があったとしたら、その主題歌として流れることを想像して書いたという。「どんなに離れていても、いつでも君が見えるよ」と歌われるフレーズに、オーディエンスは自分の人生を走馬灯のように脳裏に映し出すのかもしれない。
そして「永遠にともに」は、久しぶりに演ることもあり、新しいアレンジで披露。ファンにはたまらない選曲だ。
「今回のライヴは『好きなことを演ろう』と黒田と話して、パッと浮かんだ曲たちで構成してみました」と小渕。続いての「流星」は、歌に込められた想いが壮大に広がっていく。
そしてラストは、こちらも久しぶりの「蒼く優しく」。"自分はあの時目指していたものを得れたのか?"と、人々の心に問う。
アンコールでは、バックのスクリーンに光の粒が映し出される中、「光の粒」が歌われる。"この時よ永遠に続いてくれ!"との願いに合わせた手拍子で、一体となった会場に幸せな気持ちが生まれる。切ないけれど心はとても温かい、非常に人恋しくさせるナンバーだった。
昨日同様、コブクロのこのイベントならではのプレイリストは、1万5千人の観衆を完全に魅了した。
幅広い客層が楽しめる内容と、「歌や、それに込めた想いをきちんと伝えるアーティストたち」という共通項もあって、この2日間、会場は終始温かい雰囲気に包まれていた、。出演後、数々のアーティストから「来年も是非出演したい」との好評価と好感触も得て、観客動員、内容共に充実したイベントになったことも付記しておきたい。
2011年も継続して開催していく、この『EMTG MUSIC Fes.』。来年の第2回目では、再び素晴らしい歌の数々がこの大会場を楽しませるにちがいない。次はいったい誰の、どんな歌が、このフェスを通してあなたの心をとらえるのだろうか? 少し気の早い話ではあるが、今からとても楽しみだ。
【取材・文:池田スカオ和宏】
【Photo by 土居政則】
セットリスト
CHEMISTRY
- My Gift to You
- You Go Your Way
- It Takes Two
- Shawty
- Keep Your Love
- 夜明け~DAWN~
JUJU
- PRESENT
- 素直になれたら
- Hello,Again~昔からある場所~
- 言葉にできない
- この夜を止めてよ
- やさしさで溢れるように
NOKKO(ex.REBECCA)
- LONELY BUTTERFLY
- わすれな草
- Friends with JUJU
- Cotton Time
- 人魚
阿部真央
- 貴方の恋人になりたいのです
- 側にいて
- 母の唄
秦 基博
- 朝が来る前に
- SEA
- アゼリアと放課後
- アイ
- 鱗(うろこ)
- ドキュメンタリー
コブクロ
- WHAT A WONDERFUL WORLD
- Blue Bird
- 君への主題歌
- 永遠にともに
- 流星
- 蒼く 優しく
- En-1.光の粒