シーンを俯瞰しつつも、自分たちの表現に妥協を許さないDragon Ashの最新ライブ
Dragon Ash | 2011.02.15
ツアーがスタートしてまだ2本目とは思えない完成度の高さに、圧倒されるライブだった。
昨年、リリースしたアルバム『MIXTURE』はそのタイトルどおり、Dragon Ashの原点である“ミクスチャー”に改めて焦点を当てた内容だった。ためらいなく音楽ジャンルを飛び越えていく勇気はそのままに、初期よりはるかに力強く、精度の高い音楽作りを打ち出すDragon Ashの姿がそこにあった。ただ一点、気になっていたのは、その“原点帰り”が以前のナンバーと同列に並べられたとき、どんな印象になるのか。それを確かめるには、新旧織り交ぜたセットリストで臨むライブを観るのがいちばんということで、ツアー開始間もない渋谷AXに行った。
オープニング・アクトはオープニングバンド募集企画で勝ち上がったロックバンド“秘密ロッカー”。女子ボーカルと女子ドラムスを擁する4ピースバンドで、肝の据わったパフォーマンスを披露する。さすがにDragon Ashがピックアップしたバンドだ。受けて、オーディエンスは彼らに真摯に応える。見ごたえのあるアクトだった。
そうしてステージを見れば、BOTSのDJテーブルには“RAMPAGE”と書かれたフラッグが掛けられている。BGMが途切れると大歓声が上がり、メンバーがステージに入ってくる。ベースのIKUZONEが手に持っているのは、ライトセイバーだ。Kjの精悍な姿に、さらに歓声が高くなる。
ライブ前半は、「ECONOMY CLASS」など、アルバム『MIXTURE』を中心に進む。スピード感たっぷりに1曲の中で音楽ジャンルを横断していく演奏は、まさにミクスチャーの醍醐味だ。そんな中に「Revolater」などの以前の曲が挟まれると、かえって歌詞が心に入ってくるから不思議だ。2001年にリリースされた名アルバム『LILY OF DA VALLEY』に収録されているこの曲が、現在のDragon Ashの手で演奏される意味はそこにあるのかもしれない。また、こうした以前のナンバーに照射されることで、『MIXTURE』はDragon Ashのスパイラル状の進化を証明していく。
HIROKIのギターも、MAKOTO SAKURAIのドラムも、この自由なサウンドを謳歌するように絶好調。新作からの「FIRE SONG」がかっこいい。それにしても、ダンサーのDRI-VとATSUSHIのスタミナには、毎度のことながら驚かされる。今、ショーアップされたヒップホップ系アーティストのライブにダンサーは欠かせないものとなっているが、それでもダンサーがライブ中、出ずっぱりということはあり得ない。それには演出上の理由もあるのだが、いちばんの理由は“スタミナ”だ。全身運動であるダンスは、非常に消耗する。だからDRI-VとATSUSHIのパフォーマンスは驚異的なのだ。だが、ダンスは、ラップと並んでヒップホップの重要な要素であり、Dragon Ashのミクスチャーにとってヒップホップは欠かせないエレメントであるとしたら、二人のダンサーの表現は不可欠のものなのだ。そしてそれは、僕にはショーアップされ過ぎた今のヒップホップに何かを問いかけているように思えてならなかった。
もうひとつ興味深かったのは、Dragon Ashはロックの側からミクスチャーに挑んでいったバンドだが、この日の数少ないMCでKjが「ロックンロールは好きですか?!」と叫んだのは、ロックという出発点をここで再度確認するという気持ちが働いたのではとも思った。同時に、フィルムを駆使したりする、Dragon Ashならではの独自の“アートフォーム”が完成しつつあることも嬉しかった。 シーンを俯瞰しながら、自分たちの表現に妥協を許さない、ストイックでパワフルなDragon Ashに触れることができたライブだった。ツアーが進むにつれて、Dragon Ashがどんな変化を見せてくれるのか、楽しみでならない。
【 取材・文:平山雄一 】
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リリース情報
MIXTURE
2010年12月08日
ビクターエンタテインメント
1. INTRO
2. RAMPAGE
3. SOCIABLE DESTRUCTION
4. SKY IS THE LIMIT FEAT.TAKUMA
5. AMBITIOUS
6. TIME OF YOUR LIFE
7. ECONOMY CLASS
8. REBELS
9. BEAT SURF 〔ALBUM VER.〕 FEAT.PES,VERBAL
10. FIRE SONG
11. SLASH
12. ROCK BAND FEAT.SATOSHI,KO-JI ZERO THREE
ディスク:2
1. ROCK BAND FEAT.SATOSHI,KO-JI ZERO THREE (VIDEO CLIP)
2. ROCK BAND FEAT.SATOSHI,KO-JI ZERO THREE (NO EDIT VER.)
3. ROCK BAND FEAT.SATOSHI,KO-JI ZERO THREE (MAKING "ROCK BAND")
4. TIME OF YOUR LIFE (VIDEO CLIP)
5. TIME OF YOUR LIFE (MAKING "TIME OF YOUR LIFE")
6. AMBITIOUS (VIDEO CLIP)