全国ツアー中のUNICORN。7月21日、千葉でのライヴ、速報!楽屋の様子も!
UNICORN | 2011.08.01
ツアー2011“ユニコーンがやって来るZZZ...”もいよいよ終盤、ユニコーンが千葉県松戸の“森のホール21”にやって来た。
開演前の楽屋を覗くと、メンバー部屋から何やら演歌が聴こえてくるではないか。そう、名曲「矢切の渡し」。ちぃっとばかし不似合いかなと思っていたら、ケータリングの麻婆豆腐飯を掻き込むスタッフの姿に微妙に似合っていて、なぜか納得してしまった。
そんなスタッフのいる部屋のひとつひとつを、ステージ衣装に着替えた川西さんが見回っている。この日の衣装は“紅の豚”パターンなので、なんだかボーイスカウトの隊長が、これから一緒に冒険に出かける隊員たちの装備をチェックをしているみたいに見えてくる。ツアーを重ねて仕上げの段階に入っているから、段取りはすでにメンバーやスタッフの体の中に入っている。あとは、それをオーディエンスとの呼吸に合わせて“その日にしかできないライブ”をどう仕立て上げるかに焦点は絞られているから、楽屋は適度の緊張感とリラックスが混ざり合って、いい雰囲気を醸し出しているのだった。
前回の復活ツアー“蘇える勤労”ではステージ前に降ろされたカーテンにメンバーのシルエットが浮かび上がるオープニングが感動を呼んだが、今回はユーモラスな映像が開演を飾る。分割スクリーンにメンバーが浮かび上がる度に、拍手が巻き起こり、最後に5人目の手島いさむの姿が映し出されると、歓声はピークに。そう、“ユニコーンがやって来るZZZ...”の主役は、てっしーなのだ。その意外性に早くも気付いたオーディエンスは、騒然! 爆発寸前の期待の中、ライブの幕が切って落とされた。
序盤は、ニューアルバム『Z』収録の「頼みたいぜ」がよかった。ドライブするロックンロールのグルーヴと、コーラスワークというバンド・ミュージックならではの楽しさが凝縮されたナンバーに、会場が揺れる。ワクワクしたくて足を運んだファンは、大満足。で、次はドキドキする番だ。
「手島いさむ物語」で、いきなりてっしーが飛ぶ。宙吊りで現われたてっしーの勇姿に、オーディエンスはド肝を抜かれた後、大笑い。ツアーの最初のうちは飛んでる方も観ている方もハラハラドキドキしたものだったが、当のてっしーもすでに“飛び慣れ”ていて、余裕のパファーマンス。メンバーとコール&レスポンスする歌はもちろん、ギター・ソロも空中で鮮やかにキメる。そのてっしーを、下から見上げる4人。まるで、ノストラダムスの恐怖の大王様みたい(笑)。が、その威厳も束の間、その後、何度も飛び上がるてっしーに、爆笑が起こる。たぶんツアー前に行なわれた“ユニコーン総選挙”で、てっしーはセンターに選ばれたに違いない。そして、てっしーはセンターを立派に務めていたのだった。
「私は高校時代の3年間を、この近くの南柏で過ごしまして」と阿部義晴が話し出す。「マツモトキヨシは、このへんのスーパーから始まったんですよね。昔 はよく買い物しましたよ」というと、地元の方々が盛り上がる。そんな阿部のオルガンの切れは、今日も最高だ。
中盤は「AGONY」や「ウルトラヘブンスーパーマイルド」など、今回『Z』でチャレンジした曲が並ぶ。90年代以降、バンド・ミュージックのリズムは画期的な進歩を遂げたが、ユニコーンは活動を再開するに当たって時代にアジャストすべく積極的に新曲に新しいグルーヴを取り入れた。さすがにツアーの前半は苦労していたが、これらの曲もすっかり手の内に入れて、じっくり聴かせる。
特にツアー中盤から演奏し始めた「Z LIFE」は、LAの一流スタジオ・ミュージシャンが参加したブラスセクションの入ったアッパーな曲で、難易度が高い。一度、演奏してみて、すぐに奥田民生が自らキーボードを弾くと言い出した。その成果は、この日も見事だった。できる限りメンバーだけで演奏しようというDIY精神は、今の若いバンドが見習うべきものだろう。自分たちの音楽のすべてを楽しもうという姿勢が根底にあるからこそ、てっしーの足が地についていなくてもオーケーなのだ。苦手に挑戦というより、現役のバンドとしての息遣いが聞こえてくる。「その心意気やよし!」というわけだ。
最新式ミュージックへのトライという意味では、なんと言っても“ラップ”だろう。川西幸一50歳の記念にリリースされた「半世紀少年」でユニコーン史上初めてラップが登場。『Z』でも「さらばビッチ」で川西&EBIが見事な(?)ラップを披露。EBIは演奏前に誇らしげに紹介する。「甲殻系ラッパー、“シュリンプ・クラブ”、代表は、川西幸一!!」。シュリンプ=エビと、クラブ=カわニしのコンビは既成事実としてステージを我が物顔で暴れまわるのだった(笑)。
また、EBIがアドリブで歌詞を変えて歌う曲では、EBIが♪渡って 渡って♪と歌うと、すかさず民生が♪矢切のぉ?わーたしぃ?♪と切り返す。そう、楽屋でかかっていた演歌は、矢切の地元、松戸に対する現地サービスの仕込みだったのだ。
まあ、そんなこんなで、今回のツアーも、めっちゃ楽しいわけですよ。
アルバム『Z』のデモ制作のスタートなった「ライジングボール」に始まり、最後にレコーディングした「デジタルスープ」で終わるライブは、アルバムとツアーの2本柱を堅持する王道のロックバンドのやり方だ。さらにアンコールの最後の最後で演奏された「裸の太陽」は、一昨年の復活を成功裡に終えたユニコーンが、その活動の継続を表明するように昨年リリースしたシングル曲。かつてのヒット曲に頼らず、まさにユニコーンの完全現役復帰を象徴するセットリストだと言えるだろう。
ちなみにユニコーンと同期の“バンド・ブーム”出身のミュージシャンたちから、「“デジタルスープ”は名曲だ」という声を盛んに聴く。一方で、「頼みたいぜ」では、若いミュージシャンたちから「どうやったら、あんなに楽しく演奏できるの?」というため息が上がる。前例のない復帰を果たした“怪獣”ユニコーンを、機会があったらぜひ体験してほしい。
秋のアリーナ・ツアーでは8月末にリリースされる『Z』の兄弟アルバム『ZII』の曲が追加されるという。またまた楽しみだ。
さて、秋のセンターは一体、誰?!
【 取材・文:平山雄一 】
リリース情報
Z【初回生産限定盤】
2011年05月25日
KRE
1. 頼みたいぜ
2. Z LIFE
3. デジタルスープ
4. 手島いさむ物語
5. AGONY
6. SAMURAI 5
7. 明日
8. ゆめみら
9. ウルトラヘブン スーパーマイルド
10.オレンジジュース
11.いい雨
12.ライジングボール
13.さらばビッチ
14.裸の太陽
[DISC 02]
1. 裸の太陽
2. 与える男
3. WAO!?SMA?WAO!
4. 大迷惑
@2010.10.17 ベストヒット☆SMA at 渋谷C.C.Lemon Hall
5. Uc Goes To Hollywood Part2
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INFORMATION
♪ユニコーンツアー2011
ユニコーンがやって来る zzz...
◆開始日:2011年5月26日(木)~
※ツアーの詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい