Hilcrhyme、念願の地元・朱鷺メッセでのライブ“Live in TOKI MESSE-朱ノ鷺-”開催
Hilcrhyme | 2011.08.25
念願の地元・朱鷺メッセでのライブ“Live in TOKI MESSE-朱ノ鷺-”を実現させたHilcrhymeの二人、TOC、DJ KATSUの歓びが爆発した一日だった。
メッセの広大な フロアを、7,000人が埋める。オーディエンスの年齢層は、幅広い。それこそ小中学生から、サラリーマンとおぼしきお父さんまでがカラフルでカジュアルな服装で終結。もちろんヒップホップ大好きなボーイズ&ガールズたちも気合を入れて開演を待っている。と、いきなり照明が落とされて、真っ暗に。ステージ上方のスクリーンに“朱ノ鷺”のシンボルマークが大写しになる。
ふいにステージ に現われたTOCが、そのまま空中に浮かび上がったから、フロアはもう大騒ぎだ。TOCは浮遊しながらこの日までの思いをナレーションのようにラップする。強いメッセージを、心の深いところに届ける素晴らしい声だ。
DJ KATSUが加わって、オープニングはもちろん「朱ノ鷺」。♪はばたき続け こんなところまで来た♪というリリックどおり、TOCは何度も空を舞う。一曲目のエンディングで、TOCは「Hilcrhyme、朱鷺メッセ、襲来!」と鮮やかに宣言したのだっ た。
続く「トラヴェルマシン」で、ダンサー6人が登場。踊る、踊る。煽る、煽る。加えて、ステージを絵画のフレームのように彩るライティング・セットが点灯される。この三重の“光るフレーム”は奥に行くほど小さくなっていて、ステージを立体的に見せる。傾斜なしの完全に平らになっているフロアから見上げると、どの位置からもステージがファンタジックに見えるスグレモノだ。この後、フレームに映し出される模様が次々に変化していき、このライブを盛り上げる要素として、重要な役割を果たすことになった。
2曲でアッという間に観客に火をつけたHilcrhyme。TOCが話し始める。「ようこそ、俺たちの朱鷺メッ セへ。準備万端、そっちはどう? このライブが決まった1月からドキドキしてたけど、みんなはどう?」。当然、フロアは大歓声で応える。すると、TOCは胸と肩の筋肉をピクピク動かす“ポッピング”というヒップホップ・ダンスのテクニックを使って、ドキドキする感情を表現。これにはオーディエンスも大喜びで胸を高鳴らせ、その高鳴りのまま「RIDERS HIGH」へ突入。このあたりのステージングの洗練度は高い。スピーディなスクリーン映像とともに、会場は熱を上げていく。
次のシークエンスでは、TOCの「DJ KATSU、今日は何してくれるの?」というMCに促されてKATSUがピアノの前に座り、美しい和音を奏でる。それを聴きながら TOCが「ここから3曲は、ひとりの男の物語」と語り出し、切なくてスイートなHilcrhyme流ラブストーリーが展開される。物語の最後は、4人のストリングスが登場して、二人が初めて作ったオリジナル「もうバイバイ」で締めた。
「今日は緊張してます。だって初のアリーナ・ワンマンだからね。こんなにたくさん来てくれて、ありがとう。作品が出来たらお披露目は新潟でずっとやってきた、今日も誰も聴いたことのないものを聴かせてあげるよ」とTOCが言って、アカペラで歌い始めたのは、「息吹」だった。
自分にも言い 聞かせるように音楽への情熱を歌い上げる「息吹」に、会場は聴き入る。Hilcrhymeの音楽 に対する愛と、地元に対する愛の両方を感じて、新潟に集まったファンが感動しているのが分かる。このライブのハイライトのひとつだっ た。
「今までやって 来た2つのツアー、“リサイタル”と“MESSAGE”の今日は集大成。そこに最新の俺たちを 聴かせる。ここからの第2章は、バンド・セッション!」とTOCがバンドを紹介。ギター、ベース、ドラムス、キーボードの4リズムに、サックスを加えた5人のバンドが生の音を響かせる。いつもはトラックで表現されるDJ KATSUの音楽が、楽器の音で再現される。そもそもヒップホップは、“楽器を買えない若者の表現手段”としてターンテーブルが主役になったのだが、本来は楽器で表現したかった部分もある。バンド・サウンドの大きな音圧に対するTOCのボーカルにまだ課題はあるが、自分たちの音楽をとことん追求する姿勢があるので、それも間もなく解消されるだろう。
かっこよかった のは「LAMP LIGHT」だった。ドラマーがアフリカの太鼓“ジャンベ”を叩き、頑張る人を鼓舞するこの歌の持つ原初的エネルギーを伝える。DJ KATSUのイメージした“もうひとつのLAMP LIGHT”が、ジワリと沁みてきて感動的だった。
ダンサー、ストリングス、バンドなど、スペシャル感満載。この日に向けてDJ KATSUとTOCがドキドキしながらプランを練っている姿が目に浮かぶ。終盤はそんなふたりの思いがオーディエンスに全面的に伝わって、盛り上がる、盛り上がる。中でもDJ KATSUのストイックなサウンドと炎を使った演出が、TOCの切れのよいライムを際立たせた「No.109」が素晴らしかった。また「ティーンエイジャーの君たちが主人公の物語です」とTOCが言って始まった「ルーズリーフ」では20数名のキッズダンサーがステージに上がり、Hilcrhymeの自由と夢にあふれた物語にリアリティを与える。 最後はバンドとストリングスをバックに「春夏秋冬」をじっくり歌う。初めて生で演奏されるプレミアムなヒットチューンに、観客ひとりひとりがそれぞれの思いを重ねて、Hilcrhymeとこの日の感激を分け合ったのだった。
アンコールでTOCは感情を爆発させる。「アンコールをもらえたってことは、俺と(DJ) KATSUで自由勝手に暴れようと思います。10年、新潟でやってきました。どんなに小さなところでも、大きな会場でも、二人でやってきました。俺は忘れないぜ、1つたりとも」と力強くTOCが言い放って歌い始めた「リサイタル」が、この日のベスト・パフォーマンスだったと思う。それはTOCの言うとおり、彼らが二人だけで培ってきた実力のすべてが結集されていて、今のHilcrhymeを象徴していた。長丁場のライブの最終盤に、たった二人でベストを見せつける。それこそがスペシャル・ライブ“Hilcrhyme Live in TOKI MESSE-朱ノ鷺-”の、最高のスペシャルだった。そして最後のプレゼントはニューシングル「パーソナルCOLOR」だった。
終演後、オーディエンスはいつまでも会場周辺に残って、この日の感激の余韻を楽しんでいた。
【 取材・文:平山雄一 】
セットリスト
- 朱ノ鷺
- トラヴェルマシン
- RIDERS HIGH
- BOYHOOD
- 雨天
- もうバイバイ
- 息吹
- イバラの道 feat.BOXER
- 臆病な狼
- LAMP LIGHT
- Little Samba ~情熱の金曜日~
- My Place
- 純也と真菜実
- 友よ
- East Area
- No.109
- Moon Rise
- ♪メリーゴーラン♪
- 射程圏内 feat.SUNSQRITT
- ルーズリーフ
- no one
- 春夏秋冬 ENCORE
- リサイタル
- 大丈夫
- パーソナルCOLOR
お知らせ
「(仮) Hilcrhyme Zepp Tour 2011」
2011年11月12日(土) Zepp Nagoya
2011年11月13日(日) Zepp Osaka
2011年11月26日(土) Zepp Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください