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出し惜しみ、なし! サプライズ連続ライヴ

Hilcrhyme | 2011.12.12

 暗転と同時にフロアに広がったのは、ファンが手にしたスティックライトの様々な色の光。ステージに出てきたDJ KATSUは、その光を浴びながらブースに向かった。そして彼が流し始めのはもちろん「朱ノ鷺」。それに合わせてステージの巨大スクリーンには、日本地図、そして新潟の地図が浮かび上がった。そこにオーバーラップするように数字が並ぶ。数字が切り替わりながら最後に止まったのは「2011 11 26」。同時にTOCの“朱ノ鷺”というささやき声が会場に響く。フロアから沸き上がる歓声、ドラマティックなトラック、そこにTOCのラップが絡む。すべてのエネルギーが1つになりながら“Hilcrhyme Zepp TOUR 2011 続-朱ノ鷺-”のステージは始まった。

 しかし声の主はステージにない。いつも神出鬼没とも呼べるオープニングなのだが、この日、TOCは二段構成の上段ステージの中からゆっくりとせり上がってきた。その瞬間、会場の興奮は一気にスパーク。フロアの光は激しく揺れ、歓声がTOCとDJ KATSUを強く包みこむ。上段と下段で縦に並んだ二人からは、それ以上にパワーを感じさせる前向きなメッセージと飛翔感あるトラックが放たれていった。“トラベってるかー!”と煽りを喰らわせながら「トラヴェルマシン」へ突入すると、ダンサーも加わりライヴをさらに激しく演出。フロアを埋め尽くしたファン全員もまたダンサーのようにリズムに合わせて踊り、すさまじい一体感が生まれていった。さらに“心臓の鼓動が聞こえるぐらいドキドキしてた? じゃあ、もっとドキドキさせてあげるよ”と「RIDERS HIGH」へ。

 アンコール・ツアーというだけあって、8月の朱鷺メッセを連想させる流れがここに再現され、開始早々、ライヴはクライマックス状態だ。しかし勢いだけで転がり続けるのではなく、ここからヒルクライムは自分達の多面性や可能性も次々に形にしていった。 「BOYHOOD」からは、TOCが芝居っ気たっぷりにストーリーテラーにもなって、“1人の男の物語”と称してライムや思いをメロウに響かせる。DJ KATSUによるピアノ・フレーズも実に切ない。ちなみにこの物語の最後に据えられていた「もうバイバイ」は二人で作った初のオリジナル曲だ。かと思えば東京では誰の聴いたことのない「息吹」も披露。そして「押韻見聞録」からはドラム、ギター、ベース、鍵盤、サックスも加わった生バンド・スタイルで曲を決めていく。オーガニックなグルーヴとダイナミックなサウンドは、聴き馴染んだ曲を新たなものへ進化させてもいた。TOCも“生音、サイコー!”とその手ごたえに大喜び。

 インスト「SKYDRIVE」では、パーカッションとDJ KATSUのスクラッチによるバトルも繰り広げられ、スリリングな場面が展開。そこから今度はパイレーツ・オブ・カリビアンを思わせる海賊ファッショに身を包んだダンサー達がダンス・バトル。その勝負に決着を付けるべく、最後に登場したのはジャック・スパロウならぬ海賊のボス姿のTOCだった。とにかく聴かせどころも見せどころも満載で、ステージ上もフロアも笑顔が絶えないライヴだ。

 しかしTOCがいつになく強い口調で語る瞬間が一度だけあった。それは「no one」のときだ。“魂込めて歌います”と誓うように語るTOC。これは東日本大震災後に作られた曲で、大事な人をさらに大切に思う気持ちも込められている。2004年の中越大地震を経験し、人とのつながり、生きることの素晴らしさを強く感じたからこそ生まれる願いが、この曲にあった。それは胸を熱くし、コーラスは自然と大合唱になり会場に響き渡る。ここから描かれる美しきナンバー「春夏秋冬」で本編は感動的に締めくくられた。

 アンコールでは、いつもダンサーとしてライヴに加わっているCLOPとTHUG-HOMEYが今後、ヒルクライムの正式なライヴ・メンバーになることも発表。そんな8人から最後の最後に、ちょっと早いクリスマス・プレゼントとして「マイクリスマスキャロル」がファンに贈られた。

【 取材・文:長谷川幸信 】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Hilcrhyme

リリース情報

RISING

RISING

2011年12月07日

ユニバーサルJ

ディスク:1
01.パーソナルCOLOR
02.友よ
03.TOKYO CITY
04.ポンピラ
05.Dancers Anthem
06.臆病な狼
07.二〇一一日本ニテ記ス
08.Changes
09.マイクリスマスキャロル
10.Extraction -Instrumental-
11.LOOP
12.no one
13.RISING MARCH
ディスク:2
1. 臆病な狼 -Music Video-
2. no one -Music Video-
3. パーソナルCOLOR -Music Video-

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セットリスト

  1. 朱ノ鷺
  2. トラヴェルマシン
  3. RIDERS HIGH
  4. BOYHOOD
  5. 雨天
  6. もうバイバイ
  7. 息吹
  8. 押韻見聞録
  9. 臆病な狼
  10. LAMP LIGHT
  11. Little Samba ~情熱の金曜日~
  12. SKYDRIVE
  13. ~Dance Performance~
  14. East Area
  15. No.109
  16. Moon Rise
  17. ♪メリーゴーラン♪
  18. 友よ
  19. ルーズリーフ
  20. no one
  21. 春夏秋冬
  22. ENCORE
  23. リサイタル ~ヒルクライム交響楽団 作品第1番変ヒ短調~
  24. パーソナルCOLOR
  25. 大丈夫
  26. ENCORE2
  27. マイクリスマスキャロル

お知らせ

■ライブ情報

Hilcrhyme RISING TOUR 2012
2012年1月09日(月・祝)横浜BLITZ
2012年1月14日(土)高知BAY5 SQUARE
2012年1月15日(日)高松オリーブホール
2012年1月21日(土)渋谷公会堂
2012年1月22日(日)渋谷公会堂
2012年1月28日(土)ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
2012年1月29日(日)金沢市文化ホール
2012年2月04日(土)岩手教育会館
2012年2月05日(日)郡山Hip Shot Japan
2012年2月11日(土)栃木県教育会館
2012年2月12日(日)長岡市立劇場
2012年2月17日(金)京都会館第二ホール
2012年2月19日(日)アクトシティ浜松
2012年2月24日(金)広島アステールプラザ(大ホール)
2012年2月25日(土)周南TIKI?TA
2012年3月03日(土)倉敷市芸文館
2012年3月04日(日)愛知県芸術劇場
2012年3月10日(土)Zepp Fukuoka
2012年3月11日(日)大分DRUM BE-0
2012年3月18日(日)仙台市民会館
2012年3月20日(火・祝) 青森Quarter
2012年3月24日(土) 札幌市教育文化会館(大ホール)
2012年3月31日(土) 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)
2012年4月07日(土) 新潟県民会館
2012年4月08日(日) 新潟県民会館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください

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