前へ

次へ

熱狂と絶叫の渦中敢行 終始、ソウルフルな愛と情熱的なシャウトに満ちたTHE BAWDIESの武道館コンサート

THE BAWDIES | 2011.12.09

「ロックンロールは感じたものを音にするもの。ソウルは感じたものをシャウトするもの。今日はそれを全力で伝える」と、ライヴの序盤でボーカル&ベースのROYは、会場の熱狂と絶叫の中、そう伝えた。そして、まさにそれを体現するかのような、思いっきり愛に溢れていたライヴ、いや、ロックンロール・パーティが、この日の武道館では終始展開された。

そう、この日は、彼らの「LIVE THE LIFE I LOVE TOUR 2011」のツアーファイナル。繰り返しになるが、場所は今昔問わず<ロックの殿堂>であり続ける、日本武道館であった。ライヴ中のMCでROYは、「この武道館は、けっしてゴールでも通過点でもなく、これがスタート」と語っていたものの、彼らに多大な影響を与えたあのザ・ビートルズも来日公演を行ったこの地は、彼らにとっても憧れであり、きっとそこでのプレイは感慨深く、また格別であったことだろう。

そして、この日は、ニューアルバム『LIVE THE LIFE I LOVE』のレコ発ライヴにして、それらの曲のプレイはもちろん、インディーズ時代の曲や代表曲や人気曲も目白押し。アンコール3曲を含みプレイされた全26曲は、終始会場を熱狂と絶叫の渦へと惹き込みっぱなしであった。

当日の客席は、いわゆるステージの真後ろまでもお客さんを入れる360℃スタイル。1万3000人が集まったというその壮観図は、例えステージの後ろの席であろうが、彼らが見切れてしまうステージサイドの席だろうが、正面席だろうが、二階席のステージから最も遠い席だろうが、彼らのソウルフルさとシャウトを交え放たれる濃厚な愛を抱きしめようと、時に嬌声で、時に呼応で終始ステージに愛を求め、BAWDIESは、それをガシッと掴み、離さぬように、けっして薄まることのないディープなラブソングの数々を会場のどんな席にもストレートに伝え、会場中をシビレさせ続けていた。

会場中に彼らの登場SEである、SAM&DAVEの「SOULMAN」が鳴り轟き、それが終わるとステージがいきなり暗転。張り裂けんばかりの無数の嬌声が飛び交う中、ステージ頭上の巨大ミラーボールがファンタジーに回転し出す。そんな中、タイトな体躯のシルエットの4人が現れる。その姿を見、一層高まる嬌声。その中、ドラムのMARCYによる、4カウントと共に「I BEG YOU」に入ると、ステージ後方に用意された、THE BAWDIESの筆記体による電飾も灯り、ロックンロールショーが転がり出していく。ドライヴィンでソウルフルなロックンロールの同曲。ROYのローでしゃがれたセクシーさ溢れる歌声が会場をソウルフルに包む。
「今日のルールは単純明快。思いっきり楽しむこと」と、ROYから会場にリミッタ―解除の宣言が成され、それを倣うように、続くJIMの豪気なギターソロも轟いた「JUST BE COOL」と、それに負けじとTAXMANもソロを飾った「SHOW ME UP」では、会場も無礼講とばかりに、序盤から会場はダンスパーティと化す。

この日もROYは、会場の大きさや広さをものともせず、「愛」を何度も惜しみなく叫び続けた。「お前が欲しい」的な濃厚でディープな愛が何度も繰り返された「LOVE YOU NEED YOU」、性急的なロックンロール・リバイバルナンバー「KEEP ON ROCKIN’」では、会場に惜しみない無償の愛を与え、この日は、TAXMANも「WHAT A LONEY NIGHT」、あのビートルズがこの武道館で公演を行った際にプレイされた「I’M DOWN」、グイグイ惹き込み、会場にジャンプの嵐を生んだ「B.P.B」の3曲で自身の喉を披露。ショ―のバリエーションとアクセント付けを行う。そして、弾んだ感じを会場に呼び込み、ゴキゲンな気分に会場全体を満たしてくれた「EVERYDAY’S A NEW DAY」、ウキウキとしたハッピー感で会場を包んだ「ANNE」と、この日は同じハッピー感でも違ったバリエーションでの多福感を会場に寄与する。

そして、中盤の「I’M IN LOVE WITH YOU」では、これまで彼らの背中を見ながらライヴを楽しんでいた、後ろの客席の人にも返礼。ドラムのMARCYの座がぐるりと180℃回転(しかもMARCYの人力にて)、”寂しい思いをさせた分、特別サービスするよ”とばかり、彼がフロントになる形で「I’M IN LOVE WITH YOU」がプレイされる。 この日は彼らの軌跡を振り返るようにインディーズ時代の曲も幾つか披露された。その中でもオープニングを飾った、彼らの中でも大切な「I BEG YOU」と、彼らが一番最初に作ったオリジナルナンバーでもある「SHAKE IT BABY」は、この大舞台が故に今までとは違った響き方をしていた。

“悲しみなんて全てここに置いていけ!!”とばかりに歌われ、会場を聴き入らせた「SAD SONG」を経、後半に入ると更に彼らの加速度も上がり、場内の熱狂度も増していく。会場をダンスフロアへと誘った「IT’S TOO LATE」、シェイクの嵐に巻き込んだ「YOU GOTTA DANCE」、本編最後の「A NEW DAY IS COMIN’」では、会場中も一緒に歌う大呼応。ラストはROYのとびっきりのシャウトで締め。最高のロックンロールパーティのクライマックスを見せる。

アンコールでも彼らの放つ愛はヒシヒシと伝わってき、その手は緩められることはなかった。
まずは、毛皮のマリーズのボーカル志磨のリクエストでもあった、3声のコーラスが活きるメロディアスなバラードナンバー「BECAUSE」(カバー曲)では、ムーディーでラブリーな雰囲気を作り出し、続く、「KEEP ON ROCKIN’」では、幸せで会場中をいっぱいにし、「最後もロックンロールで終わりましょう。残りのエネルギーを放出するように」とのROYの言葉を呼び声に入った「SHAKE YOUR HIPS」では、<お客さんも主役>とばかりに会場全ての電気も点き、場内をダンスホール状態へと変える。みんなの幸せそうにダンスしている表情が印象的であった同曲。正真正銘、この日の最後の締めは、ぐるりと360℃お客さんの入った会場を活かし、そこでウェイブを起こし、最後はわっしょいで締める、通称「360℃わっしょい」を展開。その光景の壮観さと、達成感は格別であった。

この日、ROYは何度シャウトをしたのだろう?その一つひとつに魂がこもり、その度にガツンとした愛を身体に放り込まれた、この日のライヴ。ROYはMCで、「この武道館が(新たなる)スタート」と語った。確かにその通りだと思うし、彼らはこの後も、これ以上の人々を巻き込み、更に大きなロックンロール・パーティを繰り広げていくにちがいない。そして、きっとどんな大きな会場で演ろうが、たぶん会場の1人1人に、シャウト交じりのその濃厚な愛を届けてくれることだろう。かつてコンサートを行っていた頃、彼らが敬愛するあのビートルズもそうだったように。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BAWDIES

関連記事

リリース情報

RED ROCKET SHIP

RED ROCKET SHIP

2011年10月19日

ビクターエンタテインメント

1. RED ROCKET SHIP
2. LIVE AT SHELTER 110515

このアルバムを購入

セットリスト

  1. I BEG YOU
  2. JUST BE COOL
  3. SHOW ME UP
  4. LOVE YOU NEED YOU
  5. KEEP ON ROCKIN’
  6. I’M A LOVE MAN
  7. WHAT A LONEY NIGHT
  8. EVERYDAY’S A NEW DAY
  9. ANNE
  10. THANKS BILL
  11. BITTER BUTTER
  12. I’M IN LOVE WITH YOU
  13. I’M DOWN
  14. SHAKE IT BYBY
  15. RED ROCKET SHIP
  16. EMOTION POTION
  17. YEAH
  18. SAD SONG
  19. HOT DOG
  20. B.P.B
  21. IT’S TOO LATE
  22. YOU GOTTA DANCE
  23. A NEW DAY IS COMIN’
  24. Encore
  25. BECAUSE
  26. KEEP ON ROCKIN’
  27. SHAKE YOUR HIPS

トップに戻る