エレファントカシマシ、恒例の“新春ライブ”豪華なアディショナル・ミュージシャンを迎えて開催!
エレファントカシマシ | 2012.01.25
結成30年を越すベテラン・バンドに対して大変失礼な言い方かもしれないが、エレファントカシマシの成長力に 大いに驚かされたライブだった。特にドラムスの冨永義之のビートの太さは特筆すべきで、ボーカル&ギターの宮本浩次、ギターの石森敏行、ベースの高緑成治の演奏に大きな影響を与え、2012年のロックシーンの幕開けを告げるにふさわしい素晴らしいライブの原動力となっていた。
恒例となった “新春ライブ”は、毎回、的を得たセットリストと豪華なアディショナル・ミュージシャンで楽しませてくれるが、今年はいつにも増してパワーアップ。オープニングからブラスセクションが加わって、華やかな雰囲気で「今はここが真ん中さ!」でスタートを切る。
宮本はモニタースピーカーに乗って自分の手でオシリを叩いたり「ど真ん中、シブコー!」と煽ったり、のっけから絶好調だ。モニターに乗っかったまんま、「始まるよぉ!」と叫んで、ジャケットを脱ぎ捨て、ギターを肩に掛けて次の「女神になって」に突入する。
お馴染みのサポート・メンバー、ギターのヒラマミキオ、キーボードの蔦谷好位置がしっかりと脇を固めているのだが、この夜はサポートという枠からはみ出して楽しそうだ。そう、これまで以上にバンドのリズムがタイトなので、自由度の高い演奏になる。そんな“ぶっといエレカシ”のパワーが 炸裂したのは、3曲目「真冬のロマンチック」だった。
「冬です。音楽でもどうですか?」と宮本が言って始まったこの曲で、冨永のドラムがバンドをリードする。さらに「Soul rescue」ではタイトルどおり冨永がソウルフルなグルーブを繰り出すと、いつもは“タテ”に身体を揺らす宮本が“ヨコ”に 揺れながら歌う。このビビッドなリズムが、音楽に新鮮な命を吹き込む。これまでにないダイナミックなステージが展開される。
「渋公の日が来た!楽しみにしてたんだぜ!!」と宮本。もともとアッパーなライブが好きな宮本だが、ベテランの域に入ってからのバンドの成長を全身に実感して、歓びを身体中から発散する。と、「リッスントゥザミュージック」では歌い出しのギターのコードを間違えて、「もっかい、やります」と宮本。
バックのストリングスの4人も、思わず大笑い。続く「今をかきならせ」では、ベースの高緑とギターの石森が切れの良いプレイを披露。バンド全体がどんどん熱を帯びていく。
「いっぱいある 曲の中から、丁寧に選んできました」と宮本が言うように、本当に新春ライブらしい特別なセットリストだ。「みんなは正月になるとケジメというか、気持ちが改まりますか?俺なんか、毎朝、正月みたいなもんです」。
「旅」の♪毎日は心の旅さ♪という歌詞が心に沁みる。
ブラスとストリングスを従えて「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」まで一気に歌うと、宮本が「みんな、ありがとう。これで第一部終了。総合司会の宮本でした」と叫んで、メンバーは一度、舞台を去った。なんとこの日は2部構成のライブなのだ。
再び戻ってきて、第二部が始まる。ここからはバンドだけの演奏だ。バリエーションに富んだサウンドの第一部があったからこそ、ロックバンドの素の姿が ストレートに耳に飛び込んでくる。またしてもバンドの変化と成長を思い知る。ラストの「ガストロンジャー」と「ファイティングマン」で、 バンドはバテるどころか、この日いちばんの轟音で、エレカシにしかできない日本の伝統とロックのミクスチャーを現出させた。
アンコールは「悲しみの果て」と「花男」。“歌心”に満ちたライブだった。
それも、貫禄や老成とは無縁の、若々しいまま身に付けた歌心。エレカシが到達したのは、ロックバンドの理想の境地だった。最後の最後で宮本は、またモニターの上でオシリを叩いている。嗚呼、最高!!
【取材・文:平山雄一】
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リリース情報
セットリスト
- 今はここが真ん中さ!
- 女神になって
- 真冬のロマンチック
- Soul rescue
- 俺の道
- 未来の生命体
- ふたりの冬
- リッスントゥザミュージック
- 今をかきならせ
- 風
- 明日への記憶
- 漂う人の性
- 傷だらけの夜明け
- 普通の日々
- 旅
- 笑顔の未来へ
- 俺たちの明日
- あなたのやさしさをオレは何に例えよう
- あの風のように
- ワインディングロード
- 東京からまんまで宇宙
- 新しい季節へキミと
- 絆(きづな)
- パワー・イン・ザ・ワールド
- ガストロンジャー
- ファイティングマン ENCORE
- 悲しみの果て
- 花男