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歴代のシングル/カップリング曲を、その発表順に披露した、キマグレンのスペシャルライブ

キマグレン | 2012.03.23

 今年2月にメジャーデビュー5周年イヤーに突入したキマグレン。そんな彼らの約1年ぶり、3回目となるアコースティックツアー[Rough & Smile III]のセミファイナルは、最高にホットでスペシャルなライヴとなった。

 まずは沖縄在住の4ピースバンド、7!!(セブンウップス)が通常のバンドスタイルとは、うって変わって、アコースティックスタイルにてプレイ。オープニングアクト役として、会場を程良く温めた後、いよいよキマグレンが登場する。波の音をバックに現れたKUREIとISEKIは2人ともラフなシャツにハーフパンツ、足もとは素足といういつもの逗子スタイルだ。サポートにはパーカッション、ウッドベース、キーボード、アコースティックギターの4人。
オープニングナンバーはデビュー曲の「あえないウタ」。ゆったり心地よいメロディと切ない歌、シャララのコーラスが、飾り気のないAXのステージを潮風の吹く海辺に変えていく。続いてインディーズ時代から歌ってきた「想い思い」を届けたところでMC。2人の気の置けないツッコミ合いが会場を和ませた後、KUREIが言った。

「今回のアコースティックツアーは、とびっきりの仕掛けを用意してきました!僕ら、デビューから4年経ちますけど、今日はすべてのシングル、そしてカップリングも演奏しちゃおうかなと思っております。さらに、リリース順に全部やってしまおうと」
 そう、この日はキマグレンが歩んできたメジャー・シーンでの軌跡をシングル曲で追体験できるセットリストになっていたのだ。
「ということは、次の曲はもう何だか、わかるよね?「LIFE」!!」

 KUREIが曲名をコールすると、それまでアコースティック・モードで着席していたキマグレンジャー(=ファン)も、この破壊力あるキラーチューンでじっとしてるわけにはいかない!とばかりに一斉に立ち上がり、手拍子をし、タオルをぐるぐる振り回す。みんな、笑顔。ライブ序盤にして早くもそこにはハイライトのような景色が広がったのだった。

 アコースティックギターとバンドメンバーのスライドギターが美しく絡み合った「約束の丘」では、ISEKIの力強い歌が郷愁感を誘い、また、「この曲を演ると作った時のことを思い出していつも泣きたくなるんだよね」とKUREIが言っていた「天国の郵便ポスト」では、2人がしっとりと歌い、聴き手の涙腺を刺激する。かと思えば、ハイテンションなラブソング「君のいない世界」では、たたみかけるような歌に大きなシンガロングが沸き起こる。起伏に富んだ構成。キマグレンジャーも、曲のアップダウンに合わせて立ったり座ったり、手拍子したり、じっと聞き入ったりと忙しい。

 一般的なライヴでは、前半トバして、中盤ペースダウン、そして後半再びスパートをかけるといった構成パターンが多いが、それはある程度テンポ感が同じ曲を並べると、加速もしやすいし、聴かせる曲は落ち着いて聴かせられるという利点があるからだろう。しかしカップリングも含めたシングル曲をリリース順に、となるとそのセオリーは適応外。ましてやキマグレンの楽曲は振り幅が広いので、演る側としては今回難しい部分もあったかもしれない。けれど目の前の2人は、そこに難しさを全く感じさせず、むしろアップダウンの激しい構成を“まったく飽きさせない流れ”に好転させ、キマグレンの多彩さを強く印象づけていた。それは人の心をぐいぐい惹きつけてやまない2人の歌力によるところが大きいだろう。

 メジャーデビューした2008年から2009年、2010年と、MCも年ごとに挟み込んできたこの日のライヴ。
「さぁいよいよ2012年に追いつきました。今年一番最初にできた曲を、最後に聴いてもらおうと思います」というKUREIの言葉に続けて放たれた本編ラストは、新曲の「PRIDE」。どんな時でも逃げずに突き進んでいくという想いが込められたこのロックチューンは、先を見据えた彼らの新たな決意表明のようにも感じられた。

 新曲はこれだけじゃない。アンコールでも「スペシャルライヴということでもう1曲、新曲を持ってきました」とKUREIが言い、大歓声の中、「キエタイクライ」を披露。さらには、今年10月14日に予定されている武道館公演について触れた後、「みんなと僕らを武道館に連れて行ってくれる曲」と紹介し、「バトン」を演奏。そして最後はバンドのメンバーもステージを去り、2人だけで「君を忘れない」を1人1人に手渡しするように丁寧に歌い、スペシャルな2時間半をあたたかく締めくくった。

 デビューからの足跡をたどる時間旅行。終わってみれば、それは決して過去を振り返るものではなく、1曲1曲いい曲を積み重ねながら到達した、キマグレンの現在地をリアルに感じさせる素晴らしいライヴだった。
 しかし今“到達”という言葉を使ったが、彼ら自身は“まだまだこれから”という想いの方が強いようだ。MCで10月の武道館に触れた時もISEKIはこう言っていた。
「その日はキマグレンにとってのスタートです」
 自身初となる武道館公演が、相当楽しいものになることは必至。彼らの1つの集大成であり新たな旅立ちを、あなたもぜひその目で確かめてほしい。

【取材・文:赤木まみ】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル キマグレン

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リリース情報

LOVE+LIFE+LOCAL

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2011年08月17日

ユニバーサル・シグマ

1. 蛍灯
2. 向日葵に恋をした
3. TOMODACHI
4. 卒業の時-Album ver.-
5. 真夏の夜のシンデレラ
6. バースデイ・イブ
7. IT’S MY 勇気
8. バケット・リスト
9. ボーダー・グランド
10. シェーデッド・クリーム
11. MAJIC IN THE WORDS feat. カサリンチュ
12. 君が好きだ

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セットリスト

  1. あえないウタ
  2. 想い思い
  3. LIFE
  4. 月光浴
  5. トコシエ
  6. 愛NEED
  7. 約束の丘
  8. 天国の郵便ポスト
  9. サヨナラの朝
  10. 君のいない世界
  11. 海岸中央通り
  12. SMILE
  13. 泥だらけのHERO
  14. リメンバー
  15. 星空モード
  16. IT’S MY 勇気
  17. 卒業の時
  18. 蛍灯
  19. バケット・リスト
  20. PRIDE(新曲)
ENCORE
  1. キエタイクライ(新曲)
  2. バトン (新曲)
  3. 君を忘れない

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