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“いつもと違うことが起こりそうな予感”が的中した、ねごととライムスターの夢の競演が実現

RHYMESTER,ねごと | 2012.05.01

 キューンミュージックが創立20周年を記念して行っているライヴ・イベント「キューン20イヤーズ&デイズ」。恵比寿リキッドルームを20日間貸し切り、所属アーティスト達がライヴを行うというスペシャルなイベントだ。連日、熱いステージが繰り広げられているが、この企画ならではのひとつの大きな見どころが、“対バンの組み合わせ”であろう。レーベル20周年というアニバーサリーだからこそ実現した、他ではお目にかかれない“そそる”組み合わせが、幾多もブッキングされている。 その中でも、異彩を放ったのが、4月13日の組み合わせではなかろうか。

 この日、登場したアーティストは、ねごと&ライムスターであった。ねごとからの“ライムスター先輩と共演したい!”とのラブコールにより実現した、この日の競演。リキッドルームには、開演前から、両アーティストのファンの“なんか、いつもと違うことが起こりそう”という期待が充満していた。

 まずは、ねごと。メンバーがステージに姿を表し、スタンバイする。薄闇に沈むステージ。その中で、ボーカルの幸子が、マイクを通して、スッと息を吸い込んだ。シューゲイザーを思わせる激しいサウンドがインパクト大の、ディープなミディアムチューン「NO」でライヴは幕を上げた。次曲のイントロが響く。80年代を思わせる、シンセ・ピアノの音色。抒情的なフレーズ。客席から歓声があがった「メルシールー」。ドラム小夜子とベース佑の力強いリズム隊が、どんどん前に出てくる。この盤石のサウンドの上を、自由奔放にはねるのは、瑞紀のギター。そのアプローチの豊富さに、このバンドの可能性が見えてくる。
MC。ドラムスの小夜子がマイクをとった。
「みなさん、こんばんは! ねごとです。よろしくお願いします」と挨拶した後、4人で“せーの”とタイミングをはかり、レーベル20周年「おめでとうございます」と声を合わせた。「キューンが、私達が1歳の時にできたと思うと、歴史を感じずにはいられない」と幸子がコメント。レーベルの印象を「居心地がいい」と語った後、小夜子がこう締めくくった。
「尊敬できる先輩方がたくさんいるキューンミュージックでやれていること、すごく嬉しいです。ありがとうございます」
 続いて、ファンキーなベースとシャッフルするビートが特徴のソウルフルなアップナンバー「Tonight」、ギターの瑞紀がリズムに合わせてクラップし観客を煽った「ループ」などを披露。ライムスターとずっと対バンしたかった彼女たち、それが実現したこの日を「まぼろしの1日になりそうです」と素直に感想を述べた後、ライヴは後半へ。「透き通る衝動」では、ボーカルの幸子が、右手で鍵盤を叩きながら、曲に合わせて左手で大きく弧を描くアクションを。次第に迫力を増していくバンドサウンドとリンクするようなこのアクションに、客席から大きな拍手が起こった。幸子が「半歩でも前に……みんなにも、そう響くといいな。全力でやります」と叫び、最新シングルの「sharp ♯」へ。サビではステージライトが次々に色を変える。輝くメロディが、フレーズが、くるくると表情を変えていく。そんなねごとの楽曲に、ライトがリンクして、空間を、ねごとの音と光で染めていく。最後はバラード「ふわりのこと」。ギターの瑞紀の奏でるギターのトーンが、遠く遠く響いていく。幸子の歌声が遠く遠く、のびていく。まるでそこが、ライヴハウスであることを忘れてしまうくらい、彼女達の楽曲は、無限に広がり、のびていった。

 ステージの転換を挟み、ライムスターが現れる。DJ JINの「キューンミュージック! 20周年、始まるぜ―!」という声とともに、大歓声の中、宇多丸とMummy-Dが登場。宇多丸が「シ―ッ」と大歓声を沈めた直後、タイトルを叫んだ。「オイ!」。観客が作り出した静寂を使った、最高の演出に客席のムードも、ど頭から最高潮。続く「付和Ride On」では、宇多丸とMummy-Dが ♪Ride On?♪ というリリックに合わせて、繰り返しジャンプ。そのアクションに、観客もすぐに“ライドオン”。同じくジャンプでレスポンスした。トライバルなリズムが、リキッドルームのテンションと温度を急上昇させていく。一体となった観客に、エンディングで宇多丸が叫ぶ。「ライムスター!」この声に観客は「No.1!」とレスポンス。再び宇多丸が「キューンミュージック、No.1だと思いますか?」と問えば、イェーイ!と返すオーディエンス。宇多丸が「キューンミュージック!」と叫べば「No.1!」とレスポンス。最後には「キューンミュージック! おめでとう!」と、そこにいる全員が、素直に声を張り上げた。冒頭から“KING OF STAGE”の面目躍如。リキッドルームは、あっという間に、ライムスターのムード一色に染まった。続いてMC。宇多丸は、「ねごと、最高じゃないですか」とコメントし、今宵の異色の組み合わせに触れる。その話を受け、Mummy-Dが「ほんと、どうなるかわかんない」と続けた。この言葉を受け、宇多丸は、こう締めくくった。
「どうなるかわからないのが、ライヴの醍醐味じゃないですか! 楽しい夜にしましょう!」
 DJ JINのスキルで魅せる1曲、「ライムスターイズインザハウス」の後、ディープに押し切る「Don’t Think, Feel...」と、渋めなトラックでの自己紹介。大人&ライムスターの歴史を感じさせる。そして一転、ミディアムなメロウチューン「ちょうどいい」へ。繰り返される ♪ちょうどいい ♪のフレーズで、客席からも大合唱が起こる。続いて、ソウルフルなイントロとクールなラップの対比が見事な「POP LIFE」、低音ブリブリのディープ&ミディアムチューン「Walk This Way」と、徐々にBPMをあげていく。中でも、「Walk This Way」では、途中、宇多丸の「お手を拝借!」の声とともに、観客が一斉に手を挙げリズムに合わせてクラップ。そのリズムに、宇多丸は、こんな言葉を重ねて見せた。
「キューンミュージック! 20周年、おめでとう!」
 汗びっしょりの宇多丸が間髪いれず叫ぶ。
「あがっていきますか? 飛び跳ねる準備はできてますか? じゃ、こんなフロウチェックしとけ!」
 宇多丸&Mummy-Dの迫力あるフロウから、リキッドルームに解き放たれたのは「ザ・グレートアマチュアリズム」。DJ JINもラップを披露した。最後はドラマチックなトラックが印象的なパワー・チューン「K.U.F.U.」。最後までペースを緩めず、観客を笑顔のままで思いっきりレッドゾーンに振り切る様は、じつに痛快、圧巻、お見事であった。

 アンコール。まずはライムスターの3人が、ステージに姿を表し「ONCE AGAIN」を。曲が終わった後に宇多丸が言った「これからも素晴らしい作品をキューンから出すことを誓います」という言葉が、じつに印象的であった。その後、ねごとをステージに呼び込む。出てきたねごとが、宇多丸の隣りにズラリと並ぶと「あれ?こう並ぶんだっけ?」と、頭にクエスチョンマークが浮かぶライムスターの3人。それでも「違う並びじゃなかったっけ?」と仕切りなおそうとする宇多丸に、ねごとの4人が笑顔を返す。ステージ上で、ちょっと困惑する宇多丸&Mummy-D。次の瞬間、ろうそくに火をともしたケーキが登場した。このライヴの翌日、4月14日に誕生日を迎えるMummy-Dへ、ねごとからバースデーケーキのサプライズプレゼント。本当にライムスター側には知らされてなかったようで、Mummy-Dは嬉しいやら照れくさいやらの表情で、ろうそくの炎を吹き消していた。年齢差、約20歳というアーティスト達の共演。後輩から先輩への素敵なサプライズは、普段、決して見る事のできない、先輩アーティストの表情を引き出していた。

 宇多丸&Mummy-D&DJ JIN先輩、まさに、ライヴは何が起こるか分からない……って事、ですよね?

 アンコール2曲目は、ライムスター+ねごとで、ねごとの「カロン」を。ねごとは原曲の間奏を、いつもより長く、そしてダブっぽさを加えたサイケデリックなサウンドにアレンジ。そこに、宇多丸とMummy-Dがオリジナルでラップを入れるというスタイルでコラボレーション。2曲目は、ライムスターファンを公言する、ねごとのギター瑞紀がセレクトした、ライムスターの「into the night」。ねごとの生演奏、ライムスターのラップ、そしてねごとのボーカル幸子のラップも入るという、まさにこの日だけのレアなサウンドで、フロアを沸かせた。

 全曲が終わると、宇多丸の呼びかけで、ライムスターとねごと、総勢7人のカーテンコール。
「おじさん、サンドイッチ!」「おじさん、サンドイッチ!」(つまり、ライムスター、ねごとと、交互に並びましょうという呼びかけ)と叫びながら、最後をきれいに仕切った宇多丸を筆頭に、Mummy-D、DJ JIN、ねごとの幸子、瑞紀、佑、小夜子の笑顔が揃った。

 世代やジャンルを超えた笑顔の共演。「キューン20イヤーズ&デイズ」は、まだまだ続く。

【取材・文:伊藤亜希】

tag一覧 ライブ RHYMESTER ねごと キューン20イヤーズ&デイズ

リリース情報

sharp ♯

sharp ♯

2012年04月04日

KRE

1. sharp ♯
2. drop
3. Tonight

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リリース情報

POP LIFE

POP LIFE

2011年03月02日

KRE

1. After The Last -Intro
2. そしてまた歌い出す
3. Just Do It!
4. ランナーズ・ハイ
5. ほとんどビョーキ
6. Hands
7. ザ・ネイバーズ
8. POP LIFE
9. Born To Lose
10. Walk This Way
11. 余計なお世話だバカヤロウ

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セットリスト

ねごと

  1. NO
  2. メルシールー
  3. Tonight
  4. ループ
  5. 新曲
  6. 透き通る衝動
  7. ビーサイド
  8. drop
  9. sharp ♯
  10. ふわりのこと

RHYMESTER

  1. After The Last -Intro-
  2. オイ!
  3. 付和Ride On
  4. ライムスターイズインザハウス
  5. Don’t Think, Feel...
  6. ちょうどいい
  7. POP LIFE
  8. Walk This Way
  9. ザ・グレートアマチュアリズム
  10. K.U.F.U.
  11. Encore
    1. ONCE AGAIN / RHYMESTER
    2. カロン / ねごと&RHYMESTER
    3. into the night / RHYMESTER&ねごと

お知らせ

■ライブ情報

RHYMESTER

夏びらきMUSIC FESTIVAL’12
2012/07/22(日) 雨天決行(天災は除く)
埼玉県 所沢航空記念公園 野外ステージ

ねごと

【お口ポカーン?! ワンマンツアー ~フラットな気分でもいいよ~】
2012/05/03(木)大阪BIGCAT
2012/05/04(金)名古屋DIAMOND HALL
2012/05/12(土)東京 SHIBUYA-AX

【Shimokitazawa Sound Cruising】
2012/05/19(土)下北沢各会場
【UNCHAIN TOUR】
2012/05/25(金)千葉LOOK
【UNDER THE INFLUENCE「後藤まりこ×ねごと」】
2012/06/07(木)恵比寿LIQUIDROOM

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルHPをご覧ください。

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