音速ライン「心のままにチョックインツアー2012」ファイナル公演をレポート!
音速ライン | 2012.06.04
今年2月にリリースしたアルバム『Alternative』を掲げたツアーのファイナルだ。福島に本拠を置く音速ラインは、震災を経て1曲1曲の粒立ちを大切に『Alternative』を制作した。
美メロとセンチメンタルなリリックを、爆音でぶっ飛ばす。一見、ミスマッチなコンセプトが、音速ラインの手にかかるとベストマッチになる。『Alternative』でもそのマジックは健在で、ツアーは快調に進んだらしい。新ロゴ“onso9Line”がプリントされたフラッグがバックに吊り下げられたステージに、藤井敬之(vo&g)と大久保剛(b)、ツアーを共にしてきたギターとドラムスの4人が上がる。いきなりギターのフィードバックが轟音で鳴り響き、考える間もなく例のコンセプトどおりの爆音ポップに突入。『Alternative』のオープニングと同じ「Birthday」からスタートだ。
さすがにファイナルだけあって、演奏のまとまりが凄い。4人のアンサンブルが強力な音圧となってAXを包み込む。会場全員がタオルを回す「Baby Baby!!!!!」まで、アルバムの曲順どおりに進んでいく。
「いやあ、すごいね」と満員の会場を見渡して大久保。「アルバムの曲順どおりやってるから、次は何か分かってますよね。あ、社長がこっちをにらんでる(笑)。話が長いって思ってますね。ファイナル・・・でも1個目のMCから終わりたくなくて、しょーがない(笑)」と藤井が言うと、フロア後部のP.A.席あたりから「早くしろー!」というレーベルの社長の声が聴こえてきて、会場はみんな大笑い。始まったのは、昨年6月にリリースしたシングル「Nir」だった。入り組んだアンサンブルが、見事にライブで再現される。それはこのツアーの大きな成果でもある。
「ランドリー」まで進んだとき、藤井が「アルバムどおりやってもしょうがないんで、相当久しぶりの曲をやります」と言って08年のシングル「ポラリスの涙」を歌い出すと、フロアから大きな拍手が上がる。終わって、「懐かしいね。4年前の曲。これをライブで聴いたことない人、いるでしょ。これは貴重ですよ! って、押し売り、悪徳商法みたい(笑)。ファイナルなんで特別なこと、やりました。またアルバムに戻ります」。
本編ラストの「心のままに」では、“ネギコ”と“ネギオ”の着ぐるみがステージに登場して盛り上がる。始まってまだ1時間強での終わりに、観客は少し戸惑いながら、すぐにアンコールの声が上がる。実はこのライブ、ここからが長かった。そう、社長が心配するとおりに(笑)。
最初に書いておくと、アンコールは4回。1時間半以上に渡った。ただ、1回ごとに異なる企画が用意されていたのだった。
1回目のアンコールは、80年代の名物音楽番組『ザ・ベストテン』のパロディ。4人がスーツで現われ、「今週の第一位は?!」というナレーションに続いて「1980」を歌う。
2回目のアンコールは、メンバーが客席の写真を撮った後、「次はみんなが僕らのことを2分間、撮っていいよ」と公認撮影会。懐かしい08年の名曲シングル「半分花」を歌う。
3回目のアンコールは、「ツアーした各地で、即興でご当地ソングを作って歌ったんで、今日は渋谷の歌」と、13回目となるAXに捧げる歌を披露。「週末旅行」では藤井と大久保がフロアに降りてパフォーマンスを繰り広げた。
そして4回目。「“何回出てくんだよ。もう出てこなくていーよ”って思ってんだろ(笑)」と藤井。最後の最後は、地元・福島の安積黎明高等学校合唱部と作った「空になる」を、会場のオーディエンスと一緒にアカペラで歌う。終わってしまうツアーに対して名残惜しく思う気持ちが止まらない。つくづくマイペースなライブで、音速ラインとファンは、お互いに温かい気持ちになってファイナルは終了したのだった。
ライブ後、例の社長さんに話を聞くと、「本当に才能のあるバンドなので、これからもっとガツガツ活動していって欲しい」とバンドに対する思いを語ってくれた。マイペースの良さに、より大きなバンドになろうという欲望が加わったとき、音速ラインはステップアップを果たす。が、この日のそんな未来への第一歩は、マイペース・パワーの優勢勝ちだったかもしれない(笑)。
【取材・文:平山雄一】
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