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スペースシャワーが送る「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012」の初日の模様をレポート

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER | 2012.09.18

 スペースシャワー主催の野外ライブイベント「SWEET LOVE SHOWER」。ロックのみならず、話題のミュージシャンやタイムリーなアーティストたちの出演で、他のミュージック・フェスティバルに比べ、多彩で幅広い音楽性が魅力のフェスだ。そんな同フェスが今年も例年同様、「山中湖交流プラザ きらら」にて行われた。 残念ながら今年も天候にはあまり恵まれなかったが、それが故のドラマや物語が生まれたのも事実。最後まで拝むことのできなかった霊峰富士の姿を、それぞれのステージの背景に感じながら、各アーティスト、自身の音楽性や特性を思う存分放ち合った。

 まずは、初日の9/1の模様から。

 毎年恒例となっている、ビジョンに60秒前からカウントダウンされていく数字に合わせ、会場から無数の声が上がる。その数字が0を示し、大歓声が起こる中、フェスの口火を、LAKESIDE STAGEの[Champagne]が切る。「最高の一日にしようぜ。今日はどこのステージよりも楽しませてやる!!」とは、ボーカル&ギターの川上。その意気込みを音やパフォーマンスで表すように、情熱的でフラメンコタッチの「Waitress, Waitress!」、会場全体が1つになり無数のワイパーを出現させた「Rocknrolla!」、会場の至るところにモッシュピットを生み出した「For Freedom」と、雨で冷えていた身体を一気にその熱いプレイと歌で温めてくれた。

 FOREST STAGEで観たindigo la Endは、この日はさしずめ昼仕様のように映った。9/5に発売されるニューミニアルバム『渚にて』からのナンバーを中心に、女性ベーシストをサポートにプレイされたこの日は、初見のお客さんへのアピールもあったのだろうか?世界観に浸らせる選曲よりは、割と激しく、乗りの良いチューンを立て続けに放出。ノイズや音の壁が空へと広がっていった「レナは朝を奪ったみたいだ」、スペシャでも大量にMVが流れていた「緑の少女」等を放ち、ボーカル&ギターの川谷絵音の繊細な歌声は、野外においても充分通用することをアピールした。

 たぶんこの2日間のMt.FUJI STAGE中で最多動員だったのではないだろうか?きゃりーぱみゅぱみゅのステージは、それこそ立錐の余地がないほどの人で埋め尽くされた。カラフルな衣装とかつらの大勢のダンサーたちと共に繰り広げられたそのステージは、まさしくドリーミン。キュートでキャッチーな歌で会場全体をANANさせた「きゃりーANAN」、きゃりーの振りに合わせて会場全体が一緒に踊った「つけまつける」と、終始初見でも充分に楽しめる歌を披露。ラストは、"さよならじゃなくてまた会えるからいいじゃん"の気持ちが広がっていき、またすぐにでも会いたくさせた「ちゃんちゃかちゃんちゃん 」と、みんなが彼女の歌やふりに合わせて楽しそうに踊っている姿が実に壮観な約40分であった。

 残念ながら、LAKESIDE STAGEのフジファブリックの際は、会場にこれまでにないほどの激しい雨が。しかし、そんなことに彼らは負けず、1曲目の勢いのある「虹」を筆頭に、黄金のセットリストにて雨を迎え撃つ。「俺たちの名前は、フジファブリックだぜ。この『SWEET LOVE SHOWER』に、俺たちが出演しないでどうすんだよ(笑)! 富士山も近いんで、気合入れて飛ばしていくゾ!!」と、ボーカル&ギターの山内。変態性と変則性を炸裂させた「徒然モノクローム」、ぐいぐいと会場を引き込み、激しい雨をモノともせず、お客さん無礼講な盛り上がりを見せた「Surfer King」。ラストの「STAR」では、山内の歌声が背景にそびえる、この時は、残念ながら見えなかった富士山に向かっているように響いた。

 さすがは高橋優。その力強い歌声は、Mt.FUJI STAGEのステージの上から、広い会場にも関わらず隅々の人たちまでも、時に震わせ、時に鼓舞させた。エレキとアコギを使い分け、その真意を歌に乗せて伝えてくれた、この日の彼。みんなに笑顔を思い起こさせてくれた「福笑い」、サビのストレートさが会場に無数の呼応を生んだ「現実という名の怪物と戦う者たち」、ポリティカルな歌内容がドキッとさせつつも、目をそらさせない説得力を持って聴く者の胸を直撃した「こどものうた」を披露。彼の真摯なメッセージは、雨をしばし止ませてくれたように映った。

 前述と重複するが、色々なタイプの音楽を楽しませてくれ、自己主張を見せてくれるのが、この「SWEET LOVE SHOWER」。このLAKESIDE STAGEでのDragon Ashは、さしずめその自身の音楽性であるミクスチャーロックをあえて誇示することで、独自のアイデンティティをアピールした。「別にひなたぼっこをしきたんじゃねぇんだろ? 踊れ!!」「ダイバーズ飛んで来い」「色々なジャンルのヤツらに、ミクスチャーロックというものを見せてやろうぜ!」と、終始己の音楽性にプライドと自信、そしてその向こうに、"うるさいけど、親しみやすいだろ?"とのメッセージを内包したステージを展開。特に「For divers area」では、ステージ前方に大きなモッシュサークルを作り出し、その中でみんなが楽しそうに踊り、騒ぎ、暴れている光景が象徴的であった。

 汗、もとい濃厚なソウル汁をステージから放射し続けてくれた、LAKESIDE STAGEでのTHE BAWDIES。ダンサブルに会場を躍らせた「IT’S TOO LATE」、甘酸っぱい水分、いや、新曲を会場に披露してくれた「LEMONADE」等、この地でも彼らは、富士山に届けとばかりに、トゥーマッチ気味のI LOVEYOUと、数えきれないシャウトをとびっきりごきげんでソリッドなロックンロールに乗せて連発してくれた。そして、もちろんラストはTAXMAN仕切りによる「わっしょい」で締め。やはり彼らのライヴはこれがないと終わらない。

 残念ながら、星野 源のステージの際は、その進行と共に雨足が強くなっていく。「いい感じに振り出してきたんで、今日は暗い曲を沢山演って帰りたいと思います」と笑いながら「ひらめき」からライヴを始める。途中の土砂降りには、「うわー、凄いよ、これ。もうダメだ(笑)。こうなったら、みんなもう諦めて(笑)。これはきっとあの人のせいだ(笑)!」と、ステージ袖で見ていた仲良しのサカナクションの山口をちらり。4管のホーン隊と共に送られた「パロディ」、高田蓮のペダルスティールが牧歌性をより増させた「営業」、そして、土砂降りながら、会場全体をドリーミーな世界へと誘ってくれた「夢の外へ」等を披露。聴き終えた後にどこかぽっとした火を灯してくれるようなステージであった。

 夕闇が迫り始める頃、LAKESIDE STAGEには、the HIATUSが登場した。ドラマティックさと美しさ、怒涛性を同居させた「The Flare」で口火を切った、この日。ボーカル&ギターの細美の伸びやかで力強い歌声が響き渡った「Insomnia」、壮大さと荘厳さに会場を包み込んだ「Deerhounds」、シャッフルで前のめりなリズムが牧歌性を生み、シチュエーションと絶妙なマッチングを見せた「Souls」等、彼らの美しさとダイナミズムを堪能できるステージ内容で会場を終始魅了していた。

 全会場の人たちがここに集まったのではないだろうか?ぐらい、人人人で会場が埋め尽くされた、この日のLAKESIDE STAGEトリのサカナクション。とにかくこの日の彼らは、ヒット曲&代表曲のオンパレードで終始会場を盛り上げた。彼らが放つダンスビートと幻想的な世界観に、時に踊りまくり、時に身体を預け、みんな思い思いに、この日の最後を刹那に謳歌。会場全体にジャンプとクラップを巻き起こした「アルクアラウンド」、かと思えば、続く「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」や、「僕と花」では、彼らのもう一つの魅力である、寂寥感に満ちた歌に会場が浸る。そして、そこからラストまでは、「僕と花(sakanaction Remix)」「ネイティブダンサー」「アイデンティティ」「ルーキー」と、ビートに重き置いた躍動的で血沸き肉踊らせ、どこか土着性を持った歌たちが会場を支配。高揚感と多幸感を会場中に巻き起こし、みなを踊りまくらせる。アンコールでは、最新曲「夜の踊り子」も披露し、彼らの新しいリズムアプローチが再び会場中を無心に躍らせた。

【取材・文 : 池田スカオ和宏】

【撮影 : SLSオフィシャルカメラマン 釘野孝宏、古溪一道、SUSIE、広川智基、渡邉 一生(50音順)】

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セットリスト

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012
2012.9.1@ 山中湖交流プラザ きらら

出演ラインナップ
LAKESIDE STAGE
[Champagne]
フジファブリック
Dragon Ash
THE BAWDIES
the HIATUS
サカナクション

Mt.FUJI STAGE
Hemenway
きゃりーぱみゅぱみゅ
高橋優
レキシ
星野源
EGO-WRAPPIN’ AND THE GOSSIP OF JAXX

FOREST STAGE
indigo la End
在日ファンク
cero
クリープハイプ
avengers in sci-fi

WATERFRONT STAGE
石崎ひゅーい
奇妙礼太郎

CLOSING DJ
サイトウ"JxJx"ジュン(YOUR SONG IS GOOD)

お知らせ

「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012 Day1/Day2」
スペースシャワーTVでのオンエア決定!


<番組情報>
「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2012 Day1/Day2」
【Day1】(9/1収録)10月20日(土)21:00〜24:00、[リピート放送]10月26日(金)22:00〜 他
【Day2】(9/2収録)10月21日(日)21:00〜24:00、[リピート放送]11月2日(金)22:00〜 他
※番組内で放送されるアーティスは変更になる場合があります。
※山下達郎出演の放送はございません。

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