豪雪にもめげず、会場を熱血と熱気で満たした、怒髪天の新春ツアー初日をレポ!!
怒髪天 | 2013.02.04
この2013年は、怒髪天にとって非常に重要な年となるだろう。というのも、来るべく2014年には、結成30周年を迎え、その1月12日には、メンバー長年の夢でもあった初の武道館公演を行うことも既に決定/発表されているからだ。
そして、<その30歳の巨大な誕生年をどのように迎えるのか?>を占う大事な1年の頭のライヴに、彼らはその景気の良い制勝を、大雪にもめげず集まった沢山のオーディエンスたちと分かち合った。
この日、関東は10年ぶりの記録的な大雪だった。とは言え、正直それをライヴが終わって外に出て改めて気づかされるほど、この日の渋谷AXは、熱血と熱気に満ちていた。
彼らの登場を告げるSEと共に、ステージ後方のバックドロップもライトの加減で青い文字に映る。まずは、ドラムの坂詰克彦、ギターの上原子友康、ベースの清水泰次が現れ、少し遅れてボーカルの増子直純がステージに走り出してくる。モニターに片足をかけ、オールバックをなでつけた櫛を会場に投げ入れる増子。合わせて会場の前方の密度がグッと上がっていく。同時にそれらがライヴを始める合図であるかのように、メンバー各人が各々の音を鳴らし、1曲目の1月9日に発売されたばかりの新曲「男、走る!」が始まる。夢を追いかける者を鼓舞するかのような歌が、いきなり場内に炸裂。楽曲同様、ロマンを求めてライヴが走り出す。そして、その勢いをさらに加速していくかのように、疾走感たっぷりの「ホトトギス」が続けて鳴らされると、既に会場には彼らのライヴにはなくてはならないファクターである、<一体感>が生まれていく。力強い坂詰のドラミングに、清水がベースで躍動感を加えていく。3曲目は、会場に季節外れの愛の嵐を吹き荒らした「愛の嵐」だ。楽曲に合わせて早くも場内全体からは、楽曲に寄り添った大合唱が始まる。
ここで最初のMC。今日の大雪に絡めながら「今日は本当の意味でよく来た!!こうなったら、ここで一緒にビバークしようぜ!!山小屋AXへようこそ?!!」と増子。 そこからはちょっと情けなく頼りないが、”いつの日にか!!”との信念を強く胸に秘めた、不器用な男たちの讃歌が連投される。まずは、ただでさえジーンとくる男心が歌われた上に、それが大転調を迎え、ことさらジーンとなった「宿六小唄」、スウィンギンなムードの上、「♪ROCKでない奴ァ ロクデナシ♪」の大呼応と、上原子のギターソロが光った「ロクでナシ」、歌中の「♪こんな俺でも生きててイイですか? ♪」の問いに、会場中が”もちろん!!”の力強い心のうなずきを見せた「生きててイイですか?」等、どこか自分と照らし合わせながら、”やっぱり俺は俺のまま進んで間違いないんだ!!”と多くの人が自身に言い聞かせる。 男臭く、ちょっと重荷を背負ったかのような歌に人気が高い反面、ポップで軽い、懐かしい友や家族に会いたくなる歌にもファンが多いのも彼らの特徴。中盤には、まるで久々の呑んだ旧友と昔を振り返り、あの頃を交えた近況を語り合っているような「オレとオマエ」、やっぱなんだかんだ言っても、自分ちのかあちゃんのカレーがNo.1だったことに改めて気づかされ、親孝行でもしたくなる「ナンバーワン・カレー」、近所のパンクスの移り変わりをコミカルに描きながらも、オーディエンスたちに、”守るものができたら、自然と姿も変わっていくんだぜ”と悟らせた「なんかイイな」といったナンバーがコッた心をほぐし、最近めっきり会う機会の減った友人や家族の顔や思い出を浮かばせた。
中盤から終盤に差し掛かるブロックでは、新旧彼らの歌っていることの変わらなさとブレなさを再確認させられた。インディーズの頃の代表曲「蒼き旅烏」が、ぐっと観る者たちの心の痛みに歯を食いしばらせれば、同じ頃に発表された「旅路」が、懐かしさと共に会場に<男とは!!>を説いていく。かと思えば、対照的に最新アルバム『Tabbey Road』からの「歩きつづけるかぎり」「雪割り桜」の2連発は、夢へ向かうその足取りの一歩一歩が応援され、ラストの会場交えての大合唱は、一緒に歌う者たちの力となっていった。
後半に入ると、よりステージと客席とのアライアンスがガッチリと組み合っていく。「俺たちの成人式の歌だ!!」の言葉の後、会場を巻き込んでの大人万歳をやらかした「オトナノススメ」、スカビートがフロアをダンスさせた「押忍讃歌」、本編ラストの「酒燃料爆進曲」では、来年の自分たちの記念すべき30歳の大誕生日を祝うように「♪それいけ俺♪」の部分を、「♪おめでとう俺♪」と変えて歌い、会場に集まったオーディエンスの持ち寄った、色々な夢や願い、希望に向け歌が贈られる。
アンコールは2曲。「俺たちにとって大切な曲を手渡すから大切に持って帰ってくれよ」の言葉に続き放たれた「サムライブルー」では、彼らの男意気と会場の心意気がしっかりと合致。それがとてつもない前向きなパワーを生み出していく。そしてラストは、1月9日に発売されたニューシングルM-2収録の問題作!? 音頭「ニッポン・ワッショイ」。ここまで歌われてきた悲喜交々を全て笑顔の大団円に変えるかのように流れる同曲。ハッピを着て、鳴子とセンスを持った本場の盆踊りスタイルになって、ステージ前方まで出、踊り、合いの手を入れるメンバーと、増子の楽しそうな酔狂顔。ホント、この曲はどんな時、どんな場面でも、かかっただけで全員を笑顔にしてしまう、凄い力を持っている。以前、増子が私に「これは音楽のテロだよ」と、笑いながら説明してくれたことを一瞬フィードバックした。極めて殺傷能力の高いナンバーに合わせ(笑)、フロアいっぱいに無数の笑顔の花が咲いていく。
全編が終了し、「2013年、今年もバカバカしくいくゾ。ぐっとくるところからバカになれるところまで、今年も一緒に行こうや!!」との増子の言葉に、この日最後の力強いアライアンスが組まれる。
そして、最後の最後に会場/ステージ交えて行われた「エイエイオー」のシュプレヒコールは、まさにオーディエンス自身の今年1年が応援されるのと同時に、来年の来るべく30周年に向けての爆走準備に入った、怒髪天自身に向けての突撃ラッパのようにも響いた。
【取材・文:池田スカオ和宏】
リリース情報
セットリスト
DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ "蛇の道はHEAVY TOUR 2013"
2013.1.14 @ SHIBUYA-AX
- 男、走る!
- ホトトギス
- 愛の嵐
- 宿六小唄
- ロクでナシ
- 生きててイイですか?
- オレとオマエ
- ナンバーワン・カレー
- なんかイイな
- 愚堕落
- むしけらブンブン
- 俺ころし
- 蒼き旅烏
- 旅路
- 歩きつづけるかぎり
- 雪割り桜
- オトナノススメ
- 押忍讃歌
- 酒燃料爆進曲
- サムライブルー
- ニッポン・ワッショイ
お知らせ
DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ "カムバック・サーモン2013 男の遡上"
2013/03/17(日)北海道・余市 宇宙記念館 -スペース童夢-
2013/03/18(月)北海道・札幌市ポプラ若者活動センター
2013/03/20(水・祝)北海道・留萌 LIVE STUDIO NEWPORT
2013/03/23(土)北海道・千歳市民文化センター 中ホール
DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ "夢街道四人五脚"
2013/05/19(日)横浜 BayHall
2013/05/21(火)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
2013/05/23(木)浜松 窓枠
2013/05/25(土)岐阜 CLUB ROOTS
2013/05/26(日)福井 CHOP
2013/05/28(火)奈良 NEVER LAND
2013/05/30(木)和歌山 CLUB GATE
2013/06/01(土)高知 X-pt.
2013/06/02(日)高松 DIME
2013/06/07(金)山形 MUSIC SHOWA Session
2013/06/09(日)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
2013/06/13(木)郡山 HIP SHOT JAPAN
2013/06/15(土)弘前 Mag-Net
2013/06/16(日)岩手・久慈 LIVE HOUSE UNITY
2013/06/23(日)甲府 CONVICTION
2013/06/25(火)神戸 WYNTERLAND
2013/06/27(木)鹿児島 SR HALL
2013/06/29(土)熊本 DRUM Be-9 V1
2013/06/30(日)長崎 DRUM Be-7
2013/07/02(火)滋賀 U★STONE
2013/07/06(土)富山 MAIRO
2013/07/07(日)金沢 AZ
2013/07/14(日)松江 canova
2013/07/15(月・祝)岡山 IMAGE
2013/07/21(日)高崎 Club FLEEZ
2013/07/22(月)千葉 LOOK
2013/08/03(土)沖縄 桜坂セントラル
2013/08/04(日)沖縄 桜坂セントラル
DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ "七色の虹をかける野郎ども"
2013/10/09(水)横浜 BLITZ
2013/11/02(土)福岡 DRUM LOGOS
2013/11/03(日)広島 CLUB QUATTRO
2013/11/08(金)札幌 Zepp Sapporo
2013/11/10(日)仙台 Rensa
2013/11/16(土)名古屋 Zepp Nagoya
2013/11/17(日)大阪 なんばHatch
怒髪天結成30周年記念日本武道館公演 "ほんと、どうもね。"
2014/01/12(日・祝日前夜)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。