台湾出身アジアを代表するロックバンド五月天(メイデイ)の台湾・高雄公演をレポート!
Mayday | 2013.02.15
台湾出身で、アジアを代表するロックバンド、五月天(メイデイ)。北京で10万人を動員するライブを成功させたり、日本ではGLAY EXPO 2001への参加をはじめ、昨年はサマーソニックへの出演でも知られている。その彼らが2012年12月21、22日、そして30、31日の計4日間、台湾の南に位置する高雄(五月天自身もイメージキャラクターをつとめる台湾第2の都市)にある5万人収容の高雄世運主場館でトータル20万人を動員するコンサートを行った。
これは、彼らがほぼ1年間かけて行った“ノアの方舟”ツアーのファイナルとも言える公演。このツアーは2011年の年末に彼らがリリースしたアルバム『第二人生』を掲げたもので、タイトルが示すように“2012年12月21日に人類が終末を迎える”という予言を意識したものだった。終末と言われた2012年12月21日、高雄でのライブ初日の模様をレポートしよう。会場となった巨大スタジアムは、まるで大きな箱船のような雰囲気。野外だが、真冬でもTシャツで盛り上がれる高雄の気候は、圧倒的な開放感に満ちている。オープニングアクトの女性シンガー、白安のパフォーマンスのあと、映像をはさみ、いよいよ五月天が登場。爆音とともに現れたメンバーに、超満員のオーディエンスから大歓声が起こる。
1曲目は「2012」。アルバム『第二人生』のオープニングを飾るヘヴィーなナンバーだ。彼らの魅力はロックの勢いや情熱を感じさせる楽曲にのった親しみやすいメロディーにもある。各メンバーの個性も突出しており、華やかさと艶っぽさを兼ね備えたボーカルのアシンを中心に、ギターのモンスターとストーン、ベースのマサ、そしてドラムのミン、それぞれのキャラクターも魅力敵だ。もちろん、コンセプチュアルでドラマチックな楽曲を表現する表現力も高い。LEDを駆使して披露された「諾亞方舟」や、突如、ステージの両脇からアウディが現れるという奇抜な演出で観衆を驚かせた「春天的吶喊」など、エンタメ精神にあふれたパフォーマンスも圧巻。また、観客が持つスティックライトの色が曲に合わせて変化したり、大量のムービングライトに惜しみなく打ち上がる花火など、スタジアムの広さを最大限に活かした演出で盛り上げてくる。一方では、アコースティックで「笑忘歌」を聴かせたりと、メリハリのある構成で飽きさせない。実は、この大規模な公演、翌日以降のセットリストや演出を変えてのぞむとのこと。
通常、この規模ならセットリストも演出も変更せずに行うパターンが圧倒的に多いのだが、彼らの表現に対する貪欲さ、そしてスタッフの対応力にも驚かされる。また、前半分のアリーナ席を囲むように作られた長い花道をメンバーが歩くなど(これがかなりの近さ!)、親しみやすい距離感を感じさせる瞬間も忘れない。後半のハイライトはアリーナとスタンドのあいだの通路を、航空母艦にみたてたステージトラックにメンバーが乗って、場内を1周するというもの。ここで「OAOA」や「戀愛ing」など、アッパーな曲を連発。後半のブロックを十分に熱くしてくれた。
アンコールはタップリと2回。予定外のアンコールを入れると計3度も声援に応え、盛りだくさんのライブは無事に終了した。ライブが終わる頃には、2012年12月21日も刻々と過ぎようとする時刻。まさに五月天に新天地に運んでもらったような気分である。 ライブ後、日本からのメディア向けに、簡単なインタビューが設けられたが、まず真夜中であるにもかかわらず、明るく取材にこたえてくれたメンバーに感謝したい。日本では2月16日にZepp Tokyoでの公演が決定しており、メンバー全員、久々の日本でのパフォーマンスを楽しみにしているようだ。
「日本でのライブは久しぶりなので、すごく期待しています。ライブハウスならではの近い距離で、より音楽的な部分を表現したい」(モンスター)
「日本で初めて五月天を知る人のために、YouTubeにアップしたPVに日本語のテロップを入れたりしています。少し前に、B’zの松本孝弘さんとコラボした曲「三個?瓜」に日本語のテロップを入れたのでチェックしてみてください」(アシン)
最近ではflumpoolとの交流も見られ、flumpoolの「証」にアシンが中国語で歌詞をつけたり、五月天の「OAOA」にflumpoolの山村隆太が日本語詞をつけたり(この曲は2月末にflumpoolが台湾、香港、シンガポールでリリースするアジア盤のアルバム『experience』に収録される)、面白いニュースも伝わっている。アジアの超ビッグバンドが今年、日本でどんな旋風を巻き起こすのか、今から非常に楽しみだ。
【取材・文:海江敦士】
リリース情報
作品8號-明日版 [台湾輸入盤]
2011年12月28日
相信音樂
このアルバムを購入
お知らせ
2013 Mayday Just Rock it!! 日本演唱會 〜LIVE直送 from TOKYO FM 冬の特別版〜
2013/02/16(土)Zepp Tokyo
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。