アジア全体で圧倒的な支持を集める台湾出身のロックバンド、Mayday。積極的に海外でもライブ活動を行う彼らが、2月16日、久々に日本でワンマンライブ“2013 Mayday Just Rock it!!日本演唱會?LIVE直送 from TOKYO FM 冬の特別版?”をZepp Tokyoで行った。

　会場を埋めた観客は日本のファンだけでなく、地元の台湾や中国からも駆けつけていたようだ。開演前に発散される期待感が、熱気となって場内に充満している。開演時間が近くなると“Mayday”コールも起こり、本番を待ちきれないファンのボルテージは上がる一方だ。客電が落ち、ステージ上のスクリーンにはメンバーの幼少時代のものと思われる画像が次々と浮かんでいく。ステージにはまずドラムのミンが現れ、ドラムセットに落ち着くと、力強いビートを叩き始めた。続いてギターのモンスター、ストーン、ベースのマサがステージへ。最後にアシンが現れ、アップテンポの「.瘋狂世界（クレイジーワールド）」で本編がスタート。これは1stアルバムに収録されていた曲だ。続く2曲目の「終結孤單（孤独の終わり）」は2ndアルバムからの選曲――と、ライブ前半は、リリースしたアルバムの年代にそっての選曲で進んでいく。4曲目の「恆星的恆心（恒星の心）」以降は「天使（天使）」や「突然好想?（突然君のことを思い出す）」などのバラードナンバーが続いたが、場内からは大合唱が起こり、まるで彼らの地元であるかのような熱い空気で満たされた。日本のファンも中国語（または台湾語）の歌詞を一緒に歌っている姿が印象的だった。ギターのモンスターは、その後「難しい台湾語の歌詞も歌ってくれていたので驚いた」と感想を述べていたが、それぐらい彼らのファンは国籍関係なく熱いのだ。しっとりとした歌が続いたあとは、彼らのライブでは絶対的に盛り上がる「OAOA」を披露。手拍子とともに“O-AO-A!”のかけ声で、ライブはまたまたハジケていく。

　MCタイムでは各メンバーが日本語で自己紹介、大きな声援を浴びていた。中盤はロックチューンの「DNA（DNA）」で、再び熱いグルーヴが生まれていく。「擁抱（抱きしめてくれ）」では、ピアノの伴奏をバックに、アシンが感情をこめて歌い上げる。後半には、Mayday流の人生賛歌とも言うべき「乾杯（乾杯）」、そして「.OK?」から「軋車」へのメドレーから「離開地球表面（地球表面から離れる）」でアグレッシヴに展開する。「離開地球表面（地球表面から離れる）」では、観客もお約束のジャンプで応戦。そしてメンバーも一緒にジャンプ！　この熱気と一体感は、まさにMaydayのライブの醍醐味。アシンは「大家、多謝！（みなさん、ありがとうございます！）」と語りかけ、本編最後の曲「?柔（やさしさ）」へとつなげた。優しいバラードはラストにピッタリ。当然、観客も一緒に合唱し、本編は終了となった。場内からは、すかさず「アンコール！」の声援と「Mayday！」コールが起こる。声援を受けて再びステージに現れた彼らは、アンコール1曲目に壮大な「諾亞方舟（ノアの方舟）」を披露。スケール感のあるサウンドで圧倒的な存在感を見せつけた。アンコール2曲目は「戀愛ing（恋愛ing）」。ポップで楽しいラブソングに、観客からは笑顔がこぼれる。

　さぁ、そろそろアンコールも大詰めだ。アシンは「携帯電話で照らしてください」と語りかけ、「知足（満足な気持ち）」を歌い始める。携帯電話のあかりが揺れる中、最後は優しい曲で締めくくられた。裏にいたスタッフやサポートメンバーも加え、ステージで一列に並んで深く一礼するメンバー達。暖かい拍手と「謝謝！」という声が観客からも飛び交った。すべての曲には中国語はもちろん、日本語の歌詞の字幕が映し出され、彼らのメッセージや思いが素直に伝わってきたのも素晴らしい配慮だった。ただ、もし字幕がなかったとしても、彼らの音楽と熱い思いは十分に届いたに違いない。

　4月17日にはflumpoolとNHKホールでTOKYO FM & JFN present EARTH×HEART LIVE 2013に出演する彼ら。アジアでのCDリリースやライブなど、これから積極的に海外での活動も増えそうなflumpoolと、今年は日本でも多くのファンを新たにつかみそうなMayday。彼らの熱い交流からもしばらく目が離せない。

【取材・文：海江敦士】