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当日のドッキリの裏側も特別執筆!! 地球三兄弟のツアーセミファイナルの模様を緊急レポート!!

地球三兄弟 | 2013.02.27

 「これがライブの未来形かも?!」と思わせるほど、ユニークでエンターテインメント性に富んだライブだった。
 奥田民生(Oしゃん)と真心ブラザーズの桜井秀俊(THE EARTH)、YO-KING(スパ de SKY)の3人でシングルとアルバムのレコーディングを済ませた地球三兄弟が、サポートに奥野真哉(キーボードなど)と伊藤大地(ドラムなど)の2人を加えて“ここほれ三兄弟”ツアーに出た。気心の知れた仲間ということもあって、ライブは終始お笑いだらけ。が、しかし聴かせどころはしっかり聴かせる憎い内容。ツアーも中盤を過ぎて、いよいよ破格な成長を遂げたZepp DiverCity TOKYO2日目を観た。

 ライブは夜なのに、なぜか平山はお昼過ぎにお台場に到着。Zepp DiverCity TOKYO近くの某ビル会議室で、THE EARTHを待ち受ける。そう、この日のライブで仕組まれている“ドッキリ”の片棒を担ぐことになったのだ。ツアーを総括するインタビューを理由にTHE EARTHを会場から引き離し、その間に他のメンバーとシークレット・ゲストがTHE EARTHに内緒でリハーサルを行なうという段取り。THE EARTHにドッキリを絶対に悟られないようにしなくてはならない特命係を、平山は引き受けたのだ。

 やがてTHE EARTHが会議室ににこやかに入ってきて、“偽インタビュー”が始ろうというその時、「なんで僕だけでインタビューやるの?」と質問してきた。答はもちろん用意していたのだが、それでも緊張しながら「だ、だってTHE EARTHが地球三兄弟のリーダーじゃないですか!」と答えると、「あっ、そうだよね」とTHE EARTHはあっさり納得。拍子抜けして爆笑しそうになったが、ぐっとこらえて真面目にインタビューが始まったのだった。

 “ここほれ三兄弟”ツアーの成り行きを、時間をかけてじっくり取材。このインタビューの様子は隠しカメラでZepp DiverCity TOKYOに中継され、Oしゃんとスパ de SKYはゲラゲラ笑いながら画面を見ていたらしい。平山が引き延ばす予定の1時間をきっかり確保して、無事(?)インタビューは終了。THE EARTHはまったく気付かずに、ご機嫌でZepp DiverCity TOKYOに戻っていったのだった。ほっ(笑)。

 平山もリハを観れなかったので、どこでどんなドッキリが入るのかわからないまま、開演。

 オープニングSEの「Y.M.C.A.」に乗って、まずはコジャレたスーツ姿で、地球三兄弟の3人だけが登場。最後に出てきたTHE EARTHが“YMCA”の振付で会場を盛り上げる。Oしゃんがドラム、スパ de SKYがベースで、THE EARTHはリーダーらしくステージ中央の一段高い台の上でギターを弾く。♪俺たちは兄弟♪と始まる演歌チックな「すっごい汗」は、オープニングにピッタリの歌で、フロアは一瞬のうちに一体となった。

 終わるとTHE EARTHのすっごい汗を、ローディー・スタッフが拭いてあげる小芝居が笑いを誘う。次の主役は、THE EARTHだ。ロックの超名曲、ジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」の演奏が始まる。この曲のオリジナルはギター、ベース、ドラムの編成で有名だから、地球三兄弟のスタイルを誇示するにはもってこいだ。歯で弾くギター・ソロを決めたTHE EARTHは、ジミヘンの特技“ギター燃やし”の技に挑戦。炎型になびく布で消防法に引っ掛かることなく、危険(?)なパフォーマンスを見事にやってのけたのだった。

 「どーもぉ。2曲目で、なぜかジミヘンを全力でやってます」とTHE EARTH。「あー疲れた」とOしゃん。会場からは大拍手。つまりカバーも飛び道具も何でもありな地球三兄弟のライブを、たった2曲でオーディエンスに伝えるオープニングは大成功。

 「このライブを支えてくれる素晴らしい仲間を紹介します、奥野真哉!」とTHE EARTHが呼び込むと、奥野はTHE EARTHを完全に無視して客席に降りてオーディエンスと握手を交わし、さっとステージに上がって所定の位置につく。「このライブで個人的にいちばん好きな場面が終わっちゃった」とスパ de SKYがボヤいたものだから、場内が大爆笑。もう何が起こっても不思議じゃない“三兄弟ペース”に、全員がすっかりハマってしまったのだった。

 前半のハイライトは、伊藤大地が加わって5人で演奏した「目」。三兄弟が敬愛するビートルズに捧げたオマージュ的ナンバーだ。かっこいいギター・リフとグルーヴィーなビート、それに絡むコーラスが楽しい。「どうですか、地球三兄弟のビートルズ・サウンドは? いっそのこと、カバーやっちゃいますか」とTHE EARTHが叫んで、本家本元のビートルズ・ナンバー「I Saw Her Standing There」。言ってみれば“パクリねた”を堂々とやってしまうわけだ。が、出来は文句なく素晴らしい。この曲でギターを持った奥野が、ステージ前面に出てきてスポットライトを浴びながらギター・ソロを取る。が、よく見ると指が動いておらず、ソロはTHE EARTHが後ろで弾いてたりして(笑)。

 中盤のハイライトは、カバー合戦。「新人バンドの地球三兄弟の曲が、残り少なくなってきましたが、まだ時間はたっぷりあるので、3人が打ち立てた金字塔をカバーし合ってみます」とTHE EARTHが言い、奥田民生がPUFFYに書き下ろした「MOTHER」をスパ de SKYが歌い始める。次はOしゃんが「THE EARTHのピークの時の曲」と言って、真心ブラザーズの「サマーヌード」をカバー。なんとも豪華な共演だ。そしてリーダーのTHE EARTHはというと、ピンクのラメのジャンプスーツに着替えて、西城秀樹の「傷だらけのローラ」を熱唱。”これは誰の金字塔だっけ?”という疑問が湧くが、取りあえず笑って観るしかない。

 そのまま終盤は「アースより愛を込めて」から、残り少ない地球三兄弟のオリジナル名曲で盛り上がったのだった。

 初日の横浜ブリッツで観たとき、アンコールがとてもよかった記憶があって、期待が高まる。「Three  Earth Brothers Blues」は、期待にたがわぬ出来。特にスパ de SKYのマウスハープ(ブルース・ハーモニカ)が素晴らしく、ソロを取ると大きな歓声が巻き起こった。

 「いやあ、さっきは金字塔じゃない曲をカバーしてしまいました」とTHE EARTHが言うと、Oしゃんが「ふざけてる!」と笑いながら怒る。「ま、でも、芸人としての幅が出てきたよね」と、スパ de SKYがフォローにならないフォローを入れる。するとOしゃんがベースで「ガッツだぜ!!」を弾き始めた。THE EARTHがすかさず反応して、ハンドマイクで♪アースだぜ!!♪とトータス松本のモノ真似。1番を歌い終えたところで、ステージ背後からホンモノのトータス松本がピンクのスーツで現われたからたまらない。THE EARTHは一瞬、呆然とした後、ステージの脇でホンモノのパフォーマンスを満面の笑顔で楽しんでいる。ただの客じゃん!!(笑)。最後のコーラスはトータスとTHE EARTHが並んで歌ったのだった。終わるとトータスは何も言わずに、さっと退場。
 「すげぇぇぇぇぇ!!!」とTHE EARTH。「何かいましたね」とOしゃん。「知らなかったの、アースだけ」とスパ de SKY。ドッキリは見事に大成功! しっかし、こんなライブって、ありなのかなあ(笑)。
 やり残した金字塔「イージュー★ライダー」を会場全員で歌い、「アースの休日」でTHE EARTHがヨレヨレのバイオリンをいい味で聴かせてライブは終了。なんだかすごい1日だった。

 追伸 : 打ち上げでTHE EARTHはOしゃんとスパ de SKYから「ドッキリのときの驚き方が足りない」とダメ出しを食らってましたとさ。

 さらに追伸 : 例の“偽インタビュー”は、地球三兄弟のライブ映像 (5/29発売「ここほれ三兄弟 at Zepp DiverCity Tokyo」DVD&Blu-ray)のオマケになるかもという噂があったりして。

【取材・文:平山雄一】

奥田民生さんも帯に推薦文を寄せている、
平山雄一氏の最新評論本『弱虫のロック論 -GOOD CRITIC-』は、こちら

弱虫のロック論右カラム用

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 地球三兄弟

リリース情報

バーベアマン

バーベアマン

2013年01月01日

KRE

ディスク:1
1. すっごい汗
2. たかまり
3. 目
4. 呼びにきたよ
5. 地球の親玉
6. アースの休日
7. Three Earth Brothers Blues
8. 渚のボーナス
9. うかんでくる
10. アースより愛を込めて
11. 絵
12. EARTH’S UP
ディスク:2
1. 呼びにきたよ (MUSIC VIDEO)
2. アースの休日 (MUSIC VIDEO)
3. 呼びにきたよ (MAKING)
4. アースのスライドショー (OFFSHOT)

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セットリスト

ツアー2013「ここほれ三兄弟」
2013.2.17@Zepp DiverCity TOKYO

  • 01. すっごい汗
  • 02. Purple Haze
  • 03. うかんでくる
  • 04. 呼びにきたよ
  • 05. 目
  • 06. I Saw Her Standing There
  • 07. 渚のボーナス
  • 08. 地球の親玉
  • 09. ナイスショット!
  • 10. EARTH’S UP
  • 11. My Back Pages
  • 12. MOTHER
  • 13. サマーヌード
  • 14. 傷だらけのローラ
  • 15. アースより愛を込めて
  • 16. 絵
  • 17. たかまり
  • 18. すっごい汗
Encore
  • 1. Three Earth Brothers Blues
  • 2. ガッツだぜ!!
  • 3. イージュー★ライダー
Double Encore
  • 1. アースの休日

お知らせ

■ライブ情報

地球三兄弟ツアー2013 「ここほれ三兄弟」
2013/02/28(木)渋谷区文化総合センター大和田さくらホール

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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