2人だけで作り上げた全都道府県ライブのセミファイナルの模様をレポート!
スキマスイッチ | 2013.04.08
昨年8月にリリースされた「DOUBLES BEST」。ファン投票によって選ばれた上位12曲をリアレンジし、2人きりでレコーディングしたセルフカバーのベスト・アルバムだ。その作品を引っさげ、秋から始まったのがこのツアー「DOUBLES ALL JAPAN」。タイトルどおり、2人で日本全国ーーつまり47都道府県すべてをまわり、計51本のライブを行うというものなのだが、そのファイナル直前に行なわれた渋谷公会堂がとにかく素晴らしい内容だった。スキマスイッチの”原点”を再確認すると同時に、とてつもなく広がる音の可能性を目の当たりにしたような3時間。一瞬たりとも飽きさせない、充実のステージを堪能した。
「ここは僕らの仕事場。工房をイメージして作ってもらいました。スキマスイッチの家に遊びに来たと思って、ゆっくりくつろいで下さい」という大橋の説明どおり、2台のピアノを中心にたくさんの楽器が並び、その中でアレコレと機材を操る2人を見ていると、まるでプライベートなレコーディング・スタジオにおじゃましたよう。ライブは2人ともピアノ(!!)の「アイスクリーム シンドローム」で始まり「全力少年」へ。2人が繰り出す音と歌、そこにオーディエンスの前のめりな手拍子が加わってテンションの高いオープニングとなった。
大橋「どうも、スキマスイッチです!(ものすごい歓声を受け)すごいね!なんスか(笑)!どうしたんスか(笑)!」
常田「示し合わせたんじゃないのぉ(笑)?」
大橋「(さらなる歓声に)逆にプレッシャーです(笑)。いつもどおりの感じで(笑)」
熱狂的に盛り上がる客席の熱をレゲエ調の「螺旋」で昇華させたあとは、大橋がドラムでリズムを作り始める。このツアーではLaunchPadというリズムマシーンのようなものが5台導入されていて、その場で音を録音したり、リズムを作ったりしながら進められていくのだ。手慣れた様子でサクサクと音を重ねると、常田のピアノが加わって「ガラナ」へ。「センチメンタル ホームタウン」でもそういった過程を公開し、客席も興味津々といったムードで見入っている。そう、今回は曲間の一瞬も目が離せない内容なのだ。
中盤では、このツアー中に誕生日を迎えた常田に大橋がプレゼントしたというアコギもお目見えし、2本のアコギ(!!)で「病院にいく」を披露。ほのぼのとしたムードがなんとも温かい。そしてここからの3曲。より込み入ったリズムを作って始まった「ソングライアー」の大きなグルーヴ、そこから速度を落とし、音数を減らして続けられた「さみしくとも明日を待つ」?「雫」の流れはこの日のハイライトといっても過言ではないし、これは想像でしかないが、このツアーでも1,2を争う出来映えだったのではないだろうか。2人の呼吸感、歌にこもったストレートな感情、説得力など、息を飲むほどの迫力が漲っていた。そして大橋のアカペラから始まった「ボクノート」。音楽に対する2人のピュアな気持ちがあふれた歌詞、この瞬間の幸せと充実感を噛みしめるような歌に思わず込み上げるものを感じた1曲となった。
後半は、このツアーのために作ったという新曲「トラベラーズ・ハイ」から。いわゆるご当地のシンボル的なワードを盛り込めるよう歌詞の一部が空白になっているのだが、東京は協議の結果「”ハチ公”が見える」に決定。しかしメロディーに乗せにくいということで、大橋「ハチ公ーー!」常田「ワン!」というミニコント案が採用された(笑)。そんな大爆笑の空気も一転、アコギとピアノでじっくり聴かせた「奏(かなで)」、前半ピアノ1本で歌われた「ふれて未来を」といった名曲は、ライブならではの息づかいが最高の”アレンジ”に。「晴ときどき曇」で会場をひとつにしたコーラスもまた、この夜にしか成し得ない最高のアレンジを2人とともに作り上げることとなった。本編ラストはアルバム同様「ただそれだけの風景」。高らかに響くみんなの手拍子の中、本当に嬉しそうにアコギを掻き鳴らし、鍵盤を弾く2人の姿が印象的だった。
アンコールは、恭しく(うやうやしく)登場した常田のアフロも揺れたアップ・ナンバー「view」から。切なく美しい「ラストシーン」を丁寧に歌い上げた後、大橋はおもむろにこのツアー、そしてこの10年を振り返った。
「デビュー前から、ピアノとギターがあればどこでも歌えるのが僕らの強みだから、いつか47都道府県すべてを2人でまわれたらいいねって話してたんですけど、その夢がもうすぐ叶おうとしています。バンドでやるのもすごく好きだけど、こうして2人だけでシンプルにやることで、メロディーや歌詞がいつもと違う聴こえ方をしたりしたらいいなあと。そして2人だけでステージに上がることで、僕らの人柄みたいなものも見えやすくなるんじゃないかなと思ったんです」
華やかに見えても、僕らの目線はいつもみんなと同じ高さにある。みんなの言葉がスキマスイッチにとってとても大きなものに変わっていくから、良いも悪いもぜひ聞かせてほしいーー。友達に語りかけるように、大橋はありのままの思いを飾らない言葉で伝え続けた。そして「またね。」にたくさんの感謝を込めた2人。「今までホントありがとう」の部分で大橋はグッと言葉に力を込め、常田はさり気なく頭を下げた。これからも共に、そしてもっともっと音楽を楽しもう。デビュー10周年を迎えてなお、距離感を感じさせない2人のあたたかさと清々しい初心を全身で感じた一夜だった。
【取材・文:山田邦子】
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リリース情報
セットリスト
TOUR2012-2013 “DOUBLES ALL JAPAN”
2013.3.27 @ 渋谷公会堂
- アイスクリーム シンドローム
- 全力少年
- 螺旋
- ガラナ
- センチメンタル ホームタウン
- 藍
- 病院にいく
- ソングライアー
- さみしくとも明日を待つ
- 雫
- ボクノート
- トラベラーズ・ハイ(新曲)
- 奏(かなで)
- ふれて未来を
- ユリーカ
- 晴ときどき曇
- ただそれだけの風景
- view
- ラストシーン
- またね。
お知らせ
Sukimaswitch in Augusta Camp 2013
〜Sukimaswitch 10th Anniversary〜
2013/07/27(土)横浜赤レンガパーク 野外特設ステージ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。