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Hilcrhyme、ニューアルバムを引っ提げてのツアー・ファイナルをレポート!!

Hilcrhyme | 2013.04.12

 Hilcrhymeのニュー・アルバム『LIKE A NOVEL』を引っさげてのツアー・ファイナル。今回のツアーの観客動員は、彼らのツアー史上最高だということだが、会場のZepp Divercity Tokyoは超満員の観客で、開演前から熱気に満ち溢れている。

 そんな中、アルバムのオープニング曲である「LIKE A NOVEL -prologue-」が流れ、TOCとDJ KATSU、そしてダンサー・チームのTHUG-HOMEYとCLOP がステージに登場し、畳みかけるようなビートに乗せて、「NOISE」が始まった。

「『LIKE A NOVEL』は、アルバム全体の流れがいいと好評なので、今日はアルバムの全曲を、曲順通りやります」というTOCの言葉通り、アルバムの曲が次々とパフォームされていく。時にはダンサーたちと共に、そして時には二人だけで、さらにステージ後方のスクリーンには、それぞれの曲をイメージした様々な映像が映し出され、“小説のように”というタイトルそのままに、ライブ全体をひとつのストーリーのように表現していく。そのドラマティックなステージの流れは圧巻だ。TOCのボーカルやラップの表現力にはさらに磨きがかかり(彼はラップのスキルに大きなこだわりを持っているが、ツアーを重ねるたびにそのスキルはアップしている。ライブでここまで歌詞がはっきりと聴き取れるラップは、実は日本では数少ないと思う。DJ KATSUの作り出すサウンドもよりバラエティに富んだものになり、アルバムの世界観がもっと彩り豊かなものになって眼の前に広がっていく。「実はこのアルバムには、『prologue』はありますけど『epilogue』は入っていません。今日、みんなと一緒にそのepilogueを書き足したいと思います」とTOCが語っていたが、このライブによって彼らの“小説”は、ようやく完成するのだ。彼らがステージで書き綴っていく“小説”の世界観がとてもリアルに、そしてより視覚的に伝わってくる。さらにアグレッシヴなサウンドへと進化した「Fake City -Instrumental-」、TOCが驚異のア・カペラ・ラップとヒューマン・ビート・ボックスを聴かせた「我ガママ」、そしてアルバムよりもサイズが長くなり、ファンと感動的なコール&レスポンスを展開した「LIFE IS GOOD」など、ライブならではの趣向も取り入れ、より進化した『LIKE A NOVEL』の世界観を見事に表現してくれた。そしてエンディングの「カノン」が流れる中、ライブは一旦終了。アルバムの楽曲を曲順通りパフォームし、そこで一度ライブを完結させる、というところにも彼らのアルバムに対するこだわりと自信が感じられる。

 そしてアンコール、というか“エクストラ・ステージ”と言ったほうがいいだろうか、新たなる“章”としてセカンド・ステージが始まった。ここからは、彼らのライブの定番曲が次々と歌われ、会場のボルテージもさらに上がっていく。「光」と「つぼみ」は、このツアー用のリミックス・バージョンで聴かせてくれたりと、アンコールとはいえ、しっかりと作り込まれている。また3年9ヶ月間続き、この3月に惜しまれつつ終了した、彼らがパーソナリティを務めていたFM番組『週刊Hilcrhyme』を、そのままステージで再現するコーナーもあった。二人がマイクを挟んで向かい合って座り、事前にファンの人たちから募った質問や相談などに答えていく。実はDJ KATSUは、ライブのステージで喋ったのは、今回が初めてだという。そういう意味でも貴重な瞬間だ。そして客席から1人の女性ファンを指名してステージに上げて、そのファンとのトークを展開し、彼女からのリクエストに応えて「内容の無い手紙」を目の前で歌う、という心憎い演出もあった。その場で聞いたリクエストに、すぐ応えてパフォームするというのは、実はとてもたいへんなことだと思うのだが、それを完璧にやってしまう彼らのライブ・アーティストとしてのスキルの高さにも驚かされた。

 さらにツアー・ファイナルならではのスペシャル・ゲストとしてLUVが登場し、この日配信がスタートした、彼らとTOCとの共演曲「one Piece feat. TOC from Hilcrhyme」をライブで初披露する、というサプライズもあった。そして彼らのライブの人気曲である「大丈夫」をみんなで大合唱し、最新シングル「想送歌」を歌って、すべてが終了。結局、本編とアンコールを合わせて約2時間半という盛りだくさんのステージだった。最後には“みんなを必ず日本武道館に連れて行きます!”というTOCの宣言も飛び出し、Hilcrhymeの二人の、熱く、真摯な思いがストレートに伝わってくる、感動的なライヴだった。アルバムが、ライブでさらに進化し、そしてそのライブが、次のアルバムにつながっていくというHilcrhyme。彼らの“次章”が、ますます楽しみになってきた。

【取材・文:熊谷美広】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Hilcrhyme

リリース情報

LIKE A NOVEL(初回盤)

LIKE A NOVEL(初回盤)

2012年11月28日

ユニバーサルJ

ディスク:1
1. LIKE A NOVEL -prologue-
2. NOISE
3. Kaleidoscope
4. Running
5. 蛍
6. STAY ALIVE
7. Fake City -Instrumental-
8. 夜ノ音
9. 我ガママ
10. ジグソーパズル
11. LIFE IS GOOD
ディスク:2
1. 蛍 (MUSIC VIDEO)
2. ジグソーパズル (MUSIC VIDEO)

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セットリスト

TOUR 2013「LIVE A NOVEL」
2013.3.30@Zepp Divercity Tokyo

  1. NOISE
  2. Kaleidoscope
  3. Running
  4. STAY ALIVE
  5. Fake City -Instrumental
  6. Technical
  7. 夜ノ音
  8. 我ガママ
  9. ジグソーパズル
  10. LIFE IS GOOD
  11. Encore
  12. トラヴェルマシン
  13. TOKYO CITY
  14. RIDERS HIGH
  15. ツボミ
  16. Request Song
  17. ルーズリーフ
  18. one Piece feat.TOC from Hilcrhyme with LUV(ゲスト)
  19. 大丈夫
  20. 想送歌

お知らせ

■ライブ情報

秋の東名阪ホールツアー
2013/10/06(日) 東京・NHKホール
2013/10/14(月・祝)大阪国際会議場
2013/11/03(日)愛知県芸術劇場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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