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KREVA、生楽器と打ち込み音源を同期させた「半生ライブ」スタイルのツアーを敢行!

KREVA | 2013.06.13

 ドラム、ベース、キーボードという楽器隊に、KREVAと名バッテリーを組む熊井吾郎がMPC+DJで打ち込みの音源を同期させるという自身初の「半生ライブ」スタイルで行われた今回のツアー。楽器の生演奏と打ち込みの音を同時に流すことは昨今のライブで珍しくない手法だが、今回のKREVAが求めたのは「打ち込みを併用してCD音源をより正確に再現する」ことではなく、「打ち込みと生演奏でCD音源をどう再構築し、どう生々しく鳴らすか」ということだったと思う。『SPACE』はEDMとブレイクビーツの共存を音作りのテーマにしていたが、ライブでは「EDM<ブレイクビーツ」というバランスで表現。特にリズム隊が生演奏に差し替わっていたのが効果絶大で、プレイヤーの呼吸が感じられる強弱のついた演奏は大きなうねりを生み出し、とてつもない奥行きとダイナミズムが感じられるものになっていた。ライブ用に音を整理整頓、簡素化していても躍動感があふれ、どの曲も聴いてるうちに体の中でグルーヴがどんどんどんどん広がっていく感じ。まさに“入り口はミクロ その先はマクロ”な音だった。

 星が瞬く宇宙に青白い星雲や赤紫の星雲が現れる壮大で神秘的な映像にKREVAのシルエットが浮かび上がる。「一体これからどんなライブが始まるのか!?」。期待と緊張で空気が張り詰める中、「SPACE」で場内の息詰まるムードは一気に解放され、続く「Feel It In The Air」で総立ちの場内がますます白熱。その後も「こんなもんじゃねぇんだよ、俺の基準は」と、CDよりヘヴィネス200%増しになった「基準」や「ストロングスタイル」など、攻撃の手を休めることなくエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げ、観客をKREVAワールドにグイグイ引き込んでいく。

 序盤はバンドの人力感が出た演奏で楽しませ、「I REP」から「OH YEAH」まではDJ感を打ち出したアレンジでひと味違うグルーヴを展開。「space4space 3」を挟んだあとは、「ここからはホールツアー恒例の座って観るコーナーです」と、メロウなナンバーを体が自然と横揺れしちゃう快楽アレンジで次々に披露していく。「EGAO」ではステージ一面に雲のようにスモークがたかれ、KREVAの後ろに並ぶ8本の火柱がろうそくのようにゆらゆら。橙色の照明に包まれる幻想的な雰囲気の中、大切なメッセージを祈るように歌うKREVAの姿が印象的だった。

 今回のツアーではヒップホップのライブで見受けられる手を挙げて前後に動かす乗り方からの脱却を提案したKREVA。MCでは「まねき猫みたいな動きからの解放」をテーマに掲げ、「もっと自由に体を揺らして楽しんで欲しい」と再三伝えていた。それを実践するために「どう動いていいかわからない曲を作った(笑)」と紹介した「ma cherie」ではお客さんの一人ひとりが自由な動きで気ままにリズムを取り、楽しそうな表情でダンス。均一した動きでどこかカッチリとしていた客席にうねりや遊び(スペース)が生まれ、フェスっぽい空気というか、いい意味で弛緩した空気になったのが目新しかった。

 SONOMIを迎えて「ひとりじゃないのよ」「遠くまで」を届けたあとは、「成功」で金テープを噴射、怒濤のラストスパートだ。最近のライブで恒例となったラストのサビの合唱がヤバいくらいひとつになっていた「C’mon, Let’s Go」に続いては、「Changing Same」の2ndヴァースのみをキックして“俺と君を繋ぐこんな歌”である「Link」へ。魂のこもったKREVAの歌声と熱のこもったバンド演奏でステージとオーディエンスの距離はどんどん縮まり、高揚感にあふれる「KILA KILA」で会場のボルテージと一体感は最高潮に達した。演奏後、少し間が空いたため客席のほとんどは「KILA KILA」で本編が終了だと思っただろう。がしかし。“なんと、な・なんと、な・な・なんと!”(笑)。「サイコーは何度あってもいいだろ?」と、『SPACE』のラスト曲「Na Na Na」をドロップ! もうひとつ上の興奮と熱狂を誘う演出に観客は我を忘れるほど盛り上がりさらなる絶頂へ。喉が枯れんばかりのKREVAの絶唱に呼応して客席も大合唱を繰り返し、会場中が沸き返った。

 アンコールでは「自分の人生に彩りを加えるべし!」と新曲「BESHI」をパフォーマンス。また、KREVAが言う4択から観客の拍手で演奏曲を決めるコーナーもあって、この日は『SPACE』で1曲だけやってないナンバーだった「Space Dancer」が披露された。

 昨年のツアーからMCも演出のひとつと考え、必要最低限の回数と口数でステージを進行していたKREVAだが、今回は回数も増え、口調も砕けた感じに。進化をやめず独自のライブアートフォームを追求するKREVAのストイックさは精密機械のようで、この日も非常によく練られたステージを見せてくれたが、同時にこの日は歌唱も動きもめちゃくちゃ情熱的でエネルギッシュで、人間味/人間臭さがあちこちから噴出していたステージでもあった。アルバムがEDMとブレイクビーツのブレンドなら、ライブは機械並みのタイトさと人間的な温もりの合体。「最新作が最高傑作」はKREVAの常套句だが、この日のライブはまさに現在のKREVAのナンバーワン。このライブはのちに絶対、伝説になる。

【取材・文:猪又 孝(DO THE MONKEY)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル KREVA

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リリース情報

SPACE (初回限定盤)

SPACE (初回限定盤)

2013年02月27日

ポニーキャニオン

ディスク:1
1. space4space 1
2. SPACE
3. Feel It In The Air
4. ma cherie
5. 王者の休日
6. space4space 2
7. 俺は Do It Like This
8. 調理場
9. 言ってなカッタカナ?
10. OH YEAH
11. space4space 3
12. Space Dancer
13. Link
14. space4space 4
15. Na Na Na
ディスク:2
1. OH YEAH (Music Video)
2. Na Na Na (Music Video)
3. 王者の休日 (color ver./monochrome ver.) (Music Video)
4. 王者の休日 (メイキング)
5. SPACE (メイキング)
6. 908 FESTIVAL (Trailer)

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セットリスト

KREVA CONCET 2013「SPACE TOUR」
2013.5.25-26@東京国際フォーラム ホールA

  1. space4space1
  2. SPACE
  3. Feel It in The Air
  4. 基準
  5. ストロングスタイル
  6. 俺はDo It Like This
  7. I REP
  8. 調理場
  9. 言ってなカッタカナ?
  10. OH YEAH
  11. space4space3
  12. I Wanna Know You
  13. 瞬間speechless
  14. EGAO
  15. ma cherie
  16. スタート
  17. 音色
  18. イッサイガッサイ
  19. ひとりじゃないのよ
  20. SONOMI / 遠くまで feat, KREVA
  21. 成功
  22. C’mon, Let’s go
  23. Changing same
  24. Link
  25. アグレッシ部
  26. KILA KILA
  27. space4space4
  28. Na Na Na
Encore
  1. 王者の休日
  2. BESHI
  3. Have a nice day!

お知らせ

■ライブ情報

ROCK IN JAPAN FES.2013
2013/08/04(日)国営ひたち海浜公園

FREEDOM aozora 2013 淡路島
2013/09/01(日)淡路島 国営明石海峡公園芝生広場

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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