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back number、初の日本武道館で9,000人に伝えた熱く、強い想い

back number | 2013.09.20

 ざわつく客席。観客の期待と喜びが渦巻いていた。ステージ両脇、2階席に設置されたスクリーン。その下まで人が入っている。動員9000人。超満員だ。
 9月7日、back number、初の日本武道館公演。【live at 日本武道館-stay with us-】。18時、日本武道館は、何の前触れもなく暗転した。激しく明滅するブルーのライト。エレクトリックな4つ打ち。大音量のリズムが、観客のドキドキに重なっていく。鼓動とリズムがリンクする。サポートメンバー(ギター、アコギ、キーボードの3人)とともに、ベースの小島和也、ドラムスの栗原寿が登場。続いて、ボーカルの清水依与吏がステージへ。大歓声が武道館を駆け抜ける。清水のシルエットが、両手で拍手をしながら、ゆっくりとステージ中央へ歩を進めていく。右手を軽く上げると、総立ちの観客からはさらに大歓声が起こった。back number初の日本武道館ワンマンライブは、アップチューン「半透明人間」で幕を上げた。頭の上でクラップしながら、リズムに飛び乗る超満員の観客。日本武道館全体が、歓喜でとび跳ねたようだった。

 「せっかくだから、楽しんでいってよ!」という清水の言葉から「こぼれ落ちて」。70年代ニューミュージックにも通じるような滑らかなメロディー&コーラスと、2000年以降のバンド・サウンドの激しさが同時に楽しめるback numberらしい1曲だ。続いて、切なさ&哀しさをユーモアに変えたポップチューン「そのドレスちょっと待った」では、ステージ前方に出てきた清水のアクションに応えるように、会場中が大合唱になった。
 「俺達の人生では1回しかない“初めての日本武道館”へようこそ」と清水が軽く挨拶。その後、会場をぐるりと見回しながら「すごい景色だよ、すごい、すごいよ」と笑顔を見せ、最後はこう締めくくった。
 「毎日いろんなことがあると思うけど、そういうの抱えたままでもいいから、楽しくなって終わろう。今日はよろしくね」

 ライヴは序盤から中盤へ。「思い出せなくなるその日まで」「春を歌にして」など、バラードをしっかり聴かせる。観客も口ずさみながら聴き入っていた。再び清水のMC。back numberを見つけてくれて本当にありがとうと、感謝を述べた後こう続けた。
 「あんまり感極まってもしょうがない(笑)。やっぱりちゃんと歌いたいから。次は、あまりライヴでやらなかったけど、この歌でメジャーデビューできて本当に良かったと思います」
 言葉の途中から大きな拍手が起こる。その拍手の中、メジャーデビューシングル「はなびら」へ。曲の途中で劇的に表情を変える濃密な1曲だ。その変化に合わせて、ライトも淡いピンクから変わっていく。
 曲とともに、観客の反応も変化する。アリーナにいた1人の女性。20代後半だろうか。汗をかき、前髪がうっすらと額にはりついている。最初は薄く微笑んでいた彼女。その表情も、アクションも曲と一緒に、どんどん変わっていった。

 ライヴは後半へ向かう。イントロだけで日本武道館がバウンドした「高嶺の花子さん」。ムービングライトが2階席にポップ&サイケデリックな模様を描く。栗原はビートを刻みながら歌い、客席を見上げ満面の笑顔を見せる。エンディングではベースの小島がステージ前に出てきて観客を煽る。その姿に、観客は両手を上げレスポンス、歌声も一層大きくなった。最新シングルのアップチューンで盛り上げた後は、再びミディアム、バラード曲が続くブロックへ。続く本編最後のブロックでは、アップチューンを立て続けに数曲。「もっともっといい景色見せるからさ、だからついて来てください!」と、清水の自らを鼓舞するような言葉から「青い春」。ラストはディスコチックなアッパー・チューン「スーパースターになったら」で、観客をはじけさせ3人はステージを後にした。

 この日のライヴは、初の日本武道館ということもあり“ベスト・オブ・back number”というセットリストだったが、その分、彼らの真骨頂であるミディアムやバラードの曲数が多かった。全体の半分以上を占めていたと思う。ゆえに、日本武道館という広い場所で、こういう“聴かせる曲”をどれだけしっかり届けられるかが、ひとつのテーマだったのではなかろうか。
 このテーマを彼らはクリアしたと思っている。そう思わせた要素は多々ある。まずひとつが曲順。ミディアムやバラードが続く中に、アップチューンの曲を投入することで、メリハリはもちろん、他の効果も生まれていた。アップチューンで解放された心は、いつもよりもフラットな状態になる。ゆえにバラードも歌詞も、いつも以上にしっかりと響いてきた。それは、感情を直接揺さぶられているようで、作品では感じられなかった“想い”が沸き上がった。そしてもうひとつがスクリーンの効果だ。その映像は、ライヴ中の3人の表情をメインに構成されていたが、この演出がback numberに合っていた。スクリーンにアップになった彼らの表情で楽曲の説得力が増すと同時に、その表情はこの日の日本武道館ライヴの意味を、ひしひしと伝えてきたのだ。

 アンコールでは、このグループのオリジナリティーでもある“ぐだぐだ”(本人談)のMCも観られ、ファンも大喜び&一安心。この日、初めて“ホッ”としたような、リラックスしたムードが、会場をさらにひとつにまとめていく様子が印象的だった。
 全22曲を終え、サポートメンバーとともに、ステージ前に一列に並んだ清水、小島、栗原。手をつないでバンザイした後、深々と一礼を。3人とも、繰り返しありがとうと言いながら、何度もお辞儀をしながらステージを後にした。最後にこんな言葉を残して。
 「このまま愛してもらえると助かる。back numberでした。どうもありがとう!」

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:佐藤祐介】

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リリース情報

高嶺の花子さん(初回限定盤)[CD+DVD]

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2013年06月26日

ユニバーサル シグマ

1. 高嶺の花子さん
2. バースデー
3. 君がドアを閉めた後
4. 高嶺の花子さん (instrumental)
5. バースデー (instrumental)
6. 君がドアを閉めた後 (instrumental)

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セットリスト

back number live at 日本武道館
-stay with us-
2013.9.7@日本武道館

  1. 半透明人間
  2. こぼれ落ちて
  3. そのドレスちょっと待った
  4. 日曜日
  5. わたがし
  6. 思い出せなくなるその日まで
  7. 春を歌にして
  8. はなびら
  9. bird’s sorrow
  10. 平日のブルース
  11. 高嶺の花子さん
  12. 幸せ
  13. 風の強い日
  14. stay with me
  15. 重なり
  16. 青い春
  17. スーパースターになったら
Encore
  1. リッツパーティー
  2. ささえる人の歌
  3. 花束
  4. 海岸通り

お知らせ

■ライブ情報

関西テレビ放送開局55周年記念 Livejack Special III Stories-Songs make you smile-
2013/11/23(土)大阪市中央体育館

ミュージックドラゴン LIVE 2013
2013/11/09(土)横浜アリーナ

COUNTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/28(土) 29(日) 30(月) 31(火)幕張メッセ国際展示場ホール1?8、イベントホール
※出演日・出演時間・出演ステージは後日発表いたします。

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