REDLINE TOUR 7日目はMoH、ガリレオ、LACCO TOWERが境界線を超える!?
REDLINE | 2013.11.18
恵比寿リキッドルームで10日間ぶち抜きで開催したREDLINE TOUR。7日目となったこの日はMop Of Head、Galileo Galilei、LACCO TOWERが出演した。ラウドロック勢が大半を占めるラインナップの中では音楽性も異なる異色の3組。その音楽性はいずれもバラバラで一言で伝えるのは難しい。お客さんの割合は他の日と比べるとやや女の子が多め。会場に足を踏み入れた瞬間のムッとする熱気もいつもより柔らかく感じた。
トップバッターはMop Of Head。クラブミュージックを生音で表現するスタイルで世界でもライブを展開する4人組インストバンドだ。中央に立つGeorgeの立ち位置には、ぐるりと5台の鍵盤が置かれている。この日のお客さんは初めて見る人も多そうだ。
1曲目の「Japanese Boring」からいきなりメンバーが頭を激しく上下に振り、エモーショナルな演奏を繰り広げる。その圧倒的な音の情報量にはじめは茫然と立ち尽くしていたオーディエンス。しかし、ステージ上でギターのTakuma Kikuchiがハンズクラップを要求すると、おずおずとその輪に加わっていく。
紅一点のHitomi Kuramochiは華奢な身体で豪快にベースを操り、オーバーアクション気味なプレイでGeorgeがシンセをかき鳴らすと、少しずつMop of Headの音楽が会場に伝わっていく。4人が生み出す中毒性の強いメロディとグルーヴの快感に、気づけば客席は大きく波打っていた。
ロック/ポップスを中心した音楽のメインストリームにはいつだって”歌もの”が主流になる。だけど言葉の介在しない音楽でもちゃんと聴き手の心にメッセージを残すバンドは数多くいるし、聴き手もそれを受け取る準備は意外とできているものなのだ。Mop of Headのステージはそんな当たり前を証明するものだった。
続いては、Galileo Galilei。この日は、ボーカル・尾崎雄貴、ドラム・尾崎和樹、ベース・佐孝仁司にサポートメンバー2人を加えての5人編成であった。
舞台袖から物静かに現れて楽器をスタンバイすると、そのまま何も言わずに演奏を始める。ドリーミーなキーボードから一粒ずつ音が重なり合う「星を落とす」で一気に会場はGalileo Galileiのものになる。静謐で情熱的、シンプルでややこしい、朗らかなのに憂鬱、そんなGalileo Galileiの一筋縄ではいかないロックは一点突破の破壊力はないけれど、ボディブローのようにじわじわと効いてくる。
救いのない日常に漂う憂鬱な気分をさらりと歌う「スワン」、Chinaとのコーラスが豊かなメロディをより美しく引き立てた「サークルゲーム」など、先日リリースされたばかりの最新アルバム『ALARMS』からの楽曲を織り交ぜたセットリスト。海外のインディーロックからの影響を包み隠さず自分たちのものする今のGalileo Galileiのサウンドはなんだか以前よりも人懐っこくなって聴き手に近づいた気がする。
尾崎雄貴がアコースティックギターで弾き語った「時計塔」から、ボコーダーで作り出す不思議な声の重なり合いが幻想的だった「Birthday」まで全8曲。MCでは軽くあいさつめいた発言をしただけで、語りかける言葉は少なかった。
ステージ上の強い光を受けて、ただただ互いの音に没頭して演奏する5人のいる場所は、ライブハウスというよりもむしろ森の中にぽっかりとできた陽だまりを連想させるような、とても開放的なものだった。
そしてトリは今年の6月から新ギタリストに細川大介を迎えて5人組の新体制となったLACCO TOWER。黒一色の衣装に身を包んで登場すると、1曲目の「柘榴」から、ボーカル・松川ケイスケがモニターに右足を乗せて客席をあおる戦闘モードだ。重田雅俊のドラムが空気をビリビリと震わせ、ベースの塩崎啓示は暴れすぎてストラップが肩からはずれしまうほど。メンバー同士がステージ上でぶつからないか心配なくらいだ。
歌謡曲ロック的な妖艶なメロディの味わいと、それを支える爆音が時に不協和音にも似た怪しい雰囲気を纏いながら、オーディエンスの視線を釘づけにする。
「LACCO TOWERは東京ドームでしかできないバンドでもないし、友達しか来ないようなバンドでもない。だからみんなの気持ちがよくわかる」と、熱く語かける松川。「明日から始まるしょうもない日々に少しでも光が灯りますように」。そう祈りを込めたラストナンバー「告白」では強くまっすぐな歌声が会場の隅々まで響いていた。
アンコールは、会場からラッコラッコラッコ?♪の合唱が自然と湧き起こる。再びステージに現れたメンバー。松川が「今日は楽しかったですか? 明日はがんばれそうですか? 幸せになる準備はできていますか?」と問いかけ、「一夜」へ。《輝いた理想は 眩しく目を細めるけど/手探りで 進んでいくよ/少しだけ幸せな明日へ》と歌うこの曲はこの日のラストを締めくくるにふさわしい1曲だった。
ステージの去り際、お客さんとハイタッチをかわした松川。枯らして「がんばれよ!」と言い残す姿が最高にかっこよかった。
REDLINEとは、「すべての境界線をなくすこと」を目的とした活動体だという。 そう言えば、この日は会場の入り口で係の人が来場者に「お目当てのバンドは?」と聞いていた。私の前にいた2人組の女の子はGalileo Galileiと答えていたけれど、終わってみれば彼女たちはMop of HeadやLACCO TOWERにも心を奪われていたら、うれしい。ライブハウスではいつもそういう素敵なハプニングが起きるから。境界線を超えることは、その気になれば意外と簡単なものかもしれない。
【取材・文:秦理絵】
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リリース情報
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セットリスト
REDLINE TOUR 2013 10DAYS
2013.10.17@恵比寿リキッドルーム
Mop Of Head
- Japanese Boring
- S.A
- C
- Breaking Out Basis
- Istanbul
- Retronix Symphony
- Superhuman
Galileo Galilei
- 星を落とす
- Jonathan
- パイロットガール
- スワン
- サークルゲーム
- Imaginary Friends
- 時計塔
- Birthday
LACCO TOWER
- 柘榴
- 凡人論
- 仮面
- 苺
- 杏子
- 変身
- 告白
- 一夜