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すべての過去曲に愛を。BIGMAMA、トータル50曲披露の赤坂ブリッツ3Days!

BIGMAMA | 2013.11.18

 3日目最終公演だけを観た勝手な想像だが、ほかの日も全く違うライヴを披露し、観客をハラハラドキドキさせたに違いない。なぜなら、この日も二度と戻って来ないプレミアムな時を刻み込んだから。

 BIGMAMAが過去に出した3枚のアルバムをベスト・プライスで再リリースするに伴い、赤坂BLITZ3デイズ「We Don’t Need a Time Machine」を決行した。表題からもわかる通り、新旧問わずこれまでの作品を余すことなく披露して、リスナーの心を時空を超えた音楽の旅に誘おうという主旨だ。3日間で50曲以上プレイしたようだが、バンド的にも技術・体力面で一段と高いハードルを自らに課したショウとなった。それもデビューからこれまで応援してくれたすべてのファンのため、という命題に誠実に向き合ったゆえだろう。

 開演時刻17時ほぼジャスト、最初は3rdアルバム『and yet,it moves~正しい地球の廻し方~』から「Overture」で壮大に幕を開ける。スピーディーな曲調と金井政人(Vo・G)と柿沼広也(G・Vo)の力強い掛け合いが重なり、オープニングからフロア全体を巻き込んでいった。続いて同作から「かくれんぼ」「No Way Out」と勢いは加速し、観客の熱はそれに比例して高まっていく。
 今回のライヴは3曲ごとにスクリーンに過去作のジャケがルーレット形式で回り、止まったアルバムの楽曲を披露していく形式。続いて4thアルバム『君がまたブラウスのボタンを留めるまで』で止まると、歓声がドッと沸いた。そのどよめきをスッと引き受けた「beautiful lie, beautiful smile」は吐息のように優しく語りかける歌声と神聖なコーラス・ワークに耳を奪われ、性急なバイオリンの旋律が高揚感を煽る「#DIV/0!」の流れも最高だった。序盤から、パンクの牙とクラシカルな美を兼ね備えたロック・バンドとしての本領をこれでもかと知らしめる。
 やっぱり最終日だし、バンドの気合いも相当入っているんだなと思った矢先、「心臓がバコンバコン言ってる」と喋り出すフロントマンの金井。それからこの初日と2日目の公演を振り返り、スクリーンのジャケが隅っこに映されたこと、メンバーからMCが長いと注意されたことなどを語り、終いには「アンコールに新曲やるんで!」とあっさり告知してしまい、「金井さん、アガッてます?」と柿沼から苦笑交じりのツッコミが入った。鼻持ちならないロック・スターではなく、どこまでも人間味ダダ漏れのBIGMAMAの魅力に会場は和やかムードに包まれた。

 中盤にはルーレットで『?』ゾーンが設けられ、安井が「今日誕生日の人?」と言うと、一人の男性をステージに上げ、裏に曲名が書かれた赤、黄、青のカードを選んでもらった。そして、「3日目で初披露の曲が出た!」という雄叫びと共にデビュー作『short films』から「look at me」をプレイし、金井が初めて買った洋楽の曲「Virtual Insanity」(by ジャミロクワイ)のカヴァーも惜しみなく披露。余程お気に入りの曲なのか、金井はハンドマイクで観客とアイコンタクトするように動き回り、さらにドラム台に乗って気持ち良さそうに歌っていた。
 後半は「行こうぜ、赤坂!」と呼びかけると、1stアルバム、2ndアルバムのゾーンに突入し、観客が1曲1曲まるで自分の曲のように精いっぱい腹の底から歌い、ステージとフロアが逆転したんじゃないかと思うほどの熱い交歓風景が広がる。聴き手の心と体に楽曲がフォト・アルバムのごとく焼き付いているんだなと痛感した。

 最後のルーレットでは、最新5thアルバム『君想う、故に我在り』のジャケが映される。その表題曲を演奏中に歌詞が一瞬飛んでしまい、金井が上空を見上げる場面もあったが、もはやそれも演出の一部に見えてしまうから不思議だった。本編ラストの「ライフ・イズ・ミルフィーユ」は人間感情のヒダに触れてくる繊細な歌詞とメロディが素晴らしく、鮮やかなフィナーレを迎えた。しかし、まだこれで終わらない。アンコールで再びステージに戻ると、3日間全曲に付き合ってくれたエンジニア、どの曲も愛してくれるお客さんに対しても感謝の気持ちを述べ、これから意味のある一歩を刻んでいきたいと言った後に舌がもつれ、金井は助けを求めるように柿沼と抱き合うシーンもあった。

 ミラーボールが煌びやかに回り始めると、シンガロング色の強い新曲「Sweet dreams」(*帰り際に歌詞付きのポストカード配布)を放ち、わかりやすいサビが訴求力大の楽曲で、音源で聴く日を待ち遠しく思えた。ニュー・シングル「alongside」で一旦引っ込むと、Wアンコールにも応え、「until the blouse is buttoned up」「荒狂曲"シンセカイ"」と続け、1階、2階席までBIGMAMAのタオルを掲げた観客からこの日最大級の合唱が起き、全24曲を無事やり遂げた。すぐに心が通じ合う親友のような人柄と楽曲の数々に、これからも一緒に時を刻んでいきたいと思った人が多かったことだろう。"相思相愛"を絵に描いたような心温まるライヴだった。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:AZUSA TAKADA】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル BIGMAMA

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1. the cookie crumbles
2. Baseball prayer
3. We have no doubt
4. HAPPY SUNDAY
5. Today
6. CHAIN
7. Neverland
8. The Man’s Sorrow
9. I’m so empty
10. CPX
11. Moo
12. Candy House

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4. The Game is Over
5. "MISSION 481"
6. make a booboo
7. My Greatest Treasure
8. Sleeping Beauty 〜二度寝する眠れる森の美女〜
9. just a tool
10. Cinderella〜計算高いシンデレラ〜
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1. Overture
2. かくれんぼ
3. I Don’t Need a Time Machine
4. as one(2009/7/22)
5. No Way Out
6. Lovescape
7. Where’s The Ring?
8. Accelerate
9. Broken Apart
10. The Right
11. ダイヤモンドリング(2035/09/02)
12. Roll It Over

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セットリスト

We Don’t Need a Time Machine -DAY3-
2013.11.4@赤坂BLITZ

  1. Overture
  2. かくれんぼ
  3. No Way Out
  4. beautiful lie, beautiful smile
  5. #DIV/0!
  6. 最後の一口
  7. look at me
  8. 走れエロス
  9. irtual Insanity (Jamiroquai)
  10. Neverland
  11. Today
  12. the cookie crumbles
  13. paper-craft
  14. 『それはきっと天使が長く勤まらない理由』
  15. The Game is Over
  16. awasekagami
  17. 君想う、故に我在り
  18. 秋は傘のように
  19. ライフ・イズ・ミルフィーユ
Encore
  1. sweet dreams(新曲)
  2. I don’t need a time machineyoutube
  3. alongside
Encore2
  1. untill the blouse is buttoned up
  2. 荒狂曲"シンセカイ"

お知らせ

■ライブ情報

BIGMAMA"X’mas Special Live 2013"
2013/12/20(金)名古屋 CLUB QUATTRO
2013/12/21(土)梅田 CLUB QUATTRO
2013/12/24(火)渋谷 CLUB QUATTRO
2013/12/25(水)渋谷 CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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