“俺らはあなた達に生かされている”。ストレイテナー、愛と感謝の全国52公演
ストレイテナー | 2013.12.13
メジャーデビュー10周年となった2013年は、2月にファン投票のリクエストライヴを日本武道館で開催、5月には10年の歴史をコンパイルしたベストアルバム『21st CENTURY ROCK BAND』のリリースをしたストレイテナー。そのアニバーサリーイヤーの中でも大きなウェイトを占めていたのが、足掛け7ヶ月で全52公演に及ぶ“愛と感謝のどさまわり”(ナカヤマシンペイ/Dr談)、全都道府県ツアー「21st CENTURY ROCK BAND TOUR」だ。「日本全国51本もやってると、自分の家からライブに来るのが一番非日常」というセミファイナルは、東京・新木場STUDIO COAST。彼らを祝福すべく集まった超満員のオーディエンスへ向け、感謝を込めた1曲目は「ROCKSTEADY」だった。メジャーデビュー前から歌われてきたこの曲をホリエアツシ(Vo&Gt&Pf)が歌い出した瞬間に、フロアが一気に沸く。
この日のセットリストは、これまで彼らが生み出してきた様々な楽曲を、曲調ごとに大まかに括り、それを繋げていくというもの。歴史を振り返るベストアルバム的ライブというよりは、その歴史を歩いてきた今を刻むようなコンセプトアルバム的ライブのような印象を受けた。大山純(Gt)のカッティングと日向秀和(Ba)のスラップが心地よい「You and I」や「BRILLIANT DREAMER」といった柔らかく跳ねるようなリズムが心地よいブロックから、ナカヤマのタイトなビートから突入した「REST」で、エレクトロ要素をもったダンスロックへと移行。サイケデリックに照明が瞬く中、「VANDALISM」がトリップ感をぐんぐん増幅させていく。ちなみに、10周年記念の特設サイトに、ホリエによるベスト盤の全曲解説が掲載されているのだが、「VANDALISM」に関しては“グランジとダンスのスリルとカタルシスに賭けた攻撃的意欲作。まさかの97位。”と、ファン投票の結果を受け、自虐気味にコメント(苦笑)。しかし、後半のブレイクの部分でのオーディエンスの熱気と歓声は凄まじく、このツアーを経たことで、確実に評価があがったのではないだろうか。
攻撃的に突き上げていくのみでなく、リスナーを優しく包み込むのも彼らの音楽。“泣いちゃうかもしれない曲”と前置きされた「シンクロ」や、そこからの「SIX DAY WONDER」では、どこかセンチメンタルでありながら、暖かい空気が会場中を満たした。また、「The Novemberist」では、ラストの「November」の部分を「December」に変えて歌う場面も。のちのMCで「急に思い出したでしょ?(笑)」とナカヤマにツッコまれると、「マイクに間に合うかどうかギリギリだった(笑)」とホリエは答え、笑いを誘っていた。
またこの日、前述の「BRILLIANT DREAMER」を始め、最新ミニアルバム『Resplendent』の収録曲が全て披露された。4つ打ち縦ノリが今のトレンドなら、こっちは横ノリで攻めてやると言わんばかりの「BLACK DYED」は、野心たっぷり、かつ抜群の高揚感でオーディエンスを踊り狂わせる。「シンデレラソング」と「SCARLET STARLET」は、鍵盤始まりにリアレンジされて更にドラマチックになった「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」から口火を切った、セットリストの中でもとりわけ激情的なブロックに配置。ミディアムスロウな「WISH I COULD FORGET」は後半戦で。必殺ナンバーのオンパレードでフロアが絶頂へ向かい始め、このままラストまで駆け抜けていくか?という場面での投下は、この曲が持つ叙情性を際立たせ、心に深く響いた。
また、MCでメンバーそれぞれがこれまでの感謝や、想いを直接口にしていたのも心に残った。
ナカヤマ「今朝2ヶ月ぶりに掃除とか片付けが出来て。51本も廻ると手紙とかいっぱいもらうんだけど、片付けしながらそれを読んでたら、もう、大げさでもなんでもなく、俺らはあなた達に生かされていると思いました。ありがとうございます」
日向「それと、“ストレイテナーありがとう”って言いたいね。さっき楽屋でメンバーに言ったんだけど。ストレイテナーがなかったら人生全然違うことになってたから」
ホリエ「金沢がメジャーデビュー10周年の記念日だったんだけど、アンコールのときにケーキが出てきたんですよ。あれね、“ケーキ出して”って僕が言いました(笑)。だけど、それと一緒にEMIのディレクターさんからシャンパンが出てきて。それでね、グッときて泣いちゃったんです(笑)」
楽曲からは、クールで先鋭的な印象を受けるバンドでもあるが、そんな彼らの素の表情が垣間見えた瞬間だった。
クライマックスは、インディーズ時代の「SILVER STAR」、メジャーデビューシングルの「TRAVELING GARGOYLE」、そして年月を経てバンドを代表するアンセムソングとなった「Melodic Storm」の3連発。オーディエンスの大合唱が巻き起こる中、ナカヤマは心の底から楽しそうな笑顔でドラムを叩き、日向はステージ最前でフロアを挑発するようにプレイ。大山は自分の前に置かれていたマイクをフロア側へ向け、ホリエはオーディエンスひとりひとりとこれまでを分かち合うように、真っすぐに歌を届けていた。曲を終えると、メンバー全員がステージ中央に集合。肩を組み、深々と一礼すると、オーディエンスから惜しみない拍手と歓声が送られた。
ホリエ「今年のストレイテナーは感謝の1年だから、わりと守ったのよ。でも来年からはまた攻めて行くから。頼むよ! 俺達が道を作っていきます!」
そんな力強い宣言の後、アンコールは「A LONG WAY TO NOWHERE」。事前に渡されていたセットリストはここまでだったのだが、“ちょっと喋っていいですか”とナカヤマシンペイが切り出した。
ナカヤマ「「TRAVELING GARGOYLE」をやってる当時は、渋谷クアトロを埋めるのがやっとだったんですが、今やその曲がこれだけの多くのみんなの歌となって、iPodとかスピーカーから鳴ってると思うと、とても嬉しいです。最後にもう1曲だけ、長い時間の中で、きっとみんなの歌になっているであろう曲をやらせてください」
急遽追加された1曲は「REMINDER」。バンド初期に生み出され、いつまでも瑞々しさと衝動が色褪せることのないこの曲をもって、セミファイナルの幕を降ろしたのだった。
その後、ツアーファイナルとなった沖縄公演を終え、アニバーサリーイヤーを締め括ったストレイテナーだが、ここからもライブの日々が続く。共にメジャーデビュー10周年を迎えた盟友ASIAN KUNG-FU GENERATIONとのアジアサーキットを始め、年末から来年初頭までのイベント出演を発表している。「感謝の1年」でバンドを改めて見つめ直したことで、次はどんな作品が産声を上げるのだろうか。「攻めの2014年」が本当に楽しみだ。
【取材・文:山口哲生】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)】
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リリース情報
Resplendent(初回限定盤)[CD+DVD]
2013年09月11日
ユニバーサルミュージック
1. シンデレラソング
2. BRILLIANT DREAMER
3. BLACK DYED
4. SCARLET STARLET
5. WISH I COULD FORGET
ディスク:2
1.DISCOGRAPHY
2.PLAY THE STAR GUITAR
3.VANDALISM
4.SIX DAY WONDER
5.プレアデス
6.From Noon Till Dawn
7.YES,SIR
8.TRAVELING GARGOYLE
9.TENDER
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セットリスト
21st CENTURY ROCK BAND TOUR
2013.12.1@新木場STUDIO COAST
- ROCKSTEADY
- Ark
- ETERNAL
- YOU and I
- BRILLIANT DREAMER
- REST
- VANDALISM
- KILLER TUNE
- BLACK DYED
- Man-like Creatures
- The Novemberist
- シンクロ
- SIX DAY WONDER
- SAD AND BEAUTIFUL WORLD
- 星の夢
- シンデレラソング
- SCARLET STARLET
- MOTIONS
- From Noon Till Dawn
- BERSERKER TUNE
- WISH I COULD FORGET
- SILVER STAR
- TRAVELING GARGOYLE
- Melodic Storm
- A LONG WAY TO NOWHERE
- REMINDER
お知らせ
TOKYO FM EARTH × HEART Project ASIAN KUNG-FU GENERATION × STRAIGHTENER 〜10th Anniversary Asia Circuit〜
2013/12/17(火)韓国公演
2013/12/20(金)シンガポール公演
2013/12/22(日)台湾公演
COUBTDOWN JAPAN 13/14
2013/12/30(月)幕張メッセ国際展示場1〜8ホール、イベントホール
HOT STUFF 35th Anniversary Live ストレイテナー×THE BAWDIES
2014/02/20(木)Zepp Tokyo
※その他の公演、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。