エレファントカシマシ、闘い続ける男の生きざまを見せつけた初のアリーナ公演!
エレファントカシマシ | 2014.01.27
初のアリーナ公演となったエレファントカシマシ25周年記念スペシャル・ライヴ。88年のデビューから波瀾万丈の活動を続けて来た4人にとって、このアニバーサリーが格別なものなのは言うまでもない。25周年を目前にヴォーカル宮本浩次が外リンパ瘻と診断され、バンドは1年に及びライブ活動を休止。昨年7月のドキュメンタリー映画上映時にさいたまスーパーアリーナ公演を発表し、9月に日比谷野音、10月に大阪城野音で復活の喜びをファンとともに分かち合った。
そして迎えたこの日、スタンディング・ゾーンとなったアリーナとスタンド席を埋め尽くした観客は14,000人。センターに花道を設えたステージが、いつもと違う夜であることを既に知らせていた。場内が暗転し青く染まったステージでエレファントカシマシが始めたのは「Sky is blue」。曲が進むと背景の巨大なスクリーンいっぱいに太陽が昇り始めた。この曲が収録されたのが19作目『昇れる太陽』であることを連想させる印象的な幕開けに感動していると、一転してスクリーンに数字がカウントアップし「25」なると天井からカラフルなバルーンと風船が降ってきた。バルーンが跳ね、風船が降る中で演奏するのが「奴隷天国」というシュールな光景はエレカシらしくもあり、アニバーサリーのお祭り気分が一気に高まった。
「25周年なんでダイジェストでやってます」と宮本は言ったが、駆け足であっても手を緩めることはない。エレカシの4人とお馴染みのサポートメンバー蔦谷好位置(Key)とヒラマミキオ(G)によるバンドに加え、「新しい季節へキミと」では金原千恵子率いる総勢14人のストリングス・チームが登場し華麗なアンサンブルを織りなしたかと思うと、「今はここが真ん中さ!」では山本拓夫率いるホーン・セクションも参加してファンキーに盛り上げる。どちらも、これまでもエレカシの特別なライヴに出演してきた重要なチームだ。曲により弦と管のチームが揃ったり入れ替わったりしながらの演奏は、まさにスペシャル。この編成のために曲を選んだに違いなく、ここで演奏するためにアレンジも新たに組み直したようだ。
「丁寧に歌います」と始めた「リッスントゥザミュージック」はドラマティックな弦の響きが感動的だったし、ホーンがいい味を出した「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」は、この編成のための曲のように思えたほど。一方、金原のバイオリンと笠原あやののチェロをフィーチャリングしてシットリ聴かせた「Darling」も新鮮だったが、「25才の時に録音した」が「何も変わってない」と宮本が言った「シャララ」は弦が入ったヘヴィでダイナミックなパフォーマンスが圧巻で、これまでにない完成度の演奏だった。「シャララ」は彼等の5作目に収録されているが、この時の録音に金原は参加していたと宮本。その頃と確かにエレカシの本質は変わっていないが、バンドとしても人間としても彼等が大きく成長していることを感じさせる演奏だったことは言うまでもない。
賑やかなコーナーの次はエレカシの4人だけでタメの効いた「やさしさ」、アグレッシブな「珍奇男」と初期の曲を演奏。復活後は長髪になった石森敏行は髪を振り乱しながらギターを弾き、宮本も負けじとギターを掻き鳴らす。ベースの高緑成治とドラムス冨永義之の、安定感とキレのよさを兼ね備えたプレイは曲をがっつり掴んでいて、この4人ならではの呼吸が伝わってきた。デビュー25周年だが4人の出会いは更に遡る。4人をつなぎ止めてきたのはエレファントカシマシという生き物だ。
一方、3人が離れて蔦谷のピアノで聴かせた「風に吹かれて」は、改めてソングライター/シンガーとしての宮本の存在を際立たせる歌になり、「我慢したんだ」と花道を進み、バンドにストリングスを加えて歌った「あなたへ」は、この新曲が持つスケール感で広い会場を満たした。ひとつの山場を越えて宮本は花道もステージも縦横に走りながら「ハナウタ~遠い昔からの物語~」「ズレてる方がいい」、そして「俺たちの明日」で盛り上げると投げキッスをしてステージから姿を消した。
第2部は白いシャツに着替えた宮本が再び現れ、歌い出したのは「今宵の月のように」。「佐久間(正英)さんと録音した曲」と紹介した「さらば青春」は、氏への思いを感じさせ、ギターを爪弾きながら鼻歌になった「昔の侍」に、家で曲を作っている宮本はこんな感じだろうかと想像した。
さて第2部の山場は花道を花吹雪が包んだ「桜の花、舞い上がる道を」から「笑顔の未来へ」。そして「まだ行くぞ!」と叫ぶと「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」では弦と管のメンバーも紹介。フルメンバーでの「so many people」、バンドだけでの「ガストロンジャー」のどちらも圧巻で、その中心にいるエレファントカシマシというバンドの底力を見せつけた。最後は25年間演奏し続けている「ファイティングマン」。闘い続ける男たちのアンセムに、高く突き出された数えきれない拳が一つの命のように揺れていた。
35曲に及んだ後のアンコールは「男は行く」「待つ男」。どちらも古い曲だが、自分たちは変わっていないのだという宮本の意思表示ではなかったか。「素晴らしい日になりました。みんなもいい年になるぜ!」と言った宮本の顔は、やり切った満足感に溢れていた。
【取材・文:今井智子】
【撮影:hajime kamiiisaka】
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リリース情報
復活の野音 2013.9.15 日比谷野外大音楽堂【初回限定盤】
2013年12月18日
ユニバーサル シグマ
1. 平成理想主義
2. 地元のダンナ
3. 四月の風/悲しみの果て
4. 東京からまんまで宇宙
5. 大地のシンフォニー
6. めんどくせえ(新曲)
7. ゴクロウサン
8. 星の砂
9. 涙を流す男
10. はてさてこの俺は
11. なぜだか、俺は?ってゐた。
12. 風に吹かれて
13. シグナル
14. なからん(新曲)
15. 明日への記憶
16. あなたへ
17. さよならパーティー
18. 笑顔の未来へ
19. ズレてる方がいい
20. 俺たちの明日
21. 今宵の月のように
22. 武蔵野
23. コール アンド レスポンス
24. ガストロンジャー
25. ファイティングマン
26. 待つ男
[DISC 2]
エレカシ復活の日、9月14日野音初日のダイジェストを含む、復活の野音 2013.9.14/15 2日間を追ったドキュメンタリー映像
セットリスト
デビュー25周年記念 SPECIAL LIVE
2014.01.11@さいたまスーパーアリーナ
第一部
- Sky is blue
- 奴隷天国
- 悲しみに果て
- 新しい季節へキミと
- 今はここが真ん中さ!
- 彼女は買い物の帰り道
- リッスントゥザミュージック
- ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ
- Darling
- シャララ
- ココロをノックしてくれ
- 未来の生命体
- デーデ
- 達者であれよ
- 今をかきならせ
- やさしさ
- 珍奇男
- 男餓鬼道空っ風
- 風に吹かれて(ピアノバージョン)
- 傷だらけの夜明け
- あなたへ
- ハナウタ~遠い昔からの物語~
- ズレてる方がいい
- 俺たちの明日
第2部
- 今宵の月のように
- さらば青春
- 昔の侍
- 旅
- 桜の花、舞い上がる道を
- 笑顔の未来へ
- あなたのやさしさをオレは何に例えよう
- so many people
- 生命賛歌
- ガストロンジャー
- ファイティングマン
Encore
- 男は行く
- 待つ男
お知らせ
ARABAKI ROCK FEST. 14
2014年/04/26(土)、27(日)みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
VIVA LA ROCK
2014/05/03(土)、4(日)、5(月・祝) さいたまスーパーアリーナ
TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2014
2014/05/24(土)、25(日)新木場・若洲公園(東京都)
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。