SiM、ラウドロック界トップランカーへ…!! 超満員のSTUDIO COASTで見せた輝き
SiM | 2014.02.10
ニューアルバム『PANDORA』を引っ提げ、昨秋より行ってきた対バンツアーと、今年に入ってのワンマンツアーを経て、SiMがそのニューアルバムのレコ発ツアーファイナルを新木場STUDIO COASTで行った。
1/25、26の2DAYSにわたり同ステージに立った彼ら。25日は単独公演。26日はジャンルを問わず対バンしたいアーティストを招き行う彼らの主催イベント『DEAD POP FESTiVAL 2014』であった。
私がレポートするのは25日。彼らにとっても単独公演としては最大規模の会場での一夜だ。今年は彼らの結成10周年イヤー。この10年を思い返し、総括し、また次へと力強く走り出す。そんな彼らの過去・現在・未来が、この日は垣間見れた。
想い返すに『PANDORA』は、多くの人に受け入れられるポテンシャルを多分に擁していた作品であった。それは、ジャパニーズ・ラウドロックをネクストレベルに引き上げるのみならず、幅広い層の人々を巻き込み、その渦を更に大きくさせるものであった。そしてチャートでの成功にも表れていたように、名実共に彼らをラウドロック界のトップランカーの座に押し上げた。この日のライヴは、まさにその『PANDORA』からの楽曲が中心に行われた。
ライヴはオンタイムで始まった。登場SEに乗り、バックライトが眩しいステージに、まずはドラムのGODRi、ベースのSIN、ギターのSHOW-HATEが現れる。1曲目「PANDORA」のイントロが重厚に飛び出すと、それをトリガーにフロアの密度も急激にアップ。期待値たっぷりの咆哮にも似た呼応がステージ目がけて飛んでいく。その中をゆっくりとステージ中央へと向かい、歌い出すボーカルのMAH。更に大きな歓声が固まりとなって彼に向かっていく。ゆったりどっしりと始まりながらも、急転し、ファストへと雪崩れ込んでいった同曲。合わせて起こるフロアの激しいバウンスが私の居る2回席をも激震させる。一瞬ポーズをかけ、生まれたその緊張感を引き裂くように「WHO’S NEXT」にインすると、サビで現れるダンサブルさに合わせ会場中がハネる。レゲエパンク、2ステップ、ベッドバンキングにシングアウトと、同曲の調子が目まぐるしくチェンジしていく。ドラマティックなイントロから「Boing People, Fucking Grays」に入ると、SHOW-HATEもSINも己のプレイを崩すことなく、ステージ上で激しい2ステップを魅せる。<重いけど軽やか>そんなSiMの真骨頂の一つが早くも登場した。
頭からニューアルバムの楽曲を連射する4人。中でも序盤の盛り上がりは、やはり「Blah Blah Blah」であった。曲がコールされると、"待ってました!!"の歓声が凄い。そして、この曲最大の盛り上がりポイントのラテンポップ部が現れると、みんな楽しそうに嬉しそうに暴れ、会場の至るところでクラウドサーフが起こる。そして、「BRAiN」ではフロアに幾つもの巨大なモッシュピットが出現。曲に合わせてキッズが起こすストームがステージ上の壮絶さと相交わり、この上ない演出を作り出していった。また、ファンには馴染み深い「JACK.B」が現れると、会場も合わせて大合唱。サビの4つ打ちが上昇感と高揚感を作り出していく。SHOW-HATEとSINは、お得意の楽器ぶん回し奏法をシンクロで見せ、SINに至っては、体を一回転させる大技も連発。ノらせる上に魅せる要素も怠らない。
とは言え、彼らの魅力はラウドな面だけではない。「俺達は相手を100%理解することが出来ない。だけど、諦めないで信じ続ける気持ちを持ち続けていたい」とのMAHの言葉の後、歌われた「We’re All Alone」では、聴かせる歌からサビでの哀愁具合が会場を惹き込んでいったし、中盤での彼らの出自とも言えるレゲエパンクのエッセンスに満ちた「Rosso & Dry」では、MAHの哀愁のピアニカやGODRiのリムショット交えたレゲエマナーなドラミングが会場を心地よく揺らし、「in the rain」に至っては、ライティングも交えた神々しい空間が生み出されていった。
中盤から後半にかけては、この日ならではの曲も幾つか現れた。中でも「paint sky blue」では、ダビーながらノリが良く、そしてラウドさも邂逅させる彼らの真骨頂が楽しめ、初期のナンバー「ANTHEM」では、会場からの大合唱が感動的な名場面を彩った。
そんな中、みんなの心を更に一つにしたのは本編最後のMAHのMCだった。結成4年目にこのコーストに立った悔しい想い出を、懐かしそうに語った後、「俺たちは、この10年で終わるつもりはさらさらない。これから10年も20年もやっていくし、まだまだ大きなところでもやっていきたい。自分の夢を忘れないでくれよ。夢を叶えるのに10年かかるヤツもいれば、半年で叶えちゃうヤツもいるし、30年かかるヤツもいる。周りの人に「いいかげんにしろ」って愛想をつかされても、お前の人生なんだから、お前だけは自分自身の夢に愛想を尽かさないで欲しい。最後まで夢を諦めないで。ツラくなったらまたライヴハウスで遊びましょう」と語り、会場を更にグイッとステージへと引き寄せる。そんな信頼感の中、放たれた「Dreaming Dreams」では、会場一体の大合唱が一際の連帯感を育み、ラウドさとスカの軽快さが混じった「Upside Down」、そして、本編最後は彼らの名を一気に浮上させた代表的なナンバー「KiLLiNG ME」に至っては、”待ってました!!”とばかりに場内に阿鼻叫喚を図が描かれていった。
アンコールは3曲。この日最大の大合唱が現れた彼ら唯一の日本語楽曲「Same Sky」では、会場交えての歌が一つの空の下、繋がり合っている自身と愛しい人とを想い返させ、「f.a.i.t.h」では、会場に巨大なウォールオブデスを生み出し、ステージからの合図と共にみんなが楽しそうに体をぶつけ合うコミュニケーションを扇動した。
「また新しい夢に向かっていきます。これからもついてきて下さい」とのMAHの言葉を最後に残し、彼らはステージを去った。それに対し起こった、この日最大の呼応は、これからの彼らとこの日集まった3000人との共闘へ更なる心強いアライアンスのように映った。
SiMが10年かかって辿り着いた、巨大ライヴハウスに集まった3000人と共に作り上げた夢。この日を境に彼らはまた次へと走り出していく。もっと大きな会場で、もっと多くの人たちと、その変わらないスタイルとアティテュードで、これからも新しい遊び場を作っていく。また一つ彼らの懐にグッと引き寄せられた一夜であった。
【取材・文 池田スカオ和宏】
【撮影:kohei suzuki、H.and.A】
リリース情報
SiM『PANDORA』
2013年10月23日
NAYUTAWAVE RECORDS
2. WHO’S NEXT
3. Pieces of Troops
4. BRAiN
5. Blah Blah Blah
6. Boring People,Fucking Grays
7. DUBSOLUTiON #4
8. We’re All Alone
9. Rosso & Dry
10. Keep it Burnin’
11. March of the Robots
12. Dreaming Dreams
13. Upside Down
このアルバムを購入
セットリスト
PANDORA TOUR 2013-2014 ONEMAN SHOWS
2014.1.25@新木場STUDIO COAST
- PANDORA
- WHO’S NEXT
- Boing People, Fucking Grays
- Pieces of Troops
- Blah Blah Blah
- BRAiN
- We’re All Alone
- JACK.B
- Keep it Burnin’
- March of the Robots
- Rosso & Dry
- in the rain
- Faster Than The Clock
- paint sky blue
- ANTHEM
- Amy
- wishing
- Dreaming Dreams
- Upside Down
- KiLLiNG ME
- Same Sky
- Get Up, Get Up
- f.a.i.t.h
お知らせ
TOWER RECORDS presents Bowline 2014
2014/04/19(土)新木場STUDIO COAST
w/SiM/SKINDRED/ACIDMAN and more
※詳細、そのほかのライブ情報はオフィシャルサイトをご覧ください。