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メレンゲ、大雪の渋公でWレコ発ワンマン!音楽を続ける“意味”を噛みしめた20曲

メレンゲ | 2014.02.27

 雑踏で汚れた雪をシャリシャリと踏みながら駅前を通り過ぎ、なだらかな上り坂に入る。坂の上から吹き付ける吹雪は容赦なく、だが地面の雪は徐々に厚さと白さと美しさを増してゆく。日常から非日常の境目をくぐり抜けたら、渋公まであと少し。

 ガスの炎のような青さを湛えた光の中、サポートメンバーの大村達身と皆川真人を加えた5人が両手を振りながらゆっくりと現れる。彼らを迎えるときはもちろん、プレイを讃えるとき、彼らがステージを降りるときに沸き起こる、この温かい拍手が好きだ。皆川が弾くピアノに乗せ、スタンドマイクで歌い始めるクボ。聴き慣れた、だが新鮮な響きを伴った「アオバ」。バンドが加わり、歌も次第に熱を帯びてゆく。この曲のもつ青さ、儚さの中から顔を覗かせる力強さが、今のメレンゲを象徴しているようだ。

 前半、メンバーの解放感と躍動感に満ちた演奏は、次々とポップな景色を描いてみせた。タケシタが前に出てきたら盛り上がる合図。手を挙げて応えるオーディエンス。ゆるく握られた手は、開きかけた蕾のように今にも咲きそうである。「足元が悪い中、来てくれて本当にありがとうございます。でも僕は皆さんを本当に楽しませたいと思ってるので、よろしくお願いします」。飾り気のないクボの言葉からは、この日のライヴに臨むありったけの気持ちが窺えた。

 ギターロック・バンドにカテゴライズされながら、異彩を放っていた時期の楽曲「君に春を思う」「カメレオン」と続き、空気が一変、幻想的な雰囲気の「untitled」へ。スタンドマイクからハンドマイクに持ち替えたクボ、シティ・ポップ風の香りをまとった「夢の続き」「東京」で鮮やかに“都会”を映し出す。「ミュージックシーン」ではオーディエンスの手をガッチリと掴み、めくるめく夜の東京を駆け抜けていった。

 ステージで繰り広げられる、唐突で他愛のないクボとタケシタのやりとりを聞きながら、ここでふと数日前のクボの言葉が蘇る。「たぶん集大成というより僕自身、メレンゲで何をしたかったのかを考え直しているのです」。「初恋の集い」という甘酸っぱくロマンティックなタイトルと、バレンタインデー、さらに外は雪景色というこの上ないシチュエーション、そして3年ぶりの渋谷公会堂。あまりにもスペシャルなこの日のライヴ、この時のMCでクボはまた、こうも語った。「いろんなことを諦めてきた自分が、こうして音楽をやってここに立っています」。

 後半。夜明けの寂寥感を映し出す「Ladybird」の余韻を残したまま、壮大なスケール感を放った「うつし絵」、進化を遂げた「underworld」「アルカディア」。メレンゲがバンドであり続けたこと、この3人である意味と、その裏にある別れと悲しみからのポジティヴな目覚めを表現しているかのようなラインナップで、先のクボの言葉がいっそう現実味を帯びていく。

 会場が晴れて渋谷公会堂になったことで3年越しの思いを果たすべく、タケシタが音頭をとり、「渋公!」「イェー!」のコール&レスポンス。クボが口火を切り、ライヴはいよいよ終盤戦へと突入する。最新曲「シンメトリア」。天井に壁に放たれた光の輪を仰ぎ見るクボ。冷静かつドラマティックなプレイでサウンドを支えていたヤマザキも頭上で手拍子を煽った「バンドワゴン」。闇を抜けると、そこはミラーボールきらめく世界だ。会場を包み込む大きな光の粒は、奇しくも今日の吹雪を思わせた。「ビスケット」ではタケシタが客席にビスコを投げ入れるという大盤振る舞いも。それを見守るヤマザキと、タケシタのパフォーマンスが終わるのを半ば呆れ顔で待つクボ。メレンゲの新章を告げた「クレーター」では銀テープも舞った。それぞれの個性を生かしつつ、深まってゆく3人の関係性。丹念なアレンジ。盤石の演奏。それらはバンドの現在の充実ぶりを思わせた。

 本編ラストは、クボが地元・兵庫の雪をモチーフに書いたという「ユキノミチ」。この日の天気を予想してセットリストに加えられたのだろうか。最近では東京の風景が曲のモチーフになっているというクボ。3人の足元に雪が降り積もる。ステージを塗り替えた白が客席へと流れ込んだ。長い長い渾身のアウトロ、切ない別れの時はもうすぐやってくる。

 アンコール。真っ直ぐなのに歪んでみえるクボの観客への、メンバーへの愛情表現ひとつひとつに、ひとしきり笑ったあとの「願い事」。何度メレンゲが新しいスタートを切ろうとも、彼らの曲は年月を経ても古びることはないのだと改めて思う。ここでクボの口からアニメ『ピンポン』のエンディングテーマに新曲が使われるというビッグ・ニュースが発表される。ラストは「ライカ」。2時間を走り切り、地に足をつけ、また明日へと旅立っていくメレンゲ。客席に向かって深く頭を下げ、横一列に並んだ5人。その手は少し照れ臭そうに、だがしっかりと繋がれていた。

【取材・文:篠原美江】

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リリース情報

シンメトリア(初回生産限定盤)

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2013年11月27日

Ki/oon Music

1. シンメトリア
2. ライカ
※クボケンジ詩集付き特殊デジパック

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クレーター(初回生産限定盤)[CD+DVD]

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2013年08月21日

キューンミュージック

【CD】
1.クレーター
2.Ladybird

【DVD】メレンゲ ワンマンライブ
「星めぐりの夜 in 日比谷野外音楽堂 2012.06.02」
1.8月、落雷のストーリー
2.すみか
3.バンドワゴン

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セットリスト

初恋の集い 2014 in バレンタイン
2014.2.14@渋谷公会堂

  1. アオバ
  2. クラシック
  3. 午後の海
  4. ラララ
  5. 君に春を思う
  6. カメレオン
  7. untitled ~夢の続き
  8. 東京
  9. ミュージックシーン
  10. Ladybird
  11. うつし絵
  12. underworld
  13. アルカディア
  14. シンメトリア
  15. バンドワゴン
  16. ビスケット
  17. クレーター
  18. ユキノミチ
Encore
  1. 願い事
  2. ライカ

お知らせ

■ライブ情報

SHINJUKU LOFT 15th ANNIVERSARY PREMIUM LIVE SERIES 2014 THE DREAM MATCH#1
2014/04/09(水)新宿LOFT
w. スキマスイッチ/メレンゲ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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