“泣きダイバー”が続出! BUZZ THE BEARS、大熱狂の全国ツアーファイナル
BUZZ THE BEARS | 2014.03.26
『GOLD RUSH』と銘打ったツアーを全国各地で展開してきたBUZZ THE BEARS。
「GOLD RUSH」とは、1840年代後半、カリフォルニアで起きた、金脈を探し当てて一攫千金を狙う採掘者が、その地に殺到した事象のこと。運が良ければ誰でも大金持ちになれる、そんなアメリカンドリームの一つとしても例えられる言葉だ。
今回このタイトルをつけた理由を、ボーカル&ギターの越智健太は、ライヴ中のMCで「自分たちが各地でライヴをやることによって、キラキラしたものを持って帰って欲しいとの思いを込めて当初は付けたけど、いざ始まってみると、逆にうちらが各地で色々な力を、みんなからもらってました」と語った。この日のライヴは、まさに彼らが振りまく眩しさや輝きを、なんとか自分のものにしようと集まった者たちが、ライヴを通じて彼らから輝きを得るのと同時に、各々が自身の中に秘めていた輝きにも再び光が当たり、更なる輝きとしてステージに放たれ返されたものとなった。
今回のツアーは、彼らのメジャー1stフルアルバム『GOLDCAGE』を引っ提げて行われたもの。この日の代官山UNITが、そのファイナルとなった。メンバーのうち2人の地元である松山を皮切りに、全国29箇所を対バンたちと回り、今年2月に入ってからは、そのFINAL SERIESとして、東名阪福でワンマンライヴを敢行してきた彼ら。その終着ポイントでもあったこの日は、上記の『GOLDCAGE』からの曲を中心に、アンコールも含め全29曲がプレイされ、濃縮性たっぷりで密度の濃いライヴが展開された。
ドラマティックな交響曲の登場SEが場内に響き渡る。ステージ後のフラッグにスポットライトが当てられ、青白く浮かび上がったステージが、まばゆい白色のバックライトに変わる。その中に現れた越智、ベースの池田大介、ドラムの桑原智の3人。SEが突如止まると同時に1曲目の「カラフル」に突入する。ニューアルバムのトップを飾っていた2ビートで突っ走る同曲に、フロア前方の密度がギュッと濃くなり、早くもステージに向け無数のコブシが挙がる。「楽しんでやっていくぞ!!」とフロアを煽る越智。
続いて突入した「ロンリーナイト」では、スカの裏打ちのカッティングも交じり、ハードエッジさに軽やかさが加わっていく。ニューアルバムから立て続けに2曲披露すると、続いての「シンデレラキッズ」では、メロディックパンクの色調にダンサブルさが加わっていく。頭の数曲でメロディックパンクを基調に、様々なスタイルや要素を織り混ぜ放つ3人。フロアもしっかりそれらについてきており、その光景を目視した越智が、「やるじゃねぇか」の言葉で歓迎する。
頭の2曲を始め、ポップさを会場に呼び込んだ「ホームグラウンド」や、高速2ビートの「サウンド」等、ニューアルバムからの曲が目立った前半だったが、それ以前の曲も負けていない。ドラムの桑原のボーカルを交えた、高速性とダンサブルさの同居も魅力的な「サクラ」、会場中が楽しそうにバウンスした「スイング リング」、ラテンビートを交えた「まわり道」等、ニューアルバム以外のダンスナンバーが会場を縦にノらせたり、横に揺らせたりしていく。反面、夏の夕日の沈む光景を会場全体に広がらせた「虹」、ロマンティックさが場内の隅々にまで染み渡っていった「晴れのち終わり」といった、景色感のある、彼ららしい日本語楽曲では、みんなが同じ景色を思い浮かべた。
中盤のハイライトの一つは、越智の「もがいているヤツらに」との短い一言の後に放たれた人気曲「羽根」であった。同曲では、みんながまるで自分に向けて歌われているかのようにとらえ、一緒に歌う光景があちらこちらで見られ、中には肩車で掲げられ、涙を流しながら一緒に歌っている女の子も。そして、現れた多くのクラウドサーファーの中には、彼らのライヴ名物「泣きダイバー」を多数目撃した。
逆に感動的だったのは、中盤の「バラード」であった。同曲に入る前に、この曲を作った越智から、同曲のバックボーンが語られる。高校の頃やんちゃをし、家にもあまり帰らず、学校もさぼりがちだったこと。母はそれを知っていながらも、それでも毎朝、彼の為に弁当を作ってくれたこと。それを学校も行かずパチンコ屋の駐車場で食べたこと。しかし、しっかりと常に母へは感謝していたこと等々、そのMCまんまの歌が、その後、ゆったりとしたテンポの中、まるで母への手紙を読み上げるように歌われた。
中盤最大の盛り上がりは、「ダーリン」「サタデーナイト」「光り」のラインナップに尽きる。まさに連射されるように、"これでもか!"と畳み掛けられるように放たれたこの3曲。「ダーリン」では、哀愁歌謡的なメロディと途中現れるラテンビートがフロアに多くの泣きダイバーを生み、「サタデーナイト」では躍動的なダンスビートがクラウドを直撃。「光り」に至っては、上昇感のあるサウンドが会場に更なる高揚感を寄与していった。
とは言え、やはり「ゴールドラッシュツアー、びっちり終わらすぜ」と越智の、”フロアへの暴れる準備はOKか?”の確認のサインのような短いMCのあと連射された、「ブルースカイ」「雨」「花火」「全てを」での、後半に突入しての盛り上がりには、凄まじいものがあった。特に「全てを」では、越智と池田が立ち位置を入れ替えてプレイを楽しんだり、サビでのフロア全体が踊りながらクラップ&大合唱していた光景はとても印象深い。
そして、本編ラストは、フロアの大合唱から入った「約束」。スピーディな同曲に、会場も最後のパワーを振り絞るような大ノリを見せた。
アンコールでは、彼らの新しい面と根幹を立て続けに見ることが出来た。ニューアルバム収録の「裸の王様」は、彼らの今後のポップ性を楽しみにさせるものであったし、自らの出自を誇らしげに示すような、高速2ビートのメロディックナンバー「サンライズ」からは、これからもずっと変わらないであろう彼らのアティテュードのようなものを感じた。
初夏にはニューミニアルバム『L』を発表することと、そのアルバムを引っ提げてまた全国のみんなに会いにツアーに出る約束を、この日のステージでしてくれた彼ら。本編最後のMCで越智が語った、「この景色を見るため、このツアーを頑張ってきた。明日からまた俺たちはやっていく。俺たちも頑張るからお前たちも頑張れ! 俺たちはいつでもライブハウスで待ってるから。また会おう!」の言葉が今でも耳に残る。
まさにこの日の代官山UNITはGOLD RUSHであった。集まった多くの者が、いつまでも輝き続け、光り続けるGOLDをたんまりと持ち帰ることが出来た。会場を出ていく、多くのキッズたちのキラキラとした、何かとてつもない素晴らしい宝物を手にしたような表情が今でも忘れられない。
【取材・文:池田スカオ和宏】
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リリース情報
L(初回限定盤)
2014年06月11日
ビクターエンタテインメント
1.タイムマシーン
2.シェアタイム
3.グローリーデイズ
4.グッドナイト
5.恋をした夜
6.ピエロ
7.ハングオーバー
8.全てを
このアルバムを購入
リリース情報
セットリスト
“GOLDCAGE”RELEASE TOUR
-GOLD RUSH TOUR-
2014.3.8@代官山UNIT
- カラフル
- ロンリ―ナイト
- シンデレラキッズ
- マジックスパイス
- ホームグラウンド
- サウンド
- サクラ
- スイング リング
- まわり道
- クライマー
- 虹
- 晴れのち終わり
- ブラッディクロス
- 羽根
- バラード
- Mr.D
- 声
- 夢の続き
- ダーリン
- サタデーナイト
- 光り
- 鳴りやまぬ歌
- ブルースカイ
- 雨
- 花火
- 全てを
- 約束
- 裸の王様
- サンライズ
お知らせ
“L”TOUR 2014 PRE EVENT
2014/06/11(水)心斎橋BRONZE
“L”TOUR 2014
2014/06/21(土)松山サロンキティ
2014/06/23(月)福岡Queblick
2014/06/25(水)下北沢SHELTER
2014/06/27(金)仙台PARK SQUARE
2014/06/29(日)名古屋HUCK FUNN
2014/07/12(土)京都MUSE
2014/07/21(月)磐田FM STAGE
2014/07/23(水)千葉LOOK
2014/07/24(木)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
2014/08/05(火)周南rise
2014/08/06(水)岡山IMAGE
2014/08/22(金)神戸太陽と虎
2014/08/31(日)横浜FAD
2014/09/06(土)高松DIME
2014/09/07(日)広島ナミキジャンクション
2014/09/15(月)新潟CLUB RIVERST
※詳細、その他のライブ情報はオフィシャルサイトをご覧ください。