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赤い公園、藍坊主とクリープハイプを招いた自主企画ライヴ大成功!!

赤い公園 | 2014.04.10

 赤い公園が3月27日に東京・LIQUIDROOM ebisuにて自主企画イベント「~赤鬼 VS 藍鬼 VS 栗鬼~」を開催した。

 メジャーデビューした2012年以来、2年ぶりに行われた自主企画ライヴ。赤い公園がゲストに招いたのは藍坊主とクリープハイプというリスペクトする先輩バンド2組だ。タイプも世代や活動歴も違う3組ながら、それぞれのやり方でお客さんを熱く盛り上げる好演を見せた、熱い一夜になった。

 トップバッターに登場したのはクリープハイプ。歓声に迎えられて登場した彼らは「オレンジ」「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」「憂、燦々」と代表曲を続けざまにプレイし、あっという間に会場を掌握する。武道館2days公演を直後に控えたバンドの勢いを感じさせるステージだ。

 MCでは、尾崎世界観(Vo/G)は「今日はこっちから出してくれませんか?って言って出してもらいました」と出演の経緯を明かす。ちなみに、赤い公園と最初に出会ったのは2年前の夏フェスのことだったとか。初対面の時は「新人バンドはつぶしてやろう」と感じ悪く振る舞ってしまい、それでもライヴを観にいって素晴らしかったので次に会ったときは楽屋に挨拶にしにいったというエピソードを冗談交じりに明かす。「そんな思い出も、全部……」というフリから「♪夏のせい」という歌い出しの「ラブホテル」へ。長谷川カオナシ(B)がメインボーカルをとり色気ある歌声を響かせる「火まつり」を経て、ラストは「社会の窓」へ。サビでは「社会の窓の中でイク 夜は窮屈すぎて――」と尾崎が歌う一節に「最高です!」と観客が大きな声で返すコール・アンド・レスポンスも見せる。大きな盛り上がりをあとに、4人はステージを去った。

 続いての登場は藍坊主。今年メジャーデビュー10周年を迎える彼らは、持ち味の真っ直ぐなエモーションを届けるライヴを見せてくれた。まずはエネルギッシュな「螺旋」から、昨年リリースされたミニアルバム『S/Normally』収録の「虫の勾配」へ。フロアからは沢山の拳が上がる。鮮烈なピアノとシンプルなエイトビートにhozzyの朗々とした歌声が映える「ジムノペディック」や鋭角的なギターリフを畳み掛ける「ベンチで手紙を読む老人」など、代表曲を続けざまにプレイする。

 MCでは田中ユウイチ(G)が「CDショップの隣に行くと、大抵“藍坊主”の隣が“赤い公園”だから、気になってたんだよね。そのあとに『交信』を聴いたらすごく良くて」と、赤い公園を知ったきっかけを語る。「彼女たちが高校生の時から好きでいてくれたらしくて」と語った藤森真一(B)は、「その時に聴いてくれていただろう曲をやります」と告げて「スプーン」を披露。そしてラストはパワフルな情感に満ちた「ホタル」で締めくくった。赤い公園のファンの中には彼らを初めて観た人も多いかもしれないが、そのストレートな迫力に魅せられた人は多いのではないだろうか。

 そしてトリには赤い公園が登場。いつもどおり白い服装に身を包んだ4人がステージに現れると、佐藤千明(Vo)が「お前ら全員かかってこいや!」と煽り、最新シングル「絶対的な関係」からライヴはスタート。そのまま「ひつじ屋さん」「今更」と、初っ端からテンションの高いサウンドをぶつけ、一気にフロアの温度を沸点寸前まで上げる。

 MCでは、「かねてから大ファンだったバンドを呼んで、我々のこの愛をどう伝えようかって、頭が痛くなるくらいずっと考えて考えて、出た答えがカバーだったんです」と、佐藤。シングル曲でも様々なカバー曲を収録している彼女たちだが、この日は対バン相手の楽曲をカバーするというスペシャルなセットだ。まずは藍坊主「テールランプ」をカバー。変則的な楽曲の多い赤い公園だが、ストレートで伸びやかな楽曲をプレイしたときのポップネスと表現力を改めて感じさせる。続いてはクリープハイプ「社会の窓」をカバー。どちらもかなり原曲に忠実なアレンジだ。佐藤はハーモニカをプレイし、原曲の歌詞の「余計なお世話だよ」というキメの部分を「余計なお世話だピョン」とアレンジして歌う。津野米咲(G)が背中を見せると「小川」と書かれた紙が貼ってある。ギターの小川幸慈のことだろう。続いて4人が背中を見せると全員何故か「小川」と書かれた紙が貼られているという場面も。

 後半は彼女たちの現時点での代表曲でもあるスケールの大きなポップソング「交信」から。津野米咲のキーボードから始まり、スケールの大きなハーモニーへ突入していくドラマティックな展開を見せ、オーディエンスの胸を強く掴む。続く「風が知ってる」も広大な風景を感じさせるような一曲だ。

 佐藤が「とても幸せな気分で歌えました」と語り、本編ラストは「ふやける」。これまでのライヴで何度も最後を飾ってきたナンバーだが、この日のこの曲の迫力は凄まじかった。静かなオープニングから荒れ狂う轟音に突入、佐藤が高らかに声を張り上げ歌う。歌川菜穂がどっしりと重いリズムを叩き出し、藤本ひかりが爆音のベースを響かせる。最後は藤本がスピーカーに上り、津野がギターを客席に投げ入れ、強烈な印象を残してステージを去っていった。

 そして、アンコールに呼ばれて登場した4人は「新曲をやります」と、「108」を披露。ダンサブルなリズムに煩悩をモチーフにしたらしき歌詞が印象的な、彼女たちらしいユニークな楽曲だ。そして、ラストは「きっかけ」。ループされたノイズピアノの切ない響きから、ゆったりと深く沈み込んでいくようなオープニングから、中盤からは津野がギターに持ち替え、轟音の絶頂に上り詰めていくようなナンバーだ。4人は全てを吐き出すかのように全身全霊でプレイ。巨大なカタルシスを生み出し、この日のライヴを終えた。

 最新シングル曲の「絶対的な関係」がドラマ『ロストデイズ』主題歌に起用され、より広い注目を集めつつある今の赤い公園。今年は演奏技術をさらに磨くべく猛練習を繰り返しているそうだが、そんなエピソードも成程と思えるような迫力を感じるステージ。先輩バンドの「胸を借りる」ような自主企画イベントは、彼女たちの力強い未来を感じるようなイベントとして幕を閉じた。

【取材・文:柴 那典】
【撮影:植本一子】

tag一覧 ライブ 赤い公園 クリープハイプ 藍坊主

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1. 絶対的な関係
2. きっかけ
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6. 遠く遠く (Instrumental)

DVD:
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1. 宇宙が広がるスピードで
2. 虫の勾配
3. 水牛の祭り
4. 冬空
5. 雨、照らす
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7. マッチ

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ニューシングル「寝癖」
※収録内容等詳細後日発表

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セットリスト

赤い公園自主企画ライブ
「~赤鬼VS藍鬼VS栗鬼~」
2014.3.27@恵比寿LIQUIDROOM


<クリープハイプ>
  1. オレンジ
  2. おやすみ泣き声、さよなら歌姫
  3. 憂、燦々
  4. (非公開)
  5. (非公開)
  6. ラブホテル
  7. 火まつり
  8. 社会の窓

  9. <藍坊主>
    1. 螺旋
    2. 虫の勾配
    3. ジムノペディック
    4. ベンチで手紙を読む老人
    5. 伝言
    6. スプーン
    7. ホタル

    <赤い公園>
    1. 絶対的な関係
    2. ひつじ屋さん
    3. 今更
    4. カバー (藍坊主「テールランプ」、クリープハイプ「社会の窓」)
    5. 交信
    6. 風が知ってる
    7. ふやける
    Encore
    1. 108
    2. きっかけ

お知らせ

■ライブ情報

<赤い公園>
「LIVE OF ROOKIE」
2014/04/20(日)恵比寿リキッドルーム
(w/シナリオアート、東京カランコロン、BLUE ENCOUNT)

「EMI ROCKS neo」
2014/04/24(木)渋谷クアトロ

「~ダイスをころがせ」
2014/05/25(日)渋谷AX
(w/くるり、キュウソネコカミ)

<藍坊主>
「10th Anniversary aobozu LIVE 2014「OTOMOTO ~膝蹴り男編~」
2014/05/12(月)下北沢屋根裏

<クリープハイプ>
「平日の武道館 バイト編~ねぇ、シフト代わってくれない?~」
2014/04/16(水)日本武道館

「連日の武道館 正社員編~有給休暇の使い道、これが私の生きる道~」
2014/04/17(木)日本武道館

※詳細、そのほかのライブ情報は、各オフィシャルサイトをご覧ください。

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