Hilcrhyme、デビュー5周年ツアーでゼロから新たな一歩を踏み出す!
Hilcrhyme | 2014.05.27
Hilcrhymeのニューアルバム『FIVE ONE ZERO』を引っさげての全国ツアー。東京公演のTOKYO DOME CITY HALLは、彼らのツアーでは3年ぶりの会場となる。
TOCとDJ KATSUの二人、そして彼らのライブではすっかりおなじみとなった、ダンサーチームのCLOPとTHUGHOMEYによる“Hilcrhyme Crew”というメンバーで、アルバムのオープニング曲でもある「NEW DAY, NEW WORLD」からコンサートが元気にスタートした。
毎回ツアーでは、新しい趣向を積極的に取り入れて、進化を続けている彼らだが、『FIVE ONE ZERO』が、“デビュー5年目で、一旦0に戻って、新たなる1を作り出す”というテーマだったこともあり、今回のツアーでは、アルバム収録曲と、その曲に対となる過去のレパートリーを続けて披露するという、これまでどのアーティストもやってこなかったような斬新なアイディアで展開していった。
「NEW DAY, NEW WORLD」の対となるのは、2009年のシングル『もうバイバイ』のカップリング曲「East Area」。この2曲で、彼らの今の姿勢や、このコンサートに対する意欲を表現しているかのような組み合わせだ。その後も、切ないラブ・ソングの「Lost love song」と「もうバイバイ」、ダンサブルな「Theme of “6”」と「Little Samba~情熱の金曜日~」、バーとクラブというふたつの場所でのお酒がテーマになっている「BAR COUNTER」と「ポンビラ」、ハードでアグレッシヴに盛り上がる「青天井」と「押韻見聞録」、“今日も、みんなの笑顔に会えて嬉しい”というTOCのMCから、気持ちをポジティブにさせてくれる温かいナンバー「Your Smile」と「大丈夫」と、新曲と対になる曲とが次々と登場し、その選曲や、ふたつの曲の対比や関係性がとても興味深かったし、普段のライブではあまりやらないような曲が聴けるというのも、すごく新鮮だった。
新曲も、「Lost love song」ではDJ KATSUがピアノを弾き、TOCがドラム・パッドを演奏したり、「BAR COUNTER」では、バーカウンターを模したセットに女性が腰掛け、TOCがバーテンダーに扮して歌ったり(さらに途中でサングラスを外した!)と、ライブならではの演出も楽しい。
さらに緻密に作り込まれた映像や、綿密にプログラムされた照明なども彼らのコンサートには欠かせない要素だが、それらの完成度もより高くなり、まさに“もう一人のメンバー”として機能していた。時にはイメージ映像、時には歌詞、そして時には彼らのビデオ・クリップなど、その楽曲に合わせた映像が後方のスクリーンに映し出され、その楽曲のメッセージをより明確に伝えてくれる。
そしてDJ KATSUが、歌心溢れるピアノプレイを聴かせてくれたインストゥルメンタル・チューン「SEA BREEZE -Instrumental-」に続いて、この企画の目玉のひとつといえるだろう、「次ナル丘へ」と、インディーズ時代のデモCD『熱帯夜』に収録されていた「ヒルクライマー」が続けて歌われた。実は「次ナル丘へ」の歌詞は、「ヒルクライマー」の歌詞を、現在の彼らの気分に合わせてリメイクしたもので、その2曲が続けて歌われるというのは、彼らの5年間の歴史、そして成長を振り返る上でも、すごく意味のあることだなと感じた。
さらに「Welcome Back」と「RIDERS HIGH」というポジティブに盛り上がるナンバーで会場はさらに熱気を帯び、ダンサーたちの振り付けでみんなで踊った「ウィライキ」、そして「NOISE」というダンサブルな2曲で、客席のボルテージも最高潮となった。
ここで9月6日に行なわれる、彼らのデビュー当時からの大きな夢だった日本武道館でのコンサートがあらためてアナウンスされ、彼らのブレイクのきっかけとなった「春夏秋冬」を、みんなの大合唱とともに歌い、続く「想送歌」では、スクリーンにHilcrhymeの歴史や、当日のステージやファンたちの様子が早速スクリーンに映し出され、とても感動的な空間を作り出していた。
「みなさんのおかげで、デビュー5周年を迎えることができました。以前は、みんなを武道館に連れて行くぞって言ってたけど、いざ武道館のコンサートが決まってみて、実はそうじゃないということがわかりました。オレたちがみんなを連れて行くんじゃない、みんながオレたちを武道館に連れて行ってくれるんだって。ありがとう。Hilcrhymeはこれからも、耳元で、みんなの人生を応援できるアーティストでありたいと思っています」というTOCの言葉に続いて、人生の応援歌「エール」が歌われ、コンサートは幕を閉じた。その後エンドロールが流れ、アンコールはなし。これも彼らの、このツアーにおけるこだわりだろう。
まさにHilcrhymeの5年間を総括し、未来に向かっての第一歩を踏み出したコンサートだった。ここから武道館でのコンサートを経て、彼らはもっともっと進化していくことだろう。Hilcrhymeというアーティストの、前に進もうとする意志と、彼らの強い思いが伝わってくる、熱く感動的なステージだった。
【取材・文:熊谷美広】
【撮影:濱谷幸江】
リリース情報
セットリスト
Hilcrhyme TOUR 2014“FIVE ZERO ONE”
2014.5.9@TOKYO DOME CITY HALL
- NEW DAY NEW WORLD
- East Area
- Lost love song
- もうバイバイ
- Theme of “6”
- Little Samba~情熱の金曜日~
- BAR COUNTER
- ポンピラ
~DANCER PERFOMANCE TIME~ - 青天井
- 押韻見聞録
- Your Smile
- 大丈夫
- SEA BREEZE ?Instrumental-
- 次ナル丘へ
- ヒルクライマー
- Welcomeback
- RIDERS HIGH
- ウィライキ
- NOISE
- 春夏秋冬
- 想送歌
- エール