３年半ぶりにロック×クラシックを融合させたコンセプト・アルバム第二弾『Roclassick2』を発表したBIGMAMA。そのレコ発ツアー初日を観て、新曲のライヴ映えっぷり、観客の凄まじい熱気、ショウ全体の流れ、微に入り細に渡ってブラッシュアップされたステージングに驚いた。ここまで完成された世界を初日に観せられると、ここからどれだけレベルを上げていくのか。想像するだけで胸が躍る。

　開演時刻18時、「外に看護師が待機してます。母の日、３年連続３回目、瞬殺ソールド・アウト！」ともはや名物化した会場アナウンスが流れ、ドラム・セットの右横には色鮮やかな花束、バックドロップには複数の絵画がかけられ、雰囲気をグッと盛り上げる。それからメンバー５人が揃うと、序盤からパワフルなサウンドに華麗なヴァイオリンが舞い、一瞬で視界が晴れ渡る至福感に包まれる。それと同時に50人前後の観客が肩車からクラウドサーファーに興じ、とてつもない盛り上がりを記録した。さらに前シングル「Sweet Dreams」収録曲「Theater of Mind」ではイントロから濃密な掛け合いで抜群のライヴ映えを見せ、最新作『Roclassick2』収録の「No.9」に移行する。深淵な立ち上がりから徐々に螺旋階段を上るように高揚感が増し、自然発生的にフロアから「ラ~ララ?ラララ~♪」と大合唱が巻き起こる光景は鳥肌モノだった。また曲間にはリアド偉武のドラム・ソロ、東出真緒のピアノ・ソロを挟むなど、よりショウ・アップされた演出も次の曲への導火線的な役割をきっちり果たしていた。

　中盤には個人的に大好きな「bambino bambina」を披露し、聴き手に寄り添うゆったりしたテンポ感と甘く透き通る金井政人の歌声が極上のポップ感を運び、ここでもガッチリとコール＆レスポンスの握手を交わす。今日プレイされた新曲はどれも、既に固い絆で結ばれた熱狂度で迎えられていた点は、特筆すべきところだろう。４年前にリリースされた『Roclassick』第一弾作からの楽曲もセットリストの中で効果的に機能し、ドラマ性に拍車をかけていた。かと思えば、自分たちの曲を演奏した流れで、柿沼広也、安井英人、リアドの楽器隊だけで某有名洋楽バンドの楽曲を一部カヴァーなど、遊び心溢れるアプローチにテンションは上昇する一方だった。後半戦に入ると、「ここからがクライマックス！」と金井がMCで焚き付け、安井の骨太なスラップ・ベースと「白鳥の湖」を大胆に融合させた「Swan Song」は、うっとり聴かせるだけじゃないロック・バンドとしての肉体性を猛烈にアピール！　そして、「いい夢見ようぜ」と呼びかけ、前作シングル表題曲「Sweet Dreams」で締め括った。取材時に「壁がないことがテーマ」、「美しいエンディングを用意したい」と言っていたが、まさにジャンルの垣根を超えた壮大なスケール感に酔いしれた。金井もハンドマイクで前のめりに熱唱し、歌い終わると、数秒間ステージに横たわるほどの全力投球ぶりだった。アンコールでは「大切な人を大切にしよう」と"母の日"を踏まえた発言にも心が温まり、ラストまで魂のこもった演奏で駆け抜けた。

　改めてロックとクラシックという2本柱を掲げ、BIGMAMAというツールを通して力強く響かせた今夜のショウを観て、深く深く感動した。例えるなら、木（個人）も森（バンド・グルーヴ）もすくすく成長を遂げ、知らぬ間に剛健かつ壮観なサウンドを手に入れているような印象を抱いた。ここから始まるツアーは相当期待していいだろう。

【取材・文：荒金良介】
【撮影：AZUSA TAKADA】