THE BAWDIES、スカパラと互いの節目の年に、感情をぶつけ合った貴重な一夜!
THE BAWDIES | 2014.06.25
結成10周年を記念したTHE BAWDIESの2マンツアー「~The 10th Anniversary~ Like a Rockin’ Rollin’ Stone Tour」、Zepp DiverCity TOKYOの2days公演の2日目。仙台と札幌では9mm Parabellum Bullet、東京1日目のTOTALFATと熱いライブを繰り広げたわけが、この日のゲストは結成25周年真っ最中の東京スカパラダイスオーケストラ。節目の時期を迎えた両バンドの対バンは、解放的なムードとスリリングな空気が交差する、きわめて貴重なステージとなった。
まずは東京スカパラダイスオーケストラ。細身のスーツに身を包んだ伊達男たち――結成から四半世紀が経過し、さらに男っぷりが上がっている――が登場しただけで、グッとテンションが上がる。加藤隆志(Gt)がステージの真ん中で「東京!パーティしようぜ!」と叫び、極上のスカ・ビートが鳴り響いた瞬間、フロアのテンションは一気に爆発。いつブッ壊れてもおかしくないほどの緊張感と25年に及ぶステージのなかで培ってきた経験、テクニックがギリギリのバランスで共存するバンドサウンドは、まさに圧巻のひと言。もちろん、THE BAWDIESのTシャツを着ている大勢のオーディエンスも、ものすごい笑顔で踊っている。
「スカパラは25周年のツアーをやってるんだけど、節目の年に初めて対バンできてすごく嬉しい」「同じスーツ族として負けられないんで!」(谷中敦/Baritone sax)という挨拶の後も、ルーツ・ミュージックに対する敬意と音楽的進化への意思がひとつになったステージが続く。爆発的なテンションと鋭いビートを共存させたリズム隊、エモーショナルな旋律を高らかに響かせるホーン・セクション。“これ、マジでいまが最強の状態かも”と思わせてくれる、最高のアクトだった。去り際に谷中が放った「ボウディーズの10周年、思い切り祝ってやってね」という優しい一言もニクイ!
スカパラが作り出した“楽しむ準備は完璧に出来てる!”モードの中、ついにTHE BAWDIESがステージに上がる。ミラーボールの美しい光とともにROY(Ba&Vo)がシャウト一発、観客の興奮を引き上げてみせる。もちろん、ライブ自体も絶好調。必殺のパーティチューン「IT’S TOO LATE」を序盤で炸裂させ、フロアとステージの一体感を演出する。正確かつシャープなビートを描き出すMARCY(Dr)、ルーツ・ミュージックを基本にしつつ、新鮮な独創性を織り交ぜたJIM(Gt&Cho)とTAXMAN(Gt&Vo)のギター・フレーズ、そして、濃密なベースラインとソウルフルなボーカルでバンドを引っ張るROY。この日彼らは、原点回帰と新たな成長が同時に伝わってくるような、“最新型のTHE BAWDIES”をストレートに見せつけていたのだ。
「結成10周年、(メジャー)デビュー5周年の節目の年に2マンツアーをやってます!もうね、刺激を受けないわけがない。さっきのスカパラのライブも、涙が出てきましたよ」(ROY)
「加藤さんがニコニコして“オーディエンス、最高だった”と言ってたことを伝えておこう!」(JIM)
という尊敬と興奮が入り混じったMCのあとも、10年のキャリアのなかで生み出してきた代表曲を惜しげもなく披露。「ここからすべてが始まったじゃないかと、いまヒシヒシ感じています」(ROY)の言葉に導かれたロックンロール・ナンバー「I BEG YOU」、厚みのあるアンサンブルが印象的だった「ROCK ME BABY」、凝ったアレンジとダイナミックな衝撃を共存させた「THE SEVAN SEAS」。ロックンロール、リズム・アンド・ブルースといったルーツミュージックを肉体的に取り込むことからスタートした彼らは、10年という時間のなかで、確固たるオリジナリティを手に入れた――この2曲からは、そのことがはっきりと伝わってきた。
また、最新シングルに収録された「NICE AND SLOW」「COME ON」も強く心に残った。4人のハーモニーからスタートし、’60年代のビートバンドを想起させるサウンドを描き出した「NICE AND SLOW」、オーセンティックなロックンロールを現代的なポップミュージックへと昇華させた「COME ON」の2曲は、ライブにおいても即戦力として機能していた。
10年経っても、気の置けない友達同士の関係をキープしているのも、このバンドの魅力。中盤のMCでMARCYが「スカパラのライブをステージの袖で見ていて、興奮しました。みなさんもありのままの気持ちで楽しんでください」と言うと、TAXMANが「Let It Go」(「アナと雪の女王」)のサビのフレーズをギターで演奏。さらにJIMが(エルサ風に)踊り出し、観客も大爆笑。4人の楽しげな関係が会場全体に広がり、「気持ちを解放し、感情をぶつけ合う」(ROY)というムードが強まっていく。この雰囲気を味わいたくて会場に足を運ぶファンも多いんだろうな、と改めて思う。
ライブ後半では「HOT DOG」「JUST BE COOL」といったライブアンセムを次々と放ち、フロアは狂乱のパーティー状態へ突入。ロックンロールをダンスミュージックとして蘇らせる彼らのスタイルは、ここにきてさらに充実度を増しているようだ。「ロックンロールはジャンルではなく、感情の爆発」「THE BAWDIESは一生、転がり続けます!」というROYの言葉からも、彼らの新たな決意がストレートに感じられた。
アンコールではスカパラとの共演も実現。ソウルミュージックにも造詣が深い両者のセッションは
“日本の音楽シーンにおけるひとつの頂点“と言い切りたくなるほどの興奮を呼び起こした。
6月後半にかけてTHE BAWDIESは[Alexandros]、ドレスコーズ、the telephones、YOUR SONG IS GOODと対バン。初期衝動をしっかりと取り戻し、未来に向かって前進を続ける彼らはこのツアーによって、さらなる強さを手に入れることになりそうだ。
【取材・文:森 朋之】
【撮影:橋本塁(SOUND SHOOTER)】
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