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ゲスの極み乙女。の全国ツアー。東京公演をレポート

ゲスの極み乙女。 | 2014.07.15

 ステージ上に現れた川谷絵音(Vo & G)、休日課長(B)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr) を、待ちわびた観客のもの凄い歓声が包む。早くも何やら只事ではないムードが漂う中、1曲目「モリエは悲しむ」がスタート。4人で一丸となって生み出す極上のグルーヴ、起伏に富んだプログレッシブな展開、言葉を溢れ返らせながら届けられる歌声……ゲスの極み乙女。のオリジナリティに満ちたサウンドが全開で響き渡っていった。「行くぞー!」、ちゃんMARIが観客を煽って2曲目「餅ガール」へと雪崩れ込むと、フロア全体を熱く揺さぶり始めたタテノリのダンス。曲中でメンバー4人による恒例の餅撒きが行われると、まるで飢えたピラニアのように人々が餅目がけて飛び付き、歓声を上げていた。

 「市民野郎」も披露された後、最初のインターバル。「“きもーい!”と呼んでもらっていいですか?」と陽気に呼びかけた休日課長に希望通りのひどい言葉が多数届けられつつも、“かっこいい?!”という黄色い声も中には混じっている。「課長に“かっこいい?!”って言うのはノーマルじゃないなあ」と笑った川谷。そして、観客との間で「みんな/ノーマルじゃない」というコール&レスポンスが交わされて「ノーマルアタマ」がスタート。突然登場した2人のダンサー(様々な表情の顔が描かれた四角い箱型のマスクを被っている)が踊るステージ上は完全に異世界。目の前に広がるアバンギャルドな光景が、観客の興奮をますますエスカレートさせていく。続いて「ぶらっくパレード」が始まると、猛烈な手拍子がメンバーたちの演奏を情熱的に彩ったのであった。

 「シングルを出します。ドラマのオープニングテーマです。PVは横浜の市街地で撮影したんですけど、気まずかったです。通行人が小声で“韓流じゃない?”って言ってて(笑)。どの辺が韓流なんだろう?」と不思議そうに語った川谷。それに対して「課長じゃない? 江南スタイル?」と指摘したのはちゃんMARI。なるほど、休日課長の風貌はPSYに似ていないこともない……というような近況報告を経て再開された演奏。まず届けられたのはニューシングルのタイトル曲「猟奇的なキスを私にして」。程良いテンポ感で踊らせつつも、哀愁たっぷりのメロディがジワジワと観客の瞳を潤ませる。続いて「ハツミ」。何処か翳のある独特なメロディによってフロア全体がアンニュイな昂揚感で満たされていった。

 「私事ですが、今日は長崎から両親が来ております。だから「ドレスを脱げ」、やりたくない。やるけど(笑)。僕の祖父は国語の先生でして、日本語に厳しい。そんな僕がこのバンドをやってて、悲しんでると思う(笑)。でも、最近、“CDが欲しい”と言ってくれたんです。九州の新聞に載ったのを見たらしくて。そういう人たちに認められて嬉しいです。これからもっと大きい会場でライブをやりたいです。よろしく!」と川谷が語った後、「サカナの心」がスタート。瑞々しいサウンドに包まれながらマイクを握り、歌声を一心に届ける川谷の姿が神々しい。演奏が終わった時、会場内に美しい余韻が漂っていた。

「まだまだ行けますか!」とほな・いこかが煽り、彼女のスティックカウントを合図に突入した後半戦。「パラレルスペック」を皮切りに、激しいダンスでフロアが揺らぎ続けた。「ホワイトワルツ」の曲中では、「その一、優しそうな男には気を付けなさい、私は引っかからないけど」と、ほな・いこかが『ゲスの4箇条』を不敵なトーンの声で順番に読み上げる。耳を傾けているとどうにもこうにもワクワク! 心拍数は抑えようもなく高まっていく。「その四、ゲスである事!」と観客も共に叫んだ瞬間の一体感は圧倒的であった。

 「momoe」と「song3」の後、再びインターバル。「ツアー中、毎回やってる抽選をやります。2名様にサイン入りの缶バッチをプレゼントします。ただ引いても面白くないので、2名にはステージで一緒に2曲やってもらいます」と語った川谷。するとステージ上に箱が運び込まれた。ちゃんMARIとほな・いこかがライブチケットの半券を引き、印刷されている整理番号を読み上げる。選ばれたのは女性2人。彼女たちがステージ上でメンバーたちと一緒にまず歌ったのは「いこかなでしこ」。「♪なでしこさん!」と一生懸命歌う彼女たちに観客の声も加わる。続いて、「jajaumasan」も「♪じゃじゃうまじゃじゃうまじゃじゃうま?」という大合唱が起こり、痛快極まりない盛り上がりとなった。

 ピアノのイントロが始まるや否や起こった大きな歓声。力強いタテノリのダンスを引き起こし、観客を汗まみれにした「ユレルカレル」。そして、本編のラストに届けられたのは「キラーボール」。煌めく叙情的なメロディ、スピード感溢れる展開、強力なダンスビートによって、場内のあらゆる人々の理性が完全に奪い去られていく。かけ声を上げながら全力で飛び跳ねる観客のエネルギーが半端ではない。エキサイトした川谷がステージから降りてフロアの最前線を巡り、もみくちゃになりながら歌う場面もあり、とにかく尋常ではない熱気が生まれていた。

 連呼される「ゲス!」という声と手拍子に応え、ステージに戻ってきた4人。「さっき、下に降りたら結構ハードコアな感じで。少し歯が欠けたかも(笑)。明日、『MUSIC JAPAN』の収録なんですけど、他の出演者のみなさんはアイドルと韓流なんです。俺たちは韓流枠っていうこと? そういうことか(笑)」などと川谷が語ったり、ちゃんMARIがタラちゃんのモノマネ(今一つ不調だったらしい)をするなど、自由過ぎるMCが展開した後、アンコールの演奏がスタート。まず届けられたのは新曲の「ラスカ」。そして、「最高の曲にしたいから、セクシーなドラムに合わせてコール&レスポンス、よろしいですか? “ドレスを”と言ったら“脱げ”と言ってください」と休日課長が呼びかけ、観客との間で交わされた「ドレスを/脱げ」という声。コール&レスポンスを経て始まった「ドレスを脱げ」は、まさしく完全燃焼と表現するのがふさわしいひと時となった。「♪ラララララ?」という大合唱、全力のダンスの輪がフロア全体に広がり、誰も彼もが興奮を剥き出しにしながら飛び跳ねる。歌声、演奏、咆哮、踊る人々のステップ……あらゆる音が混然一体となり、怒涛の勢いでエンディングを迎えた直後、割れんばかりの拍手と歓声がステージに向って押し寄せた。素晴らしいプレイヤーが集っているゲスの極み乙女。の圧倒的な切れ味、彼らの音楽を受け止める観客の熱いパワーをまざまざと感じた瞬間であった。

【取材・文:田中 大】
【撮影:石渡 樹】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル ゲスの極み乙女。

リリース情報

猟奇的なキスを私にして

猟奇的なキスを私にして

2014年08月06日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. 猟奇的なキスを私にして
2. だけど僕は
3. アソビ

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お知らせ

■ライブ情報

JOIN ALIVE 2014
2014/07/20(日)北海道 いわみざわ公園

スペースシャワー列伝 ~第九十九巻
2014/07/23(水)Shibuya WWW

お台場新大陸2014めざましライブ
2014/08/05(火)新大陸ドキドキランド内 特設ステージ

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014
2014/08/09(土)国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014
2014/08/15(金)・16(土)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

Nagoya Club Quattro 25th Anniversary
2014/08/21(木) 名古屋クラブクアトロ

MONSTER baSH 2014
2014/08/23(土)香川県 国営讃岐まんのう公園

Sky Jamboree 2014
2014/08/24(日)長崎県 稲佐山公園野外ステージ

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2014
2014/08/29(金)山梨県 山中湖交流プラザ きらら

RUSH BALL 2014
2014/08/31(日)大阪府 泉大津フェニックス

ゲスなパーティー ~名古屋編~
2014/09/16(火)Zepp Nagoya

ゲスなパーティー ~東京編~
2014/09/17(水)Zepp Tokyo

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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