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すべてが規格外!爆弾ジョニー、大成功の初ワンマンツアー!渋谷クアトロ!

爆弾ジョニー | 2014.07.22

 このスケールのでかさはなんだ! パフォーマンスもメッセージの伝達力も、そのメッセージの鮮烈さも、どれをとってもニューカマーの領域を完全にオーバーしている。平均年齢20才とは思えない演奏力に裏付けされたライブには、驚かされっぱなし、浮かれっぱなしだった。

 日曜日の夕方5時半は、まだ明るい。クアトロはハイティーン中心のオーディエンスでざわめいている。壁はカラフルなクロスで覆われて、どっかの高校の文化祭にまぎれ込んだ気分になる。開演前のアナウンスも、すごく丁寧で新鮮だ。
 僕の後ろでは、二人の10代女子がオシャベリしている。
「あー、ドキドキしてきた。なんでだろ?」
「靭帯切ったばっかの人が、ライブに来るなんて、おかしーよ」
「そっかなぁ」
「ま、でも、初めてのライブが爆弾ジョニーなんて、よかったね」

 ステージのバックには、世界遺産・富士山のような絵が掛けられている。オープニングSEの鼓の音が流れると、まずメンバーの4人がなんと歌舞伎の見えを切るアクションで登場したのだった。「見参!!!」。あはは、面白い。

 そんな登場に合わせて始まったライブのイントロは、大げさなプログレロックみたいなインスト。演奏が激しくなったとき、サングラスをしたボーカルのりょーめーがセンターに現われて、ぐるっとフロアを見渡す。待ちかねたオーディエンスが、大歓声を上げる。“友達の中のヒーロー”、そんな感じの存在感が爆弾ジョニーにはある。だから「なあ~んにも」が始まると、すぐに大大大シンガロングが起こったのだった。
 《ぼくらにはなにもないじゃないか~》というフレーズが、クアトロに響くと、CDで聴いたときとまったく印象が変わる。何も持っていないバンドと、何も持っていないオーディエンスが、これを一緒に歌うのだ。いきなり、「あぁ、これが爆弾ジョニーなんだ」と思った。すごいバンドが出てきたものだ。
 間髪入れずに、「おかしな2人」。りょーめーがブルース・ハープを吹きながら、右足を蹴り上げる。そのスピードは、ワールドカップ得点王のハメス・ロドリゲス並み。ハープに絡むキョウスケのギター、上半身裸のタイチのドカドカドラム、中で小堀くんのベースが冷静でタイトだ。キーボードのロマンチック☆安田は、頭上に大きなクラッカーを構えている。RCサクセションの名曲「雨あがりの夜空に」を挟んで、真っ直ぐに盛り上がっていく。

 アーシーな8ビートを基本に最初のピークを作った爆弾ジョニーは、「青空ベイビー」ではレゲエ、「へんしん」ではラップ、「P.P.P」ではディスコと、多彩なリズムでフロアの温度を上げていく。さらっと書いてしまったが、それぞれのリズムをきっちり表現する演奏力はハンパない。
 パンク、R&B、ファンクなどの音楽を通して爆弾ジョニーを見ていると、忌野清志郎、ラフィンノーズのチャーミー、ボ・ガンボスのどんと、ジュンスカの和弥、ブルーハーツのヒロト、ウルフルズのトータス松本などの姿が、僕の視界の端っこを過ぎていく。もちろんそんなヒーローを知らないクアトロのオーディエンスには、りょーめーがヒーローそのものとして映っているに違いない。それで、いいのだ。

 爆弾ジョニーのライブでは定番の“タイチの変身フンドシ”や“りょーめーの客席徘徊”などの名物シーンは、実際に体験する方がいいので割愛する。にしても、この日のエポックは、例の兵庫県議の号泣会見のパロディーMCだった。「誠に感情的になってしまい…」とタイチがしゃべると、会場は大笑いの渦巻になる。

 ライブはほぼノンストップで進む。バンドのサウンドに刺激と色彩を与えているのは、どうやら安田のキーボードらしい。彼のピアノで始まった「キミハキミドリ」と、安田のオルガンがイントロを飾る「唯一人」が、中盤を締める。イカレポンチなラブソングの「キミハキミドリ」も、「唯一人」も、純情一直線で、このバンドの中盤にふさわしい。そうした曲と、「P.P.P」などの“大騒ぎナンバー”の両方が揃っているから、爆弾ジョニーのライブは4倍楽しい。

 「ありがとうございます。ロックの熱量って、凄い。僕らみたいな田舎の少年たちの人生を左右する力がある。あと2曲です」とりょーめーが言うと、客席から「えーっ」。
「大丈夫、そのためにアンコールがある」。クアトロ全員汗びっしょりで「かなしみのない場所へ」と「ビーマタンゴ」。それこそタイチのアンダーウェアは、超びっちょびちょになっていたのだった。

 アンコールでロマンチック☆安田がしゃべりだす。
「大きな告知があります。12月4日、Zepp Tokyo決定! 日本を変えたい!! 日本のロックを変えたい!!! りょーめー君の誕生日だぞ~」。それに応えてりょーめーが「ということで、Zeppで21才の誕生日を迎えます。そして、年内にもう1枚、アルバムを出します。そん中からやろうかな」。新曲なのに、いつも通りの盛り上がりになるのが今の爆弾ジョニーの勢いだ。
 ダブル・アンコールは、全員振付で踊る「ギャルゲル」。メンバーの中に“鉄砲玉”がいるバンドは珍しくないが、5人全員が鉄砲玉になるとは(爆笑)。なにもかもケタはずれのクアトロだった。

 僕の後ろの二人の10代女子が、またオシャベリしている。
「『なあ~んにも』で、ウルッと来た」
「だね」
「で、『キミハキミドリ』で、またウルッときた」
「ねっ、ヤバいよね~」

【取材・文:平山雄一】
【撮影:新保勇樹】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 爆弾ジョニー

リリース情報

唯一人(初回生産限定盤)[CD+DVD]

唯一人(初回生産限定盤)[CD+DVD]

2014年06月04日

Ki/oon Music

[CD]
1. 唯一人
2. P.P.P(Power to the Party People)
3. メンバー紹介

[DVD]
1. ミュージッククリップ「なあ〜んにも」
2.「ピンポン」オープニング映像
3.「ピンポン」オープニング映像 オンエア特別バージョン#1
4.「ピンポン」オープニング映像 オンエア特別バージョン#2

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セットリスト

「はじめての唯一人ツアー」
~ワンマンだよ~
2014.7.6@渋谷CLUB QUATTRO

  1. なあ~にも
  2. おかしな2人
  3. 男の子
  4. 青空ベイビー
  5. へんしん
  6. P.P.P
  7. 真夜中の×××
  8. ダイナマイトラヴ
  9. キミハキミドリ
  10. 唯一人
  11. イミナシ!
  12. うたかたの日々
  13. 賛歌
  14. かなしみのない場所へ
  15. ビーマタンゴ
Encore
  1. KNOCK
  2. いたいけBOY♂イケナイGIRL♀
  3. ZENSOKU SWAN
  4. 終わりなき午後の冒険者
Encore2
  1. ギャルゲル

お知らせ

■ライブ情報

爆弾ジョニーONE MAN LIVE
「りょめの恩返し」

2014/12/04(木)Zepp Tokyo

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014
2014/08/10(日)国営ひたち海浜公園

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO
2014/08/16(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

月刊爆弾ジョニー~red cloth 11th Anniversary Special~
2014/08/19(火)red cloth

お台場新大陸2014めざましライブ
2014/08/20(水)新大陸ドキドキランド内 新大陸Great Summerスタジアム

天国や地獄 vol.2 ~ 爆裂!ハタチ族地獄
2014/08/21(木)横浜CLUB Lizard

Re:mix 2014
2014/08/23(土)名古屋CLUB DIAMOND HALL & APOLLO BASE

WILD BUNCH FEST. 2014
2014/08/24(日)山口きらら博記念公園

SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2014
2014/08/31(日)山梨県 山中湖交流プラザ きらら

OTODAMA’14~音泉魂~
2014/09/06(土)大阪・泉大津フェニックス

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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