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WHITE ASH、灼熱のシェルターでメジャー1周年をファンに感謝!

WHITE ASH | 2014.08.05

 WHITE ASHの人気を考えると、今日の会場である下北沢シェルターはあまりにも手狭だ。けれど、お互いの汗が飛び散る距離で演奏したい、曲を届けたいという気持ちがバンド側にあったのだろう。何かを忘れないために、何かを呼び覚ますために、何もかもブッ飛ばす勢いで。この日はそれを待ち望むコアなリスナーで埋め尽くされ、バンドとファンが作り上げるスペシャルな時が流れていた。

 今日はメジャー移籍1周年記念ワンマン・ライヴ「N.1」というタイトルが付けられ、会場もメジャー・デビュー作『Velocity』レコ発初日が行われた場所で開催された。開演時刻18時ジャスト、メジャー出発曲「Velocity」で勢いよく幕を開ける。メンバー4人はリラックスした表情を浮かべながら、力のこもったタイトなアンサンブルを響かせる。「ツアーと違って、どんな曲をやってもいいから。楽しみましょう!」とのび太が気さくに語りかけ、格式張った空気を取り払った自由なムードも心地良かった。
 とはいえ、ここ数日は都内も蒸し暑い日々が続き、3曲目「Kiddie」を終えた時点でソールド・アウトの場内はそれに輪をかけた灼熱状態だ。既に滝のように汗が滴り落ちている。思わずカウンターに手をつくと、小さな汗の水たまりができた。今日の模様はUstreamでも配信され、画面の向こうにいる視聴者に「地獄です」と伝えて笑いも取ることも忘れない。だが、「Paranoia」のイントロから観客全員が手を挙げ、のび太も前のめりで情感豊かに歌い上げると、暑さを吹き飛ばさんばかりの盛り上がりを記録する。

 「アゲアゲの曲が続いたので、僕らが好きなしっとりした曲を」と前置きして、「Maze」、「Scar(t)」、「After All, Life Is Picnic」、「Hello, Afternoon」とミディアム・チューンを送り込む。裏声やオシャレなムードたっぷりにタイムさを活かした曲調は、汗ばんだ肌に涼風をもたらした。シャープな切れ味鋭い楽曲もいいが、もともと"シンプルなかっこ良さ"を追求しているバンドだけに、テンポを落とすと美メロはまた違う表情でこちらを魅惑する。

 中盤に差し掛かると、モード学園TVCMタイアップ曲で9月10日発売のニュー・シングル表題曲「Hopes Bright」を披露。オルタナ風のヘヴィなリフでじわじわ攻めるイントロを皮切りに、メロウな旋律と下半身を揺さぶるグルーヴが溶け合うスロー・ナンバーだ。大人びた香気で観客を酔わせ、フロアを激しく横に揺さぶった。そして、スイッチを切り替えるように「Wake It, Make It」から縦に揺さぶりをかける躍動感溢れるサウンドで切り込んできた。また、5thシングル「Crowds」のカップリング曲で今までライヴでやるチャンスに恵まれなかった「Queen of Boogie-Woogie」も初演奏する。こうした埋もれた楽曲に光を当ててくれるのもワンマンならではの醍醐味で、場内のテンションも無条件にアガった。そこに追い打ちをかけるべく、「Crowds」、「Jails」を投下すると、多くの観客がシンガロングと大合唱で応えていく。密接なコール&レスポンスを繰り広げ、暑さを凌駕する大フィーバーで興奮のるつぼと化した。本編を「Casablanca」で締め、アンコールでメンバーが再登場すると、ここからはUstream配信されないことが告げられた。
 今からやる曲はここにいる人たちしか味わえない。そのプレミア感を刺激するように、オリジナル曲をやる以前のコピー時代にやっていたThe Subwaysの「Oh Yeah」をプレイした。のび太、山さん、彩のフロント3人がマイクリレー形式でヴォーカル・パートを分け合うレアなカヴァーっぷりで、それぞれ声色が違うために個性が前面に出ている。原曲の良さもあるが、あまりにも出来がいいので、おせっかいを承知の上でオリジナル曲でもたまに3ヴォーカルでやればいいのに、と思ったほど。
 さらにサプライズ的にもう一つの新曲「Faster」をやると、ハンドクラップも湧き起こる凄まじい熱気で初耳客の心と体をがっちり射止めていた。約1時間50分に渡るライヴの中で、メンバーはメジャー一周年を迎えられた喜びと共にファンに対する感謝の言葉を何度も口にしていた。またここから新しいフィールドに向かうためにも、聴き手と汗まみれでぶつかり合う場は、ライヴバンド・WHITE ASHにとって必要不可欠だ。ショウ終了後、長風呂に浸かった後みたいな清々しい観客の表情に一点の曇りもなく、フロアには満面の笑顔だけが咲いていた。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:後藤倫人】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル WHITE ASH

リリース情報

Hopes Bright (初回限定スコア盤)

Hopes Bright (初回限定スコア盤)

2014年09月10日

VAP

1. Hopes Bright
2. Killing Time
3. Faster

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リリース情報

Hopes Bright(通常盤)

Hopes Bright(通常盤)

2014年09月10日

VAP

1. Hopes Bright
2. Killing Time
3. Faster

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セットリスト

メジャー移籍1周年記念ワンマンライブ
「N.1」
2014.7.19@下北沢シェルター

  1. Velocity
  2. Number Ninety Nine
  3. Kiddie
  4. Extreme
  5. Paranoia
  6. Maze
  7. Scar(t)
  8. After All, Life Is Picnic
  9. Hello, Afternoon
  10. Hopes Bright
  11. Wake It, Make It
  12. Delayed
  13. Queen Of Boogie-Woogie
  14. Crowds
  15. Jails
  16. Pretty Killer Tune
  17. Casablanca
Encore
  1. Oh Yeah(The Subways)
  2. Faster(新曲)
  3. Stranger

お知らせ

■ライブ情報

テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION 音楽ライブ
2014/08/10(日)六本木ヒルズアリーナ

SUMMER SONIC 2014
2014/08/16(土)QVCマリンフィールド&幕張メッセ

TREASURE 05X 2014
2014/09/07(日)蒲郡ラグーナビーチ

スペースシャワー列伝100巻記念公演「第101巻 紅白玉入れの宴」
2014/09/30(火)新宿LOFT

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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