上昇気流に乗っているバンドのライブは、やはり面白い！　今年7月にシングル「起死回生STORY」でメジャーデビューし、11月には1stアルバム『The BKW Show!!』をリリースしたTHE ORAL CIGARETTESも、そんな思いにさせてくれるバンドだ。当然、今回の東名阪ワンマンツアー（「THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンツアー 2014 AUTUMN ~食欲の秋にアルバム リリース、BKW勢食い尽くしてやる！の巻~」）にも多くのファンが殺到し、全公演瞬く間にソールドアウト！　2014年デビューしたバンドの中でも、高い注目度を誇っているのは明らかなのである。そんな彼らの東京公演（＠渋谷TSUTAYA O-EAST）を見てきた。

　まず、開演前の会場の空気が非常にいい。バンドＴシャツにタオルというフェス仕様のオーディエンスが開演を待ち構え、ジワジワと場内の熱気を暖めていく。照明が暗転し、アルバム1曲目の「嫌い」でライブがスタートすると、いきなり沸点を思わせるようなボルテージとなった。本編はアルバム『The BKW Show!!』からの曲を中心に、これまでバンドがライブで成長させてきた鉄板のナンバーをはさみこむという構成。アルバムの中でも「僕は夢を見る」や「ハロウィンの余韻」など、サウンドの幅を持たせた曲があったが、ライブでもいいアクセントになっていた。フェスやイベントでプレイする攻め曲づくしのセットリストも楽しいが、レパートリーを増やした今回のワンマンも聴き応えは十分。おのずと山中拓也（Vo&G）のMCにも熱が入る。

「お前ら、雨の中よう来てくれた！（フロアを見ながら）よう見る顔もいっぱいおる（笑）。ありがとうな！　一昨日、名古屋一発目だったんですけど名古屋を超えたいんです！　俺ら今、住んでるの東京やし。ホームって言いたいんです！　だからマジで最高な1日にしましょう！」

　歓声でオーディエンスが応え、ライブは中盤戦へ。アグレッシヴな「机上の空論に意味を為す」のあとに、聴かせるミディアムナンバー「透明な雨宿り」を持ってくるという強弱のつけ方もいいセンスである。

　そして、後半ブロックに入る前、山中拓也が飾らぬ言葉で語った心境が印象的だった。

「俺ら、関西出身でキュウソ（＝キュウソネコカミ）とKANA-BOONと切磋琢磨してきたんです！　アイツら、むかうところ敵なしやん！　でも俺ら、一歩ずつみんなと向かっていきたい。キュウソ、KANA-BOON、ムカつくけど、すげーいいヤツなんです（笑）。俺ら、絶対抜いたるから！」

　彼が紹介した2バンドは、いずれもライブ会場のキャパをぐいぐい広げているバンドであり、やはり今年のフェスでも群を抜くパフォーマンスで話題になったルーキーだ。元気なバンド同士、刺激を与えあっていることも、ライブシーンが活性化している原因なのかもしれない。

　後半は、「STARGET」や「大魔王参上」など、キラーチューンを連発。すでに前半から髪を振り乱して演奏していた鈴木重伸（G）も、さらに激しくギターをかきならし、運動量の多いあきらかにあきら（B）も、左足を高く上げるパフォーマンスで、オーディエンスをノセていく。リズムの要、中西雅哉（Dr）は、タイトにビートを刻み、複雑なリフの多い楽曲をしっかり支えている。この4人の個性がぶつかり合うのも、彼らのライブの醍醐味と言えそうだ。本編最後は「起死回生STORY」でブチ上がり、アンコールでも「N.I.R.A」を披露してくれたりと、晩秋に夏を引き戻したかのような灼熱のライブとなった。2015年4月25日には、大阪のなんばHatchでのワンマンも発表した彼ら。2015年も音楽シーンを騒がせてくれるに違いない。

【取材・文：海江敦士】
【撮影：Kohei Suzuki】