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SiM、“i AGAINST i”ツアー無事完走!! Zepp Tokyo公演を完全レポ

SiM | 2014.12.22

 彼らを観続けてきて、間違いなく今日はダントツで素晴しいライヴだった。すべての歯車が噛み合い、それが坂道を転がるように勢いが増すと、こんな体験と光景に触れることができるのか。バンドにとっても2014年を総括する集大成のようなステージになったと思う。ああ、できることならば、もう一度このライヴを最初から巻き戻して観たい。

 SiMのミニ・アルバム『i AGAINST i』に伴う全国ツアー「"i AGAINST i" TOUR 2014 FiNAL SERIES-ONE MAN SHOWS-」が12月に5公演追加され、東京はその一発目に位置する。ツアー初日のクラブチッタ川崎公演(10月13日)も観てきたが、彼らの地元ということもあり、気合い十分だった。そこで日本武道館、並びに地元での野外フェス開催という大きな夢・・・いや、今のSiMにとってはやるべき目標として具体的に語られ、会場は湧き上がった。内側にある野望をツアー初日から吐露し、そこにいる観客と同じ目標を共有し、一緒に階段を駆け上がっていきたい。なんともSiMらしいアプローチであり、彼らがファンに愛される理由がよくわかる。

 そして、Zepp Tokyo公演はツアーの成果を叩き付ける凄まじいショウになった。「かかって来いー!」と第一声にMAH(Vo)が叫ぶと、「Get Up,Ger Up」で本編の火蓋を切る。フロアには激しくヘッドバンギングする観客の姿が広がり、サビの部分は大合唱となり、ド頭からガチンコでぶつかり合う熱気に圧倒される。それから「RiOT」、「Fallen Idols」と新作のナンバーが立て続けに披露。特に後者はラウドとレゲエ調のメロディアスなパートが交互に押し寄せ、そのダイナミズムに富んだ曲調はライヴで一層際立っている。また、この曲の際にステージ背後の巨大スクリーンが4分割され、メンバー4人の姿が映されるアリーナ級の演出も施され、耳目は釘付けになった。時代と共にかっこいいバンドの化けの皮が剥がれていく。俺たちはそうならないと観客と契りを交わすようなMCを挟み、演奏はさらにヒートアップする。翼がなくても飛べるという意味を含んだ「IKAROS」では地鳴りのような大歓声も巻き起こす。この曲に限らず、フロアが踊り暴れる風景は見慣れているが、自分の歌のように楽曲に参加してシンガロングする観客の姿が圧倒的に増えていた。それこそ、新作はスカやレゲエ色を強め、バンドの音楽的ルーツを曝け出した作風だった。ありのままの自分たちを見せ、ライヴで途轍もないリアクションを得ることは、バンドにとっても大きな自信に繋がることだろう。会場の盛り上がりを肌身に感じ、MAHは「曲や歌詞がどう解釈されて、みんなの中でどう育つのか楽しみ。でも直接聞かなくてもわかる。俺、私生活ではウソ付くけど(笑)、2500人の前ではウソ付けない。俺を信じてほしい。この曲を泣きながら聴いてくれてる人もいるけど、笑って聴いてほしい」と語りかけ、バラード調の「Teardrops」をプレイする。神聖な空気と壮大なスケール感を秘めた楽曲で、聴く者に一条の光を投げかけるようなメロディ・ラインは絶品。それからSiMの名刺とも言える「KiLLiNG ME」に突入し、GODRi(Dr)が前のめりのビートを叩けば、SHOW-HATE(G)とSIN(B)が楽器を体の周囲でグルングルン回すお馴染みのパフォーマンスで魅了する。が、これじゃ盛り上がりが足りないと言わんばかりに演奏を一旦ストップ。予定調和を裏切り、観客とその場で駆け引きするようなアプローチもニクい。再び観客を煽り、最初から曲を始め、当然のごとくフロアは大熱狂する有様だ。またレゲエの良さを伝えたいと告げて披露された「Slim Thing」では、SHOW-HATEがキーボードでカラフルな差し色を入れ、横ノリのグルーヴ感を作り出す。そして、新作でラウド・ロックをぶっ壊し、時代を動かす作品を作りたかった。2ステップは古い、これからはモンキー・ダンスと言い放ち、MAH自ら両手を上下に動かし、ここで「GUNSHOTS」を放つ。観客も50、60年代に遡って笑顔でモンキーダンスに興じる様は可笑しかった。本編を「f.a.i.t.h」で締め括り、アンコールは「Same Sky」、「Blah Blah Blsh」(スクリーンに"OH NA NA NA"の歌詞が映される)で大団円を結ぶ。

 繰り返しになるが、新作でレゲエ要素を増やしたことで、ラウド/ヘヴィの矛先の鋭い音像だけではなく、美しいメロディやしなやかなグルーヴ感も音に血肉化されていた。それは過去の楽曲にも影響を与え、強弱、剛柔を含む表現力は全体的に底上げされた印象だ。もはや、SiM以外の何者でもないオリジナリティを鳴らしている。揺るぎない個性を手にした今、来年のさらなる飛躍が楽しみで仕方がない。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:半田安政(Showcase)】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SiM

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リリース情報

i AGAINST i

i AGAINST i

2014年09月17日

EMI Records/gil soundworks

1. RiOT
2. Fallen Idols
3. GUNSHOTS
4. IKAROS
5. Slim Thing
6. Teardrops

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セットリスト

"i AGAINST i" TOUR 2014 FiNAL SERIES -ONE MAN SHOWS-
2014.12.3@Zepp Tokyo

  1. Get Up, Get Up
  2. Faster Than The Clock
  3. Riot
  4. Fallen Idols
  5. JACK.B
  6. Set Me Free
  7. Murderer
  8. I.KAROS
  9. Teardrops
  10. Fall In Love With You
  11. WHO’S NEXT
  12. KiLLiNG ME
  13. Slim Thing
  14. GUNSHOTS
  15. Amy
  16. f.a.i.t.h
Encore
  1. Same Sky
  2. Blah Blah Blah

お知らせ

■ライブ情報

RADIO CRAZY
2014/12/27(土)インテックス大阪

NO MATTER LIVE
2015/01/24(土)Zepp Sapporo

PUNKSPRING2015
2015/03/28(土)神戸ワールド記念ホール
2015/03/29(日)幕張メッセ 9~11 ホール

VIVA LA ROCK 2015
2015/05/03(日),04(月祝),05(火祝)さいたまスーパーアリーナ
※出演日は後日発表

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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