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最高のロックミュージックに国境はない!VAMPS主宰“VAMPARK FEST”初日レポ

VAMPS | 2015.03.02

 VAMPS主宰によるロック・フェスティバル「VAMPARK FEST」が2015年2月18日(水)、19日(木)の2日間、東京・日本武道館で行われた。ラウドロック、ヘビィ・ロック系を中心に世界トップレベルのバンドが集結したこのフェスから、VAMPS、Gerard Way、[Alexandros]、NOTHING MOREが出演した1日目の模様をレポートする。

 “牙を剥くヘビ”をモチーフにしたワイルドかつオリエンタルな雰囲気のステージに最初に登場したのは(画面に“ROUND1”の文字が映され、カン!とゴングが鳴らされる)テキサス州サンアントニオ出身の4ピースバンド、NOTHING MORE。HYDEがリスペクトする伝説的ハードロックバンド、Motley Crueが所属するレーベルと破格の契約を結んだことでも知られるこのバンドは、新世代ヘビィ・ロックの旗手としてロックファンの大きな注目を集めている。パフォーマンスも驚くほどに個性的。凄まじいテンションで飛び出してきたJonny Hawkinsがいきなりステージ中央に設定されたスネアとフロアタムを叩きまくり、オーディエンスに強烈なインパクトを与える。ヘビィなギターリフ、重厚なグルーヴ、エモーショナルなボーカルというヘビィ・ロックの基本を押さえながらオルタナティブなテイストを加えた音楽性からは、既に確固たるオリジナリティが感じられた。さらにベースをマイクスタンドに固定し、メンバーがパーカッションのように叩きまくるという演出も。芯のあるサウンドとエンターテインメント性に富んだステージングによって、フェスのオープニングをド派手に飾ってみせた。

 続いては、いまや日本のロックシーンの中心的な存在となった[Alexandros]。右手を突き上げた川上洋平(V&G)が「武道館!最高の夜にしようぜ」と叫び、オーディエンスの興奮を引き出すと「Stimulator」「Waitress,Waitress!」「Kick&Spin」というライヴアンセムを次々と放ちまくる。’00年代以降の海外のギターロックと自然にリンクしながら、緊張感のあるバンドアンサンブルとキャッチ―&ダンサブルな楽曲を提示してきた[Alexandros]。その鮮烈な存在感はこのフェスでもしっかりと発揮されていた。
 「以前、VAMPSさんと一緒のイベントに出させてもらったときは“何か言ってもらえるのかな”って思ってたけど、ノーコメントだったんです。でも、今日も呼んでもらえてるということは、ちょっとは気に入ってもらえてると勘違いしてます(笑)」(川上)というMCのあとは、3月18日にリリースされるメジャー第1弾シングル「Dracula La」「ワタリドリ」を披露。スタジアム・クラスのスケール感とエッジの効いたオルタナ・サウンドを共存させたこの2曲のパフォーマンスは、[Alexandros]のさらなる飛躍を確信させるに十分だった。7月17日(金)に行われる2度目の武道館ライヴにも大いに期待したい。

 3番目に登場したのは、ラウド/エモのシーンで世界的な人気を得ていたMY CHEMICAL ROMANCE(現在活動休止中)のフロントマンGerard Way。今回はソロとして初めての来日公演ということもあり“マイケミ”のファンの姿も数多く見られた。オープニングは耽美的なゴシック・サウンドがゆったりと浸透していくような「THE BUREAU」、さらに直線的なビートとポップな響きを持ったメロディが印象的な「ACTION CAT」、凄まじいドライブ感を持ったサウンドのなかでメタリックなギターリフが突き刺さる「ZERO ZERO」など、昨年秋に発表されたソロ1stアルバム「Hesitant Alien」からの楽曲が次々と披露される。楽曲によって表情を変える卓越したボーカリゼーション、美しいスーツを身にまとい、セクシーなイメージを振りまくパフォーマンスも絶品。’00年代のロックシーンの最重要バンドのボーカリストは、ソロアーティストとしても高い評価を得ることになる。そんな手ごたえがしっかりと感じられる貴重なステージだった。

 そして、ついにVAMPSのライヴが始まる。古い館の扉が開き、コウモリが羽ばたく音が陰鬱な雰囲気を演出するなか、HYDE、K.A.Zを中心にしたメンバーが登場。強烈な歓声が響き渡り、K.A.Zの強靭なギターリフとともに1曲目の「REVOLUTION?」が始まる。フラッグを担いだHYDEが「Everybody,Scream!」と叫ぶとオーディエンスが「BANG ON,STOMP EVERYBODY!」と絶叫。武道館全体が一瞬でVAMPSのロックワールドへと染め上げられていく。さらに鋭い疾走感に満ちたサウンドと起伏の激しいメロディがひとつになったロックチューン「LIPS」、「楽しもうぜ、武道館」というHYDEの煽りに導かれたダンスナンバー「TROUBLE」(90年代のUKガールズユニット“Shampoo”の楽曲のカバー)、圧倒的なスピード感とずっしりとしたヘビィネスを信じられないほど高い次元で融合させた「EVIL」を連発。昨年10月に3rdオリジナルアルバム「BLOODSUCKERS」を発表、その後も精力的にライヴ活動を展開してきたVAMPSのステージは、ここにきてさらなる進化を果たしてるようだ。  続くバラードナンバー「VAMPIRE’S LOVE」ではスクリーンにミュージック・ビデオを映し、悲しくも美しい楽曲のイメージを伝える。ドラマティックな旋律を芳醇な感情表現とともに描いていくHYDEのボーカルがとにかく素晴らしい。ミラーボールの白い光による演出も印象的だったエレクトリック・ナンバー「ZERO」を挟み、ライヴは一気にクライマックスに向かって進み始める。空間を切り裂くようなK.A.Zのギターに導かれた「AHEAD」では“悔いなき人生へ”という真摯なメッセージが観客ひとりひとりの心に突き刺さり、HYDEが「みんな、悪い子にならないと。いい子はいらないぜ」と叫んだ「BLOODSUCKERS」では、フロアを熱狂の渦へと巻き込む。そしてラストは暴力的なまでにアグレッシブなラウドロック・ナンバー「DEVIL SIDE」。武道館を狂乱のパーティ状態へ叩き込んだまま本編は終了した。

 VAMPSコールに応えて再び姿を見せたHYDEはまず、どこかホッとしたような笑顔を浮かべながらこんなふうに話しかけた。

「ホントにやって良かった。何が良かったって、ドタキャンされなくて良かったね(笑)。出演してくれたバンドのみなさん、ホントに感謝しています。そして何より、この最初のフェスに来てくれたみんなに感謝してます。ありがとう。寒いなか、よく来てくれたよね。君らからはかなりの情熱を感じる。さすが」

 さらに「またこういうイベントが出来るといいなと思っています」と強い意欲を見せたあと、NOTHING MOREといっしょに「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」を演奏。国境、人種の違いを超えた、ロックミュージックによる強いつながりを感じさせてくれる最高のエンディングだったと思う。

【取材・文:森 朋之】
【撮影:今元秀明、岡田貴之】

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リリース情報

BLOODSUCKERS(初回限定盤A)[CD+Blu-ray]

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2014年10月29日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
01. REINCARNATION
02. ZERO
03. LIPS
04. AHEAD
05. EVIL
06. GHOST
07. VAMPIRE’S LOVE
08. DAMNED
09. GET AWAY
10. REPLAY
11. BLOODSUCKERS
12. THE JOLLY ROGER
13. INSIDE MYSELF

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VAMPIRE’S LOVE -Music Video - ※日本語 Ver.

お知らせ

■ライブ情報

VAMPS LIVE 2015“BLOODSUCKERS”
2015/03/14(土)セビオアリーナ仙台

VAMPS LIVE 2015“BLOODSUCKERS”-FINAL-supported by uP!!!
2015/05/30(土)さいたまスーパーアリーナ
2015/05/31(日)さいたまスーパーアリーナ

VAMPS LIVE 2015 NY
2015/05/01(金)Best Buy Theater(アメリカ・ニューヨーク)

※詳細、その他のライヴ情報は、オフィシャルサイトをご覧ください。

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