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THE BAWDIES2度目の武道館はスペシャルな演出たっぷりのロックンロールショー

THE BAWDIES | 2015.04.10

 THE BAWDIESが3月29(日)、2度目の日本武道館ライブを開催した。最新アルバム『Boys!』を中心にした全国ツアーのファイナル公演として行われたこの日のライブで4人は、これまでのキャリアにおける、現時点での集大成と評するべき濃密なロックンロール・ショーを見せつけた。

 ライブ中盤のMCでJIM(G)は、武道館を埋め尽くすオーディエンスに向かってこう話した。
「2回目なんですよ、武道館。やっぱりいいなって、まず思ったのね。2回目できたのがすげえ嬉しいなって思って。80歳までロックンロールをやろうと思っている僕らみたいなバンドがさ、2回も武道館でやれることがすげえことだと思うんだわ。これからもTHE BAWDIESをよろしくお願いします」

 初の武道館ライブ(2011年)から約3年4ヶ月。2度目の大舞台でTHE BAWDIESは、ロックンロールバンドとしてのプライド、そして、さらに進化したステージングをしっかりと刻み付けた。開演前のBGMはもちろん、彼らのルーツである’50~’60年代のポップミュージック。18時を少し過ぎた頃に会場の照明が落され、登場SEの「SHAKE A TAIL FEATHER」が大音響で流される。ステージにかけられた白い幕に映されるのは、道に落ちているアナログレコードを拾い集める少年。レコードを追いかけるようにたどり着いた場所は、そう、日本武道館! 音楽への愛がビシビシ伝わる演出によって大歓声が巻き起こるなか、幕が落とされ、ついにライブが始まる。オープニングはアルバム『Boys!』の1曲目に収録された「NO WAY」。さらに「WHAT YOU GONNA DO」へと続く。

 「ロックンロールの聖地、日本武道館へようこそ!」「心を裸にする準備はよろしいですか!」(ROY/ Vo,B)という挨拶に導かれた「ROCK ME BABY」ではJIM、TAXMAN(G,Vo)がステージの端まで行き、オーディエンスと直にコミュニケーションを取る。4人のアンサンブルも本気で素晴らしい。ルーツミュージックがメンバーの身体のなかに完全に血肉化され、すべてのビート、すべてのフレーズがロックンロールの歴史と直結。そのうえでメンバー自身のキャラクターやセンスも色濃く反映されているのだ。感情の赴くまま思い切り音を出すだけで、オーセンティックかつ個性的なロックンロールへと結びつく――これはもうTHE BAWDIESにとって理想の状態と言っていい。電飾ビカビカのド派手なライティング、自由に体を揺らし、手を挙げ、歌いまくる観客の雰囲気も含めて、最高のロックンロール空間が広がっている。

 中盤以降は、スペシャルな演出がたっぷり。まずはJIMのギターリフを軸にした新曲「DANCING SHOES」を披露。さらにMARCY(Dr)のドラムソロを挟み、「タイムマシーンに乗って、懐かしい曲を届けたいなと」(ROY)とインディーズ時代の楽曲を中心にしたメドレーも。結成当初のライブにおける大きな武器だった「I BEG YOU」(フロント3人がステージ中央でギター、ベースのヘッドを合わせる演出が懐かしい!)から始まったメドレーはまさにTHE BAWDIESの原点そのもの。7~8年前にリリースされた楽曲を2015年のTHE BAWDIESが演奏するシーンは、この日の大きなハイライトだったと思う。

 AIとのコラボナンバー「LOVE YOU NEED YOU」、アルバム『Boys!』収録曲「RECORD PLAYER」には黒人女性シンガー、Olivia Burrellが参加。パワーとソウルとテクニックを信じられないほど高いレベルで共存させたボーカルが鳴り響き、楽曲のポテンシャルがさらに増していく(ROYが「魂、吸い取られた」と思わずつぶやくほど、凄まじい歌声だった)。

 そして「EMOTION POTION」からライブはついにクライマックスへと突き進む。「IT’S TOO LATE」「SING YOUR SONG」などのライブ・アンセムが次々と放たれ、武道館は狂乱のダンスホールに変貌。前回のライブではやや緊張が感じられた4人だが、今回はさらに解放的なステージを思う存分繰り広げていた。

 「斜めから見ないでください。ロックンロールは真っ直ぐです!」というROYのシャウトにリードされた「TWISTIN’ ANNIE」で本編は終了。そしてアンコールでは、なんとハマ・オカモト(OKAMOTO’S)がベースを持ってステージに! さらにOlivia Burrell、THE BAWDIESと交流のあるEli "Paperboy" Reedのバンドメンバーであるサックス奏者、トランペット奏者が加わり、「SHAKE A TAIL FEATHER」「SOUL MAN」をカバー。ハンドマイクでシャウトしまくるROYからも、この貴重な瞬間を全身で楽しんでいることがまっすぐに伝わってくる。ロックンロール、ソウルミュージックの名曲を新しい世代に受け渡していきたいという思いに溢れた、素晴らしいセッションだった。

 サプライズはまだまだ続く。ダブルアンコールではメンバーがアリーナの両端から2手に分かれて登場、観客とハイタッチを交わしながら、そのままステージへと向かう(「やりたいこと全部やっちゃった」と嬉しそうなJIM)。トドメは「THE SEVEN SEAS」「YOU GOTTA DANCE」「JUST BE COOL」の3連発。「ロックンロール、音楽がもっと好きになりました」(ROY)、「これからも僕たちとロックンロールを繋いでいきましょう」(TAXMAN)の挨拶、TAXMANによる恒例の“ワッショイ!”によって約3時間に及ぶライブは終了した。

 日本の音楽ファンにロックンロールの素晴らしさを伝えることを目的としてバンドをスタートさせたTHE BAWDIES。結成11年目を迎え、彼らのトライは大きな成果へと結びつき始めている――2度目の武道館公演の成功によって、THE BAWDIESはそのことを改めてアピールしてみせた。

【取材・文:森 朋之】
【撮影:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)】

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お知らせ

■ライブ情報

Shake! Shout! & Soul!
2015/06/05(金)大阪 オリックス劇場
2015/06/14(日)東京 中野サンプラザ

「Boys!」TOUR in Taiwan
2015/04/25(土)THE WALL会館(台湾)

JAPAN JAM BEACH 2015
2015/05/04(月)幕張海浜公園JAPAN JAM BEACH特設会場

TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2015
2015/05/24(日)新木場・若洲公園

百万石音楽祭2015~ミリオンロックフェスティバル~
2015/06/06(土)石川県産業展示館 3号館/4号館

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2015/06/27(土)28(日)長野県茅野市民館
※出演日は後日発表

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
2015/08/14(金)15(土)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
※出演日は後日発表

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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