幾多の試練を乗り越えて、遂に5月20日にニューシングル『全力！スタート／夢のつづき』でメジャーデビューを果たした5人組バンド、がんばれ！Victory。そのリリースイベント『がんばれ！Victory 全力！LIVE 三回の裏2アウト2・3塁「1塁空いてますがここは勝負です！」』が渋谷eggmanで開催された。

　この日のライブは『全力！スタート』のチケット付きCDセットを購入した人だけが参加できるスペシャルなもの。タオルを首にかけた熱量の高いお客さんの手拍子を受けて、まゆこ（Dr）、みなみ（G）、しのぶ（B）、れな（G）の演奏隊4人がまずステージに登場。上半身を大きく使ったヘドバンを見せると、あやき（Vo）がステージに飛び込んできた。タオルを頭上高く掲げて、「がんばれ！Victoryです！締まっていこうぜー！」と、あやきの威勢のいい声が上がり、「I Go Everyday」からライブはスタートした。見た目はアイドル。だが、予想以上に骨太なロックサウンドが気持ちよく駆け抜けていく。タオル回しを巻き起こした「DEAR」では、あやきのハスキーで伸びやかな歌声も絶好調だ。

　「みなさん！こんにちは。佐賀県から上京してきました、絶対生歌主義バンドル」（あやき）、「がんばれ！Vicotryです！」（全員）というお約束のあいさつをすると、MCでは、しのぶが「メジャーデビューして、しばらく経ったけど、どう？」と、みなみに話を振った。普段から口数の少ないみなみが「忙しいね！」と、一言で完結させると、リーダーのれなが「毎日ラジオとか出させてもらって、発信できる場所が増えた……って意味だよね（笑）？」と、笑顔でフォロー。しっかり者のしのぶが「そうやって活動できるのも、いつも私たちと走り続けてくれる皆さんがいてくれるおかげです！」と言うと、5人が深く頭を下げてファンへの感謝を伝えた。こんなときのメンバーの役割分担は見ていて面白い。

　ひとしきり場が和むと、メンバーがニコ生で制作していた楽曲「ラストサマー（仮）」がライブで初披露された。さわやかに加速するバンドサウンドに、哀愁漂うメロディが印象的な夏ソング。そして、小学生のころにバンドを結成して以来、ここまで辿り着けたことを、あやきが感慨深げに語ると、つづけざまに披露されたのが「夢のつづき」と「全力！スタート」だった。あやきと共にメロディラインを口ずさみながらベースを弾くしのぶ、ユニゾンするれなとみなみのツインギター、Victoryの屋台骨としてリズムを支えるバンマスまゆこ。先日のインタビューでは、メジャーデビューを機に、5人が表現者としての自覚を強くしたことは感じられたが、この日の引き締まった演奏にもその決意は滲み出ていたと思う。

　そして、「次、最後の曲やけんからね。10倍声を出してください！」と、みなみがお客さんに訴えかけたラストナンバーは、「ふらいはい!!」。「かっとばせー！Victory」の声を合図に、Victoryのライブではお馴染みのミニチュアバットをお客さんが打ち鳴らして会場が一体感に包まれると、最後は「せーの！」の大ジャンプでライブを締めくくった。

　ハッピーバースデー・トゥ・しのぶとれな~♪と、20歳の誕生日を迎えたしのぶとれなを祝い、ファンからのサプライズなアンコールが湧き起こるなか、再びステージに戻ってきたメンバー。ファン代表から花束と寄せ書きを贈られると、ふたりは「キャー!!」と歓びの声をあげた。アンコールでは、改めて、ライブの定番曲「KGSD」を披露。カラフルな照明のなか、曲中ではしのぶとみなみが向かい合ってじゃれ合いながらプレイをしたりと、どこか余裕すら感じるステージ。全国のライブハウスを渡り歩くがんばれ！Victoryは、確実にライブバンドとして、しなやかでタフな筋肉を身につけてきている。

　ちなみに、この日のライブでは、『全力！スタート／夢のつづき』の各メンバー盤に収録されていたデモ音源の人気投票の結果を発表。れな作詞作曲の「scarred（仮）」が1位に選ばれ、後日この曲がリリースされる。ほかにも、9月2日には待望の2ndシングルのリリースも明かされるなど、お約束のサプライズ発表も目白押しだった。

　がんばれ！Victoryはこれから、インディーズ時代に鍛えられた、負けん気の強さと、何事にもめげない明るさで、メジャーの荒波を乗り切っていくだろう。 　その活動からはますます目が離せない。

【取材・文：秦 理絵】