THE BAWDIESがホールツアーで見せつけたロックンロールのプライド
THE BAWDIES | 2015.06.29
6月。5日の大阪オリックス劇場と14日の中野サンプラザにて、初となるホールツアーを行なったTHE BAWDIES 。
6月14日の中野サンプラザの始まりは、歴史ある会場ならではの開演を知らせるレトロなブザー音からの幕開けとなった。
ブザー音と同時にMARCYのヌケのいいドラムフレーズが幕の向こうから会場に向けて発せられると、その幕はゆっくりと上へと上がっていった。
4人が放つ最高にロールするロックが客席に広がっていくと、会場からは大きな歓声が沸き上がった。
THE BAWDIESを象徴するタイトな揃いのスーツに身を包んだ正当派スタイルは、かつて彼らを夢中にさせ、ロックンロールという音楽の素晴しさ教えた先陣のバンドの姿と重なった。
単純過ぎる言葉であるが、彼らのその姿に、思わず、“お~。カッコイイじゃん!”と声が出た。人間は、純粋にカッコイイモノに触れた時、迷わず誰もが単純すぎるその言葉を発する。それこそが素直な感情。それこそが本物を証明するバロメーターとなる。
ドレープがたっぷりと入った幕が額縁のようにステージを囲み、彼らはその中で愛して止まないロックンロールを放った。
「お待たせしました! お祭り騒ぎの大騒ぎ野郎THE BAWDIESです! 新曲からおっぱじめさせてもらいました!」(ROY/Vo&B)
ちょっぴり甘く、クールでインテリジェンスな印象のROYだが、いつも喋りは生粋の江戸っ子である。そんな ROYの粋なMCを挟み、曲は「JUST BE COOL」「A NEW DAY IS COMIN’」へと繋げられた。会場は彼らの音に完全に身を委ね、体を緩く揺らせていく。「A NEW DAY IS COMIN’」では、ROYとJIM(G)とTAXMAN(G)が手拍子をし、客席にクラップを求めると、客席は軽やかなクラップを彼らの音に加えて盛り上げた。曲がラストへと向かったとき、ROYとJIMとTAXMANの3人が曲のテンポを落とすと、MARCY(Dr)がその流れをしっかりと受け取り、力強く大きく構えたドラムフレーズで締めくくったのだった。
「ついてきて頂けてますか!?」
ROYの高めのテンションを挟んで、4人は客席の温度を確かめると、息を合わせ、曲を「ROCK ME BABY」へと導いた。
「ROCK ME BABY」と言えば、彼らTHE BAWDIESの代表曲とも言える1曲。相変わらずアグレッシブなプレイスタイルを魅せるJIMは、この曲でも、最前列のオーディエンスに目線を合せるかのように姿勢を低くしてステージ前方に移動してギターをプレイ。JIMは、邦楽のロックバンドにはあまり見られないスタイリッシュなフォーメーションを個性とするTHE BAWDIESの起爆剤とも言えるだろう。
中盤では、ROYが最近、「HOT DOG」の前に、TAXMANを助さん、JIMを格さん、そして自らを“黄門”(※MCのとき、黄門様の“様”を言わず“黄門”と呼び捨てにしたことから、客席には一瞬どよめきと笑いが起こっていたが、夢中でそのシュチュエーションを説明していたROYは、その笑いに気づいていなかったようである……)とし、パンとソーセージを印籠に『水戸黄門』をベースとした小芝居を始めたことをオーディエンスに報告した。
そんなMCから、「HOT DOG」に流れるのかと思いきや、予想を見事に裏切り、曲はコーラスワークから幕を開ける「NICE AND SLOW」へと流れたのだった。
このブロックで届けられた「CHERRY MASH」では、胸をギュッと掴まれる懐かしい旋律が、いつも以上に深く体の中に染込んできたのを感じた。
「ありがとう! 楽しんでもらってますか? ロックンロールというのは、感情が飛び出て爆発したものなんです! 日々いろんなことがあると思います。だからこそ、ロックンロールパーティで体を軽くして、体でいろんな感情を表現して、前に進もうじゃないですか!」
お馴染みのROYのロックンロール哲学に、オーディエンスは大きな歓声を返した。この言葉の後に届けられた「SAD SONG」は、オーディエンスの立ち止まった感情や、塞いだ感情を、そっと開放へと導いていたに違いない。
ライヴの後半戦に差し掛かったところで、彼らはアコースティックスタイルでカヴァー曲を披露。「GOOD MORNING」では、JIMがスライドギターで曲の世界観をより高め、TAXMANと MARCYが描き出す軽やかなリズムにオーディエンスがクラップを加えていった。「STAND BY ME」が届けられる前に、ROYは自らの独特な声での歌唱法について話をした。敢えて声を濁らせて歌うROYの歌唱は、THE BAWDIESの絶対的な個性である。そんなROYの歌声は、ルーツミュージックをレコード盤でかけ、スピーカーから聞こえてくる濁った声を真似て歌ったところから生まれたモノだったというのだ。
THE BAWDIESというバンドを通してルーツミュージックを知った若いファンも多いだろう。4人が衝動を受けたときの“瞬間”が色褪せること無くその場に吐き出されていた。THE BAWDIESというフィルターを通し、この時代にオリジナルな音でルーツミュージックを奏でる彼らを、ファンも心から誇りに思っているようだった。
と、その次の瞬間。
「デビルおにぎり~っ!!!」
いきなりのROYの鳴き声まじりの絶叫に会場内は静まり返る………。
一瞬時が止まった……。
と、そこから始まったのは、【「HOT DOG」小芝居】だったのだ!
キイロのマスタード=ROY
真っ赤なケチャップ=TAXMAN
こげちゃ色のソーセージ=JIM
薄い茶色のパン=MARCY
というHOT DOGマン(!?)になりきり、言葉で演技!ご機嫌な「HOT DOG」が届けられたのは言うまでもない。このブロックでは、お馴染みのTAXMANボーカルの「LOVER BOY」も届けられ、オーディエンスを手放しで楽しませ、「LEMONADE」「IT’S TOO LATE」など、これまたTHE BAWDIESのテッパン曲で本編をラストへと導いたのだった。
アンコールでは、一生ロックンロールを続けることと、生半可な気持ちでロックンロールを愛していない本気を約束し、音楽で証明したのだった。
ROYとJIMとTAXMANと MARCYが描き上げたそこには、最高のロックンロール魂が在った。
7月3日からは、ヨーロッパツアーが開催されることになっている。彼らは日本だけに留まることなく、愛して止まないルーツミュージックの素晴しさを【現代】に伝えていくことだろう。
【取材・文:武市尚子】
【撮影:RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)】
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リリース情報
[Blu-ray]「Boys!」TOUR 2014-2015 -FINAL- at 日本武道館
2015年06月24日
ビクターエンタテインメント
2.WHAT YOU GONNA DO
3.ROCK ME BABY
4.HOLD ON
5.NICE AND SLOW
6.ANYTHING YOU WANT
7.CHERRY MASH
8.COME ON
9.KEEP YOU HAPPY
10.DANCING SHOES
11.HOT DOG
12.KICKS!
13.LOVER BOY
14.A NEW DAY IS COMIN’
15.I BEG YOU~I’M IN LOVE WITH YOU~MY LITTLE JOE~SHAKE YOUR HIPS
16.LEMONADE
17.LOVE YOU NEED YOU
18.RECORD PLAYER
19.EMOTION POTION
20.B.P.B
21.IT’S TOO LATE
22.SING YOUR SONG
23.TWISTIN’ ANNIE
<ENCORE>
24.SHAKE A TAIL FEATHER
25.SOUL MAN
26.THE SEVEN SEAS
27.YOU GOTTA DANCE
28.JUST BE COOL
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お知らせ
ROCK THE HOUSE TOUR 2015 ~We’re going to soul city~
2015/10/10(土) 石巻 BLUE RESISTANCE
2015/10/11(日) 宮古 KLUB COUNTER ACTION
2015/10/17(土) 横浜 F.A.D
2015/10/22(木) 松山 SALONKITTY
2015/10/24(土) 滋賀 U-STONE
2015/10/25(日) 金沢 EIGHT HALL
2015/11/08(日) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
2015/11/24(火) 三重 M’AXA
2015/11/25(水) 神戸 CHICKEN GEORGE
2015/11/27(金) 米子 laughs
2015/11/29(日) 佐賀 GEILS
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。