GOOD ON THE REELの7thミニアルバム「七曜になれなかった王様」東名阪ツアーの最終日、恵比寿LIQUIDROOMをレポート!
GOOD ON THE REEL | 2015.08.10
7thミニアルバム「七曜になれなかった王様」を中心とした東名阪ツアーの最終日、恵比寿LIQUIDROOM公演。2011年に1stミニアルバム「世界分の一節」を発表してから、メディアへの露出を抑え、CD(ミニアルバム)のリリースとライブを軸にした活動を続けてきたGOOD ON THE REEL。音楽による純粋なコミュニケーションを追求してきた彼らの姿勢は、ここにきて大きな成果を生み出しつつある。そのことを強く確信させてくれる、濃密なステージだった。
ライブは「七曜になれなかった王様」の収録曲「迷子センター」からスタート。美しいディレイを効かせたギターフレーズ、曲が進むにつれて少しずつ熱を帯びるリズムセクションとともに「迷子の迷子のアナウンス 何の役に立てますか?」というアイデンティティをめぐる歌が広がる。さらにエモーショナルなバンドサウンドとドラマティックなメロディを軸にした「夜にだけ」。“夜、ひとりでいるときは隠れて泣くことを許してほしい。明日になれば、みんなの前で笑ってみせるから”という切実な思いを込めたリリックがまっすぐに伝わり、グッと心を掴まれる。オープニングの2曲で彼らは、会場全体を自らの音楽世界をしっかりと描いてみせた。
最初のMCでボーカルの千野隆尋は「ファイナル、本当にいっぱいですね。こんなにたくさん来ていただいて、ありがとうございます」と挨拶した後、新作「七曜になれなかった王様」というタイトルについて話す。七曜は月?日の曜日のことで、王様は太陽系の星のなかで、曜日になれなかった天王星、海王星、冥王星のこと。でも、たとえ7曜になれなかったとしても、世界でたったひとつの星であることに変わりはない。ここにいる人たちも世界にたった1人しかいない王様たち。何気ない日常を綴ったこのアルバムの曲が、王様たちが歩き出すための足掛かりみたいなものになったら、うれしい??。
ライブ前半でもっとも心に残ったのは、やはり新作に収録された「ドア」だった。宅急便の配達員、警察官、別れたばかりの彼女。さまざまな人が訪ねてきて、去っていく「ドア」をテーマにしたこの曲は、小さな日常の世界を普遍的な力を持った歌へとつなげる、このバンドの魅力がもっとも端的に示されていると思う。派手な演出に頼らず、ひとつひとつのフレーズ、言葉、メロディを丁寧に紡ぎだすステージングからも、音楽に対する誠実な姿勢が伝わってきた。
中盤ではGOOD ON THE REELの豊かな世界観を体感できるシーンが続く。繊細な旋律のなかで触った瞬間に壊れそうな恋愛感情を描いた「限りなく透明な」、そして、大切な人の記憶を自分のなかに刻み続けたいという願いを歌った「透明な傘の内側から」(会場の天井には、色とりどりのビニール傘が飾られていた)。透明感のあるバンドサウンドとヒリヒリとした傷を想起させる歌がひとつになった「アイスランド」、そして、疾走感のあるビートともに「一歩右に踏み出せばそこは/永久に続く宇宙だ」というラインが飛び込んでくる「ホワイトライン」。曲をつなぐことで、さらに奥深い世界へとオーディエンスを誘い込む。この感覚もまた、彼らのライブの楽しさのひとつだろう。
「シャワー」からは高揚感のあるナンバーが次々と披露され、フロアの興奮度が増していく。派手に煽るわけでもなく、一体感を促すような演出はなく、音楽そのものによってバンドとオーディエンスが強く結びつき、ナチュラルな熱気へとつながる。こんなにも純度が高いライブは、そうそう体感できるものではない。
本編のラスト、再び千野はオーディエンスに向かって語り掛ける。
「戻れないからこそ、思い出は輝くんだと思います。今日がみんなの思い出になったとき、俺らが思い出になったとき、太陽くらい光り輝くように願いを込めて、最後の曲を歌います」
最後は「エターナル・サンシャイン」。久しぶりにあった“君”との関係、刹那的で切ない感情??この曲に込められた美しくも悲しい波動は、すべてのオーディエンスの記憶に強く刻み込まれたはずだ。
2度目のアンコールでは、このバンドのアンセムとも言える「素晴らしき今日の始まり」を披露。「伝えたいコトがあります」「届けたいモノがあります」という、音楽という表現にかかわるもっとも根源的なモチベーションを示したこの曲によって、ライブはエンディングを迎えた。
初日は対バン(名古屋/ねごと 大阪/夜の本気ダンス 東京/伊藤歌詞太郎)、2日目はワンマンという2days形式で行われた今回のツアーによって、このバンドの魅力はさらに深く浸透したはず。ギミックや仕掛け、戦略に頼らず、“音楽をまっすぐ伝える”というスタンスを貫く彼らの存在は、本当に貴重だと思う。
【取材・文:森朋之】
関連記事
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
渾身の3rdフルアルバム『グアナコの足』は、エッジ―かつアッパーなバンドサウンドを軸にした、高揚感のある仕上がりになっているだけでなく、新しいGOOD ON THE REELの表現が体感できる作品に。
-
GOOD ON THE REEL
-
GOOD ON THE REEL
MBS/TBSドラマイズム「ホクサイと飯さえあれば」 エンディングテーマを務める GOOD ON THE REELの「小さな部屋」MV解禁
-
GOOD ON THE REEL
リリース情報
お知らせ
小田原イズム2015 IN ODAWARA ARENA
2015/09/26(土)小田原アリーナ
DIVING ROCK 2015 in KANAZAWA
2015/10/10(土)、11(日)金沢市内ライブハウス
第56回新潟大学学園祭 新大祭
2015/10/18(日)新潟大学五十嵐キャンパス
東薬祭 LIVE 2015
2015/10/31(土)東京薬科大学 学内体育館
OWER RECORD 柏店 × ThumbUp presents
『MUSIC JACK Vol.2』~ GOOD ON THE REEL vs 黒木渚 ~
2015/11/3(火・祝)柏Thumb Up
藍空音楽祭
2015/11/18(水)梅田CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。