激しさ、可愛さ、楽しさ、切なさ、優しさ、汗、笑顔、涙??ありとあらゆる感情を解放し、新たな目標に向かって進んでいけるパワーをもらえる、まさに“デトックス”効果バツグンのライブだった。

　“あゆみくりかまき”としての2度目のワンマンライブ「ボクらの熊魂 2015 ~汗と感動の涙でデトックス編~」が渋谷CLUB QUATTROで開催された。会場は“またぎ”（ファン）でギッチギチ。開演前から汗ばんでしまうほど熱気のなか、まずはDJ Timeからスタート。「今日は私らのDJとしての原点の、この曲から始めたいと思います。クアトロやれんのか！」（まき）という煽りから「DON’T LOSE YOURSELF」（MAN WITH A MISSION）。さらに「MEGA SHAKE IT！」（キュウソネコカミ）、「フルドライブ」（KANA-BOON）など現在の日本のバンドシーンのアンセムが次々と響き渡り、熱気はグングン上がっていく。単にアッパーチューンをつなげるだけではなく、あゆみくりかまきとしてのメッセージをまっすぐに伝えようとする姿勢も、彼女たちのDJセットの魅力。この日は「ウエイクミーアップ」（Suck a Stew Dry）の“自分をやめられないのは／他の誰かになれはしないから”というフレーズをあゆみが熱唱、感動的な空間を生み出していた。3匹の熊（あゆみ、くりか、まき）も当然、この時点で既に汗びっしょり。すごい気合いだ。

　わずかなインターバルを挟み、LIVE Time。オープニングの映像はメンバーの幼少時から中高生くらいまでの写真（特にあゆみの“熊”感がかわいい）。「うおー可愛い！」という声が渦巻くなか、ロッキン・ポップなサウンドと“高みを目指して／ゴールをめがけて”というポジティブなフレーズがぶつかり合う「ジェットクマスター」（2014年7月リリース）が放たれる。さらに和のテイストを織り交ぜた「クマトナデシコ」（2014年3月リリース）、メジャーデビューシングル「鮭鮭鮭」（2015年3月リリース）。あゆみくりかまきのキャリアを高速で追体験できるようなオープニングに観客のテンションは力強く引き上げられていく。

「みんな、DJタイムからデトックスしてますか！　汗、かいてますかー？」（くりか）
「みなさーん、ハッスル！ハッスル！」（あゆみ）

　という挨拶のあとは新曲「森森森」（11月25日リリースのメジャー3rdシングル『心友フォーエヴァー』カップリング曲）を初披露。バウンシーなリズムとパワフルなホーンセクションがひとつになったサウンドに（ライブでは初めて聴くはずの）オーディエンスもすぐに対応して思い切り盛り上がる。そして、LIVE Timeの前半でもっとも印象に残ったのはメジャー2ndシングル「蜜蜜蜜」だった。リリース時のインタビューでくりかは「『蜜蜜蜜』のときはフワッとするというか、温かい空気になるんです」と話していたが、この曲が持つラブリーなムードは、あゆみくりかまきの新しい魅力につながっていたと思う。

　後半のＭＣでは、2度目のワンマンライブに対する思いを丁寧に表現。

「あゆみはやっぱり欲張りでした。この景色、ホントにすごいと思ったんですけど、やればやるほど、もっと大きい会場でやりたいなって」（あゆみ）
「暑いし、楽しいし、今日の渋谷CLUB QUATTROはヤバいなって思ってます！　イヤなこと全部置いて帰ってください。明日からまたいっしょにがんばりましょう！」（くりか）
「ひとつひとつのライブを大事にやってきてます。ワンマンライブを見に来てくれる人もこんなに増えて、ほんまに嬉しいです！」（まき）

　本編ラストは「KILLLA TUNE」「自分革命」「ナキムシヒーロー」というメンバーの意思がびっしり詰まったライブアンセムを続けざまに放つ。さらにアンコールではエレポップ風にアレンジされた「森のくまさん」（ステージ上のメンバーと同じようにクルクル回りながら楽しんでいるファンの姿も）、「アナログマガール」を披露し、2度目のワンマンライブは幕を閉じた。

　この日パフォーマンスされたシングル「心友フォーエヴァー」のリリースに続き、来年1月には初の東名阪ツアー「ボクらの熊魂2016 ~チャーハン・シャケ缶・とーめーはーん！~」の開催も決定。エモさと可愛さを兼ね備えたあゆみくりかまきの魅力は、ここから全国に向かって波及していくことになりそうだ。

【取材・文：森朋之】