ガールズバンドの最高峰! チャラン・ポ・ランタンと、女性5人編成のバックバンド“カンカンバルカン”、破格のツアー・ファイナル!
チャラン・ポ・ランタン | 2015.10.02
“チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンツアー 2015チャラン穂 秋の大収穫祭”。なんとも長いツアー・タイトルだ。ちなみにこのツアーの主人公はもちろん、ボーカルのももとアコーディオンの小春のユニット“チャラン・ポ・ランタン”で、カンカンバルカンは女性5人編成のバックバンド。ふーちん(ドラムス)、さくらん(コントラバス)、オカピ(テナーサックス)、とんちゃん(ソプラノ&アルトサックス)、ごま(トランペット)がそのメンバーだ。
僕はこの日、初めてこの極彩色のガールズバンドのライブを観たのだが、度肝を抜かれてしまった。ももと小春は、縦横無尽にやりたい放題。それを支えるカンカンバルカンの演奏力とパフォーマンスが素晴らしかった。それらが一体になったときに放出するエネルギーは、完全にリキッドルームをはみ出していた。
オー プニングはお芝居仕立て。本人によるナレーションが流れる。「衝撃のラストライブから半年。あの7人の女たちが帰ってきた」。
どんな女たちなんだとドキドキしていると、さくらんのファンキーなコントラバスのリフがスタート。そこにふーちんのドラムが加わって演奏が始まる。小春のアコーディオンとオカピのテナーサックスがユニゾンでパワフルなフレーズをトレースする中、ももがポーズを決めての登場だ。もちろん右手にはマイク、左手にはブタのぬいぐるみを持っている。派手なのはわかっていたが、やっぱり派手だなぁ(笑)。
だがその派手さには、演劇やサーカスの香りが漂っていて、特別な気分にさせてくれる。それはビジュアルだけでなく、サウンドにもチャラン・ ポ・ランタンならではのテイストが秘められていて、奥底にエキゾティックな哀愁があった。
ギターなしの、アコーディオン&ベース&ドラムという特殊なリズムセクションに、3本のブラスが入ったサウンドは、本当にカラフルだ。1曲目「ワーカホリック」の途中でももが「今日が千秋楽だあ!」と叫ぶと、オーディエンスが踊り出した。
2曲目「NANDE-NANDE」はファンキーなリズムから一転して、スカっぽいリズムへ。ワンパターンではないダンスビートがスリリングで、カンカンバルカンの特長が早くも爆発する。3曲目「ただ、それだけ。」は東ヨーロッパのダンスリズム。もも&小春姉妹の母親の手になるコスチュームがヒラヒラ舞って、これでもかとその魅力を惜しげもなく披露したのだった。
「今日でこのセットリストは最後か。泣けるな・・・あれ、もも、大丈夫? ゼーゼーしてるよ」と、小春が息を切らしているももに突っ込む。ももはむっとしたふりをして、「こんなもんか、バンドって」とボヤく。二人のMCの息は絶妙で、しゃべるたびに笑いが巻き起こる。
“NHKみんなのうた”の「ぎんなん楽団カルテット」ではキュートな振付でフロアを沸かせ、 切なさ漂う「泣き顔ピエロ」でももと小春は呼吸をピタリと合わせてじっくり聴かせる。小春がアコーディオンに細かいビブラートをかけて盛り上げると、ももは中島みゆきばりの凄みのある声で応じたのだった。
チャラン・ポ・ランタンはこのところ、イベントやフェスでライブをやり倒してきた。その成果がメキメキと表われてきている。カンカンバルカンとのコンビネーションもがっちり噛みあって、ライブ感たっぷりにステージを進めていく。特にドラマーのふーちんのプレイがインスピレーションに富んでいて、バンドにパンチ力とエナジーを与えていた。
その一方で、さくらんのコントラバスのみをバックにももが歌った「季節は巡る」、ももと小春のみでパフォーマンスした「親知らずのタンゴ」 は、恐ろしいほどの集中力が発揮されていて、大きな拍手を浴びた。
さらにはチャラン・ポ・ランタン得意のカバーの「ヒキコモリ~外、出ない~(仮)」は、ベイ・シティ・ローラーズの「Saturday Night」の替え歌バージョンで、客席も参加して大いに盛り上がる。ライブ本編は、超速ビートの「最後の晩餐-運動会ver.-」まで、一気に突っ走った。
アンコールでは、さらにサプライズが。小春が「新しいイントロでやります」と言って始まったのは、「ムスタファ-アカペライントロver.-」。カンカンバルカン全員が参加した女性7声のアカペラは、この上なく美しく、 思わずうっとり聴き入ってしまった。
出し惜しみ、一切なし。全力投球のステージは、現時点で破格のツアー・ファイナルとなった。チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンは、チャットモンチー「乙女団」などと並ぶ、ガールズバンドの最高峰のひとつだと断言したい。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:タカハシアキラ】
リリース情報
お知らせ
チャラン・ポ・ランタンと崩壊バンドツアー2015“Shiwasu de Gowasu”
2015/12/06(日) 【神奈川】横浜BAY HALL
2015/12/12(土)【埼玉】HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
2015/12/18(金)【大阪】梅田CLUB QUATTRO
2015/12/23(水祝)【東京】浅草公会堂
2015/12/27(日)【名古屋】名古屋CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。